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18-1

リュート様と居られる残りの時間。

精一杯のことがしたくて、朝はサンドイッチを作るようになった。


リュート様も、野菜を切って挟むだけ、といったシンプルなものの方が体が緊張しないので助かると仰っていたので、お言葉に甘えている。


サンドイッチを作る時間分、更に早起きしていたのだが「だったら一緒に食べよう」の一言で、私も顧問室で一緒に朝食のサンドイッチを食べることになった。


リュート様のために朝食を作り、お部屋に行って起こし、一緒に食事をして、仕事を始める。

――幸せな朝の、一連の流れ。


父に手紙の返事を出してから、2ヶ月が経った。

あれから、何も連絡はない。

この生活を、いつまで続けられるんだろう。



「レン!!!」

リュート様と、応接スペースでサンドイッチを食べながら日報を確認していたら、リーリが勢いよく入室してきた。


「どうしたのローゼス」

私ではなく、リュート様がサンドイッチを食べながら応える。

「あ、リュート様いいなー!私もレンのサンドイッチ食べたい〜」

「あげないよ。それで用件は?」


以前は人前で何かを口にするのが苦手……というより体が勝手に緊張してしまっていたリュート様だったが、最近はかなり改善している。

今もリーリと話しながら普通にサンドイッチを口にし、お茶を飲んでいるが、動作に違和感はない。


――そのうち、私以外の淹れたお茶も飲めるようになるのかな。

喜ばしいことのはずなのに、そうなるべきなのに、少しだけ胸が痛む。そんな自分が嫌で仕方がなかった。


「そうだ!!あの、さっき王城から連絡が来て……聖女研究、取れました!!!うちが主導ですー!!」

リーリが私に抱きつきながら言う。

可愛いなぁ。頬が薔薇色に染まったリーリは、涙ぐみながら愛らしく笑っていた。


「やったね、おめでとうリーリ!!」

「おつかれ。よかったね」

「はい、ありがとうございます〜!!」


リーリの努力が実ったのも嬉しいし、研究のためこちらに通うお姉様とも、もう少し会えるらしい。

最近は嬉しいことばっかりだ。



リーリが10班に戻った後、朝食を片付けて本格的に朝の打ち合わせを行う。


「ああ、そうだ……今日、兄さんが来るみたい」

リュート様が確信なさげに仰る。

「お兄様……トゥルペ小侯爵閣下、でいらっしゃいますか?」

この国の貴族社会では、爵位継承権を持つ嫡男を呼ぶ際、「小侯爵」や「小伯爵」など、爵位名に「小」を冠するのが通例だ。儀礼称号も存在するが、日常会話ではこの呼称が定着している。


「うん、なんかゼフト宛に急に連絡きたっぽくて。何時に来るかは移動次第だって。僕が打ち合わせ行ってる間に来たら、適当に相手しておいて」

「承知いたしました」


リュート様と2人で週次報告会に出席する。

その後、リュート様は3班と打ち合わせに、私は顧問室へ戻る。

そのまま議事録を整えたり事後処理をしていたら、おもむろに顧問室の扉が開いた。


顔を上げると、燃えるような赤金髪の美丈夫が入室してきた。体格がよく、ロングソードを携えた姿の通り、剣術を嗜んでいるとわかる所作をしている。

男性は、警戒の眼差しで私を見ていた。


「君は誰だ。なぜ義弟の執務室にいる?」

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