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幕間(30話直後)

会議が終わり、ベスさんが入室してくる。

これから僕ら数人だけ部長室に移動し、今日の襲撃について話をするらしいので合流しにきたのだろう。


カレンの傍に居るシュレインに気が付いたらしい。にこやかな笑みを浮かべている。

「あら、シュレイン。次の外出からはよろしくね」

「うぃーす、よろしくお願いしまーす」

軽い調子で挨拶を交わす二人に、カレンが声をかける。


「ベスさん、社交時の護衛待機部屋、くれぐれもよろしくお願いいたします……!」

「あはは、そうねぇ。シュレインが暴れないように見張ってるわ」


そんな二人のやり取りを、シュレインは呆れたように見る。

「ベスさんまで……二人とも、マジで俺のことなんだと思ってるわけ?」

「自分の胸に聞いてください。先輩の実力は知ってますし全面的に信頼してますけど……私が何回、現場で先輩の代わりに謝ったと思ってるんですか!?」

「あー、あー、聞こえねぇな」

「もう!」


ベスさんはクスクスと笑うばかりで止める様子もない。

いつもの事なんだろうか。


カレンの向こう側で、班長達が遠巻きにシュレインを見ている。大半の班長は戸惑った表情を浮かべていた。


そんな班長達の視線に気付いているのかいないのか、シュレインは気にした様子もなく書類を片付けているカレンに話しかける。

「あぁそうだ。ここの食堂おすすめある?」

「え?ここにはシュウさんが気に入るくらいの激辛料理は置いてませんよ。諦めて自分用の唐辛子持参してください」

「えー」

「文句言わない!献立考えてる人に失礼ですよ!」

「持ってくんのめんどいから、唐辛子お前の執務机に置いといていい?」

「絶対嫌です」


よくこんなに続くな、というくらい軽快な会話が続く。

それに……本当に、ここまで遠慮がないカレンは初めて見た。


ベスさんが僕の隣にそっと立ち、話しかけてくる。

「驚いた?」

「……まぁ」

つい雑な返事をしてしまう。


そんな僕をクスクスと笑いながら、ベスさんはカレンたちの方を向く。

「でも、可愛いでしょう?」

その言葉につられるように、改めてカレンを見る。


くるくると変わる表情、尖った口、遠慮のない物言い。

いつものカレンとは違う、快活な妻。

「……可愛いけど、その言われ方はちょっと複雑」

「あらあら」


不意にシュレインがベスさんの方をチラリと見る。

ベスさんは勝手知ったると言った様子で、カレンに声をかけ先に2人で部長室に向かってしまった。


カイルさんとゼフト、シュレインと僕だけになった瞬間、大きな溜息が聞こえる。

「……はぁ〜あ、俺が呼ばれたわけがよくわかった」

コキコキと首を鳴らしながらシュレインが肩を回し、カイルさんが苦笑いしながらその背を軽く叩く。

「おつかれさん。相変わらず扱い上手いな」

「へいへい、まぁいつもの事だからね」


ゼフトも少し驚くように呟く。

「凄いな。ストックリーがあそこまで強く出るの初めて見た」

「はいはいどーも。言わせてやってんの、アイツ吐き出すの下手だから」

肩をすくめて返事をするシュレインに、カイルさんが笑う。

「はは、その調子で尻に敷かれてやってくれ」

「ったく……」


シュレインが、ジトリとこちらを見る。

「……マジでさ、なんで旦那がいるのに俺が尻に敷かれる役なわけ?」


――うん。なんか、ごめん。

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