佐藤仁美side①
私はため息をつく。
「アホだと思わない?」
「何が?」
「美男美女コンテスト(笑)」
キッチンで料理をしている彼にゲームをしながら話しかける。
「人の家でくつろぎ過ぎだ。」
「なんで、知らん奴らに審査されなきゃならんの?自薦のみでやれやって思わない?審査されたい奴だけやればいいのに。」
「黙れ、八方美人。そんなのモテる奴しか云えねーよ。それにしても母さんは仕事のくせになんでお前を夕飯に呼ぶんだよ。」
愚痴をこぼしながらも支度を順調に済ましている。
「おばさん、娘欲しがってたからね。それより、いい主夫になるよ。健。」
「うるせーよ、もう少し息子も可愛がれや。呼ぶなら自分の休みの日にしろよ。面倒くせー。」
「それにしても、真面目になったよね(笑)黒歴史を作った感想は?あっ、これからも新たな黒歴史作るんだっけ(笑)」
大爆笑しているとキッチンから戻ってきた健が私の頭を容赦なく殴る。
「嫌なら断れば良かっただろう、ミスコン。何にせよ、終わった事なんだからグチグチ言うんじゃねーよ。」
「できたら、苦労しないから。お祭りパワーはすごいんだよ。なにせ中島碧まで無理矢理参加させたらしいから。事後承諾で始まってて、本人かなりキレてたけど。」
「あぁ、そうなの?」
中島碧、同学年でショーモデルをやってるスーパー美女だ。
とにかく無表情で出てるオーラがヤバイ。
そしてTV(インタビューやバラエティ、ドラマ)には絶対に出ないと決めているらしい。
本人曰く、親の手伝いであって仕事ではないと学校に話していたとか。なので学業優先を謳っているだけあって成績もいい。
彼女がやるのはデザイナーである自分の母親と母親のデザイナー仲間の友人のショーとポスターモデルのみである。そんな彼女を目玉に学校を売り出そうとした教師陣とお祭り大好き学生が手を組んで大々的に行ったのである。
結果、男女とも圧倒的票数で優勝。
笑顔一つない棒読みのありがとうを全校生徒は聞くこととなった。
ありがたいがどうかは別として私もミスコン3位を頂いたわけで今回はそのお祝いを叔母さんがどうしてもしたいと言う事でお呼ばれされたのだけど、お叔母さんまだかなぁ。