佐藤仁美side②
「ただいまー、仁美ちゃんお祝いにいつもの所でケーキ買ってきたよ♡」
スーツをきっちり着込んだ伯母さんが笑顔で帰ってきた。
「息子には何か言うことないのかよ!!」
文句を言いながら食卓にオカズを並べる。
しかも、お祝いとあっていつもより豪華だったりする。
「健もありがとう。今日お父さん、残業だって」
母親の貫禄なのか息子の文句も笑顔で流す。
なんだかんだ言って健は叔母さんに弱いのだ。
「叔母さんおかえりなさい。お邪魔してます。」
私は叔母さんが好きだ。
大人として好ましく思う。
気さくでお茶目で可愛らしくて素敵な人だと思っている。
さりげない子煩悩な所も尊敬もしている。
そしてどんな事にも手を抜かない。
全ての夕飯の準備が終わって席に着く。
「健、ホールケーキ買ってきたから箱から出してくれる?」
「俺は奴隷かよ」
文句を言いながら食卓の中央に置かれたケーキを取り出す。
「なっ!!!」
ご愁傷さま。私ならもう二度とそこのケーキ屋には行けない。
叔母さんは嬉しそうに笑っている。
「なっ!!なんだよ!!これ!!」
「学祭終わってからソワソワしてるから、仁美ちゃんに聞いちゃった。」
「なっ!!」
健よ、お前は今、「なっ!!」しか言ってないぞ。
そう思いながら私の方を向いているであろう健と視線が合わせないように目を泳がせる。
「ワァ、オイシソウナケーキダネ。」
声が棒読みになる。
ケーキの上にあるメッセージチョコレートは【健、初カノおめでとう♡】だった。私なら、羞恥で泣ける。
「なんで知って・・・」
「じゃーん♡お母さんからのサプライズ♡」
叔母さん、お祝いしたかったんだろうけど鬼…