私の存在って…ダメなの?
「アノス!」
隊長さんの怒鳴り声でビクッと震えて下を向いてた顔をあげる。
なんで隊長さん怒ってるの?
私が怒らせちゃったの?
「怒るのは後で。
お嬢さんが困ってますよ。」
「そういう問題では無いだろ!」
「あ……あの私は…大丈夫…です。」
「大丈夫じゃないだろ?
セレネ様の場所に向かいながら話を聞く。
お嬢さんは……悲しい顔しないで欲しい。」
「いえ……本当に…大丈夫です。」
「隊長。俺も行きます。」
「わかった。
お嬢さんはそれでいいか?」
「はい。」
なんでここまで良くしてくれるの?
セレネ様の場所教えてもらうだけじゃダメなの?
私って…どこに居ても…居ちゃダメな存在なのに。
「さっきつかまえたやつなんだけど。
隣国の忌み子説を信じる者だった。」
「そうか。
まだ根付いているとは……愚かだな。」
「……えっ?」
「……ん?
いやこの国は双子の忌み子説を嫌う者が多いんだよ。
俺達も嫌ってる。」
「そうなんですか?」
「不思議で仕方ないって感じだね。
双子の忌み子説を信じていたら癒し手なんて存在を信じれるわけないからね。」
「……そういうものでしょうか?」
「そういうもんだ。」
なんだろう……。
この国なら私の存在は認めて貰えるのかな?
そうだったら嬉しいなぁ……。
遠くの方から捕まった人が叫んでる声が聞こえてきた。
「何故だ!双子の忌み子は消されるべきだろ!
何故あれがここにいるのに処分しないんだ!
俺は奥様に頼まれここに来たのに!」
叫び声にビクついて悲しくなってきた。
お母さんが送った人だったんだ……。
私って要らない子なんだ……。
幸せになっちゃ……ダメなのかな……。
歩くのを止めて下を向いていたら涙が溢れてきた。
「あんなのを聞いちゃダメだ。」
「そうだよ。
お嬢さんは気にしちゃダメだよ。」
「……っ……うっ。」
声を殺して泣くしかできない。
人の優しさなんてばぁやしか知らない。
だってあの屋敷には居場所は無かった。
私の存在は何処にも無かった。
辛いも、悲しいも、寂しいも、何も言えなかった。
幸せになりたいと願っても許されなかった。
森の中で女神様と話してる時だけは寂しくなかった。
だけど……人の温もりも優しさも今まで無かった。
「お嬢さん……失礼するよ。」
声を殺して泣いてる私を隊長さんが抱っこしてくれてる。
「……な、なんで?」
「この方が早いからな。」
なんで何も言わずに居てくれるの?
「今は甘えとけばいいと思うよ。」
「……どう…して?」
「あんなやつの話なんか聞いて悲しくなって泣いちゃったんだから歩けなくても仕方ないことだよ。
あれは……きっちりこっちでなんとかするから。」
なんでこんなに優しくしてくれるの?
分からないよ。
「あれを殺すんだ!
忌み子はいちゃいけない!」
「煩いぞ。黙っとけ。隣国の忌み子説は今は消えてきてるのに信じてるお前のが頭がおかしいって気づいた方がいいと思うぞ?」
「煩い、煩い、煩い!
忌み子なんていなければいいんだ!」
涙で見えないけど聞こえる声は私の存在を否定してくるばかり。
生きちゃダメなの?
双子ってだけでダメなの?
「隊長ここから早く移動しましょ。
あれは……もう無理です。」
「分かっている。」
私を抱っこしてくれる優しい手は安心感をくれる。
なんでこの2人は私を守ってくれるの?
なんでこの国の人は私を受け入れるの?
双子が嫌われてるのはあの国だけなの?
……どうして?




