1月1日 一年の計は元旦にあり
「もう少しだな。」
「そうだな。」
「今年はどんな年だったんだ。」
「いやー望むものは全部叶うし。最高だったな!」
「一年の計は元旦にありっていうしな。これから計画を立てるのもいいかもな。」
遠くで聞こえる除夜の鐘をかき消すような嫌に響く声だった。
何処となく趣味の悪い部屋に二人の男がいた。
純金の置物に無駄に大きな剥製。成金趣味が全開の部屋だった。
「そういえばお前と会ってもう一年経つか。」
「そうだな。あと数分で一年経つな。」
「そっか。確かお前にあったのは今年が始まったと同時か。」
「そうだな。覚えているかその時の事。」
「覚えているよ確か『今年の願いを言ってみろ。全部かなえてやる。』だっけな」
「『今年の願いを叶えてやる代わりに代償を払え』も忘れるなよ。」
「そうだったな。その契約が終わった後の代償はキツかったよ。」
「代償?」
「そうだよ、なんかだるくなるしさ。まぁ今まで得てきたものを考えれば軽すぎるか。」
「何言っているんだ?」
「何って代償だよ。」
「あれは代償でも何でもないぞ。」
「は?」
「は?」
「じゃあれは何だよ。いや、知らないが代償はこれから払ってもらうからな。」
「何言っているんだよ。」
男は冗談めかして言ったが、それを受け付けないように笑みを向けられた男は一気に笑みを消した。
「それじゃあ代償っていうのは。」
「これからだな。今年の願いは叶えたわけだしな。」
「今年って。来年以降は!」
焦っている姿に男は笑っているだけだった。
「笑ってないで答えろよ。」
怒れば怒るほど男は笑った。
そして、侮蔑した表情で一言吐き捨てた。
「来年も目標もあるが先に今年のツケを払わないとな。」
気が付けば、除夜の鐘が鳴りやんでいた。