とびきりの笑顔
「それよりもマーク様、お嬢様が何と私を守ってくれたのですよ。あんな小さななお嬢様が私を守ってくれるなんて、なんて、なんて」
とサトラーは突然泣き始める。これはどうすれば良いんだと分からなくなり、俺は助けてもらおうとおじさんとガイソーを見る。だが説教が既に始まっており助けを求められる雰囲気では無かったので俺も酔えばどうにかなると思い酒瓶を持ち
「さあさあ、これでも呑んで語り合いましょう」
とサトラーに酒を勧める。サトラーはグラスを酒瓶に近づけて
「そうですね、マーク様。呑んで語り合いましょう」
とさっきとは変わって上機嫌になっていたので俺は酒を注ぐ。サトラーは注がれると一気に呑み
「ハハハ、美味しいですね。では、さっきの話の続きと参りましょうか」
「そうですね」
と相槌を打ちながら自分のグラスに酒を注ごうとするとサトラーが俺の肩に手を置き
「ハハハ、マーク様。今は酒を呑んでいる場合じゃありませんよ、今は私いえサッ君の話を聞く時ですよ」
と据わった目で笑いかけてきた。怒っている?酔っているだけか?と考えやっぱり目が怖いので俺は酒を注ぐのを辞め
「ああ、すみません。ではお話を聞かせてください」
とサトラーの話を聞く事にした。
この後、サトラーはミルクーリやガイソーや俺が知らない人の自慢話をしていた。俺は話に適当に相槌をして、グラスに酒を注ごうとしたが全部サトラーの笑顔で阻止され一滴も呑めずに聞いていると
「そうですか、今夜は貴重な助言をありがとうございました」
とガイソーが立ち上がり嬉しそうにおじさんにお礼を述べる。
「良いって事よ、話終わった事だし、今夜はお開きかな」
とおじさん店じまいを始めた。これでサトラーから解放されるかなと喜んでいるとサトラーがこちらの肩に手を置き
「残念ですがここまでの様ですね」
「ええ、そうですね」
と解放されると思い少しニヤけながら言うと
「マーク様も残念そうに見えますな、ですのでガイソー様を送ったら私の部屋で呑み直しましょうか」
と地獄の様な提案をしてきた。俺は拒否しようと喋ろうとする。だがサトラーが目が据わったまま笑顔だったので俺は大人しく
「はい、宜しくお願いします」
としか言えなかった。




