幕間(過去編 リュート15歳)
(幕間 15歳くらいの頃のリュート)
また、痺れ薬を盛られた。
対毒用の術式を回しながら飲んだので体に影響は無い。薬が効いたと思わせて、相手の狙いを探る。
いつもの手段……そのはずだった。
「本当に綺麗な顔、可愛いわぁ」
ソファに座ったまま痺れて動けない、と思われてるんだろう。僕の膝に、女が座ってきた。
後妻として高齢な貴族男性に嫁ぎ、商会を起こし、富を得た女狐は、しきりに僕の頬を撫でる。
……きもちわるい。
まだ、いつもみたいに僕の魔導具や研究を狙われた方がマシだったと内心嘆息する。
「可愛い坊や。……まだ、こういうの、知らない?」
くすくすと笑いながら女の手が移動する感触が気持ち悪い。
ボタンに手をかけられそうになる。我慢の限界だった。
「ーー知ってるけど、あんたには興味ないよ」
魔力で昏倒させ、ソファに横たわらせる。
この手の輩に下手に怪我をさせると面倒だというのは、よく知ってる。恥をかかせすぎず「まあいいか」と思わせる程度を見極めなければならない。
……少し背が伸びた頃から、こういうことが増えた。
兄さんが、僕に「こういう手合い」の対処を覚えさせた理由がよく分かる。
未経験のままこういう目に遭っていたら、気が動転していただろう。
服を整え、毒にも薬にもならない程度の魔導具だけを置き土産に残して、何事もなかったかのように館を後にした。
少し……疲れた。
どうして皆んな、僕を放っておいてくれないんだろう。
僕はただ、考えるのが好きなだけなのに。
ここまでで、1章は終了となります。
2章(2人がくっつくまで)は書き終わってるので、よろしければ、もうしばらくお付き合いいただけますと幸いです。




