幕間(20話直後)
「……えぇ!?す、すごい!!!」
「男爵って言っても、土地もないただの技術貴族だし、一代だけどね」
「それが逆にすごいんです……!」
応接ソファに2人で並んで座り、リュート様が男爵位授与の通知書類を見せてくださる。
リュート様が如何に凄い研究者か、国が認め庇護すると宣言した、何よりの証。
リュート様の功績や今回の叙爵の経緯などが記されている書類には、爵位推薦人の欄がある。
レオナルド様やゼフト部長と並び、父の名前を見つけ心臓が跳ねる。
「お、お父様?なんで……」
「キミのお父さん、何がなんでもキミと僕を結婚させたかったみたい」
「も、申し訳ございません……」
「別にいいよ、おかげでキミに求婚できるから」
リュート様はクスクスと笑いながら、私の髪を手に取り、口付けを落とす。その表情が甘やかで、頬が熱くなる。
恥ずかしさを誤魔化すように推薦人欄を見ていると、ある名前があることに気付く。
「あの……恐ろしい方の名前があるんですが……」
「……僕も見ないフリしたくて仕方ないんだけど」
大変高貴な方の名前に、動揺を隠せない。
「どうして……?」
「……“聖女派"の筆頭らしいよ。キミの幸せは聖女クルーゼの幸せ、なんだって」
「ひぃ」
つまり、お父様もこの方も、私と結婚させるためにリュート様に爵位を与える気になったらしい。
プ、プレッシャーが半端なさすぎる……!
「まぁ、安心しなよ。キミを幸せにできるかどうか、見られてるのは明らかに僕の方だし」
そう苦笑するリュート様は、なんていうか、いつもより表情豊かだ。リラックスしてるというか、素に近いというか……。
「ん?どうしたの?」
「……い、いえ」
なんだかソワソワしてしまう。
そんな私に気付いたのか、リュート様は楽しげに微笑む。
「叙爵式まであと一ヶ月くらいあるから、それまでは婚約者として、よろしくね?」
「……っは、はいっ」
頬が熱い。先ほど聞かされた話によると、リュート様の叙爵が終わり次第、私との婚姻を結ぶ段取りらしい。
私を見る赤茶色の瞳が、先ほどから甘くて仕方ない。
お互い顔を見合わせ、ふふ、と微笑んだ。
「名残惜しいけど……仕事、戻ろっか」
「はいっ!今日の水門調査の報告、させてください」
この話で第2部完となります。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!!
この後、入籍~一段落するまでのパートまで書き終わりましたので、完結まで毎日更新していきます。
お時間あるときに読んでいただけますと幸いです。




