セレネ様の元へ
声を出さずに涙だけが止まらなくて泣きすぎて疲れてきちゃった。
歩いてるわけじゃないのにね。
「大丈夫か?」
隊長さんは優しいな…。
「もう…大丈夫です。」
「目が腫れてしまってる。
セレネ様に会ったら目を冷そう。」
「はい。」
森の中で消えるかもしれなかった存在が生きて他国に来るなんて思われたのかな。
お父さん……やっぱり来たよ。
私の存在を否定されたよ……。
お兄ちゃん…会えるよね?
また離ればなれなんてことないよね?
「他国の忌み子説は消えたと思ってたんだけど……お嬢さんに辛い思いさせちゃったね。
この国にいる間俺と兄さんで守れるようにセレネ様と話する時一緒に居てもいいかな?」
「……はい。」
守ってくれる人は増やした方がいいのかな?
孤独が怖いのは森の中での生活で知ってる。
なんで私なのかな…。
私じゃなくても良かったんじゃないのかな。
どうして私なの?
答えなんて返ってこないけど疑心暗鬼になっちゃうよ。
「大丈夫だ。
俺達はこの町で融通が効くから。」
「心配…かけました…。」
「まだ幼いんだから大人を頼ってもいいんだよ?」
「……そう…ですよね…。」
「アノスそれが出来ていたならば…。
いや…やめとこう。」
もしかして気を使わせてる?
「大丈夫ですよ。
ありがとうございます。」
「いや……気にする事はない。」
「隊長は硬いなぁ。」
「あの…仕事以外ではお2人は名前を呼ぶんでしょうか?」
「気になる?
仕事以外でも隊長って呼ぶのは人の目がある時だけだよ。
流石に家族でいる時までそうする必要は無いからね。」
「そうですよね…。」
「そろそろセレネ様の居る教会に着くぞ。」
「……すごく綺麗ですね。」
「癒し手の仕事場にもなるからな。」
「俺達は見慣れてるけど初めて見ると綺麗かもしれないね。」
「すごく綺麗ですよ!こんな場所があるんですね。」
建物は白いのにその周りに花が沢山ある。
花の通り道にワクワクしてくる。
色とりどりの花に白い教会がある事を私は知らない。
捨てられるまで狭い世界しか知らなかった。
前世の私の記憶にも教会は無い。
泣いていたせいで教会に近づくまで周りを見る余裕すらなかった。
私を捕まえて殺そうとする人まで居て国が違うのに許されると思ってることも私の存在すらもダメなのかと思ってしまったこともこの景色だけで無かったことに出来る気がする。
「喜んでもらえてよかった。
女の子なんだね。」
「そうですか?」
「この国の女の子の憧れにもなってるんだよ。」
「この場所がですか?」
「そう。
癒し手は癒しを与えてくれるけどこの場所で結婚出来たら幸せになれるとも言われてたりするんだ。
隊長もこの場所でしたよね。」
「あぁ…。妻がこの場所で結婚したいと言ったからな。」
「義姉さんの頼みに弱いもんね。」
「幸せになれる場所……。」
羨ましいなぁ。
幸せになれる場所……。
私が幸せになれる場所はどこにあるのかな。
「お嬢さんも幸せになれるよ。」
「そうかな?」
「だってセレネ様に会うためにこの場所に来たんだからなれるよ。」
「2人に言われるとそんな気がしてきます。」




