表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/159

43

カレンから穏やかな寝息が聞こえてきたので、目を開き様子を窺う。力の抜けた寝顔に、心の底から安堵する。

身体から一気に力が抜け、代わりに疲労感が襲ってきた。


普段なら、徹夜しようが疲れなんて全く感じないのに。

慣れない人間に会って、慣れない事をしただけでこの有様だ。

……情けない。そう思いながら腕の中の愛しい存在を抱き締める。


温もりを堪能しながら、先ほどのやり取りを思い出す。

いつものカレンなら、僕が休めと言っても「でも」とそのまま僕の心配を口走り、「やらせてください」と言ってきていただろう。それなのに……。


『……承知しました、リュート様。お心遣いありがとうございます、本日は休ませていただきます』


――血が凍るとは、こういう事を言うのか、と思った。


僕の言う事を優先して、自分の気持ちは『僕のため』という免罪符がないと出そうともしない。あんなカレンは初めて見た。補佐官になりたての頃よりもっと酷い。

最近ようやく、少しずつカレンの気持ちと言葉が出始めていたのに。

思わず奥歯を噛み締める。


あの同級生だという連中のせいで、カレンの精神(こころ)は当時に引き摺られてしまったのだろうか。

やっぱり、殺しておけばよかったと思ってしまう。

カレンという守るべき存在が腕の中に居なかったら、シュレインが視界を遮る様に立ってくれなかったら、激情のままに魔力で潰していた自信がある。


――魔力紋は覚えた、今からでもやっぱり……。


「……んぅ、……リュート、さま……」


カレンの声と、胸元に頬擦りされた感触で我に返った。

夢を見ているらしく、控えめに微笑んでいる。


ああ、こんなに自然で、穏やかに笑っているカレンを見るのはいつぶりだろう。

そう思った瞬間、目頭が熱くなった。

カレンが眠っているのをいい事に、堪えもせずそのまま流れるに任せる。


愛してるのに、大切なのに、いつもこの想いはキミをすり抜ける。

甘やかしたい、守りたい。その為になら何だってしたいのに。


カレンを起こさない様に、耳元でそっと囁く。

「……ずっと、一緒に、いるからね」


少し冷静になった頭で色々考えていたら、ふと、黄緑頭が脳裏をよぎる。

あの時も、近衛の屑と僕らの間に遮る様に立った彼。

学園を卒業したばかりのカレンから、信頼を勝ち取ったあの男。


シュレインと、もっと話をしてみよう。

僕がカレンから、信頼を勝ち取る為に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ