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1月3日 悲恋だからこそ美しい、駆け落ち

「この命など全く惜しくない。」

「私もそう。」


 君の瞳には俺がいて。俺の瞳には君がいるだろう。

 それだけで世界は美しかった。

 微かに薫るアルコールのにほひから悠久の繋がりを感じる事が出来た。

 俺は瞼が降りていく中世界と別れにつげた。


「さようなら。」

「また逢いましょう。」


 彼女の声に目を移した。

 彼女は美しく俺は笑みを浮かべていた。


「今のさよならは君にじゃないよ。」

「じゃあ、誰にいったの。」

「この世界にだよ。」

「よかった。じゃあまたね。」

「うん。また……」



 ~~~~~~~~~~~


 目の前には彼女がいた。

 不思議な事に声が出ない。

 しかし、彼女がいるだけで満足だ。

 俺は幸せな気分に浸っていた。


 ~~~~~~~~~~~


 寒さから目を醒ました。

 しばらく状況は飲み込めなかった。

 隣にいる彼女を起こそうとして気が付いた。


『心中が失敗した。』


 アルコールの量も薬の量も問題なかった。

 しかし、何故か失敗した。


「どうしたの。」


 物音に反応してか彼女も起き出した。

 完全な失敗だった。

 情報では間もなく俺たちは実家に戻される。

 だからこそ心中をしようと思った。


 ートントン


 ノックの音が聞こえた。

 お互い顔を見合わせた。

 このままどこか行ってくれることを祈った。


『おーい。聞こえるか。いるのはわかっているんだ。』


 聞いた覚えのある声だ。間違いなく俺たちを連れ戻しにきたんだろう。


『お前たち勘違いしているようだから。

 言いに来たんだが、お前たちはもう俺達とは関係ない。

 お前たちの言葉で言うなら自由の身だ。

 その代わり俺たちの名前を二度と使うなよ。』


 ドアの外からの声のはずが嫌に響いた。

 隣にいる彼女もみるからに驚いていた。

 その姿を見て少し美しくないなと思った。

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