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1月8日 勝負事の日
決断を迫られていた。
私は決断を迫られていた。
長い長い行列の中で、私は一人頭を抱えていた。
先頭では一人づつ台に登って宣言をする。
「私は学問で国を支えていきます。」「私はこの身を使い国を支えていきます。」
この二択から宣言をしないとならない。
宣言した先で案内された部屋で今後の生活を¥の説明がある。
どちらがいいか情報は全くない。
人生最大の勝負と言っていいだろう。
直前になっても私の心は定まらなかった。
ーあと5人
ーあと4人
ーあと3人
ーあと2人
ーあと1人
前の人間が宣言しても私の心は決まらなかった。
「次」
「はい!」
返事はしたものの、心は定まらなかった。
「私は……」
そこで言葉に詰まってしまった。
「私は……」
言い直しても言葉を紡ぐことは出来ない。
「連れていけ。」
私は抵抗する力も湧かずにつれていかれた。
そんな私を見てどこか皆、同情の視線を送っていた。
1でも8でもない答えを待っていたのは失敗の人生だった。