幕間(15話 過去に何があったか クルーゼ視点)
※幼いカレンちゃんが暴力を受けている描写があるので、苦手な方は飛ばしてください。
( 過去に何があったか クルーゼ視点)
妹のカレンの姿が見えない。
しかも、押しかけてきた遠縁の男と一緒に。
そう言いながら侍女が泣きそうな顔で駆けてきた瞬間、私は迷わず魔力を館全体に行き渡らせた。
カレンの魔力を感知し、感覚だけを頼りに館内を走る。
そこは使用人たちが寝泊まりする一画の、誰も使ってない部屋だった。
「カレン!」
鍵なんて、私の前では無意味だ。扉ごと破壊して中に入ると――
「く、クルーゼ嬢!違うんです!これは、その、か、カレン嬢に誘われっ――」
男の言葉をそれ以上聞きたくなくて、首を水の鞭で締め上げる。
男の身体の下には、顔の形が変わるくらい殴られ、気を失っている妹がいた。
今まさに服を脱がされ始めたところのようで、妹の純潔が守られたという、それだけは神に感謝してやる。
「……9歳になったばかりの私の妹が、なんですって?」
「ぐあっ……!」
殺してやる。
殺してやる殺してやる殺してやる……!!!
そこから先はよく覚えてない。
ただ、父の介入であの男を殺し損ねたことだけは確かだった。
「……かくれんぼしようって、いわれたんです」
「それで、あの部屋に入って」
「ここにいっしょに隠れようって、寝台のなかにさそわれて……でも、なんだかこわくなってしまって」
「ほかの隠れ場所にしましょうって言ったら、急にこわいかおになって……」
「……おきゃくさまを、ちゃんとおもてなしできなくて、ごめんなさい。やくたたずで、ごめんなさい……」
そう言って泣いていたカレンは、顔の傷のせいかそのまま熱を出し――熱が下がる頃には、詳細が思い出せなくなっていた。
あの男がもし既成事実を成していたら、カレンは体面のためにあの男に嫁がされ、私はあいつを義弟としなければならなかっただろう、反吐が出る。
……カレンを、愛してはいけない。
あの子に、聖女の妹としての利用価値を与えてはいけない。
カレンを手に入れても、私との繋がりは得られない。あの子を利用する価値はない。そう思わせないと。
私には、あの子を守れない……。




