9話 このカレーは俺達テロリストがいただいた!腹が減っては戦はできねえ!!!ってか?
キーンコーンカーンコーン♪
キーンコーンカーンコーン♪
お昼のチャイムが鳴る。
そういや今日の給食はカレーだったな。
廊下までいい匂いが漂ってくる。
こういうとき、いつも通り食事を取れるやつが生き残るんだよなあ。
「お前らも食うか?」
「……いいのか?」
「いんじゃね?100人くらい死んだし結構余ってるでしょ」
心なしかテロリスト達の顔が綻ぶ。まあこいつら普段ネズミとか食べてそうだしな。
普段は給食係が運ぶんだが、今日はやむなくセルフサービスだな。とくれば、配膳室へ直行だ!
「夢野はどうする?」
「かなたでいいですよ。たとえ配膳室だろうと地獄だろうと、どこまでも先輩にお供します♪」
かなたは俺の腕に抱きついてくる。こいつもカレー好きなのか。しかし歩きづらいな。いざというとき銃が使えないと危険だと説明し、渋々離れてもらった。
ここが配膳室か〜って、扉閉まってるじゃん!鍵かかってるじゃん!?
「おい誰だ中にいるのは、開けろ」
「誰だ貴様は!?」
「2年の神嶺だ」
「なんだ神嶺くんか……」
なんだとはなんだ。
まあ仕方ねえか、まさか善良な生徒がテロリストと組んでるとは思うまい。
「ところでその声は教頭先生か?」
「私は教頭だぞ!敬語を使え!!!」
「こんな状況で目上も目下もねえだろ」
「ぐっ……」
「それより給食のチャイムが聞こえなかったのか?扉を開けてカレーを寄越せ」
「それは……できない」
「は?」
「私はここに籠城してるんだ!万が一にも貴重な食料をテロリストに奪われるわけにはいかない!!」
「じゃあ俺だけでも入れてくれよ」
「駄目だ!テロリストに脅されている可能性がある!!不要不急の外出はッ!禁止ぃいいいいいいッ!!!」
埒が開かねえな。扉も開かねえし。
これだから馬鹿のくせに偉くなった奴は嫌いなんだよ。
「どうすんだよ白神?」
「この扉を壊す武器はあるが、中のカレーが滅茶苦茶になっちまう」
「じゃあカレー食えねえのか?」
「落ち着けよジャック、俺に考えがある。かなた、協力してもらうぜ」
「え?私ですか?」
「ああ。まずは理科室、それから放送室だ」
〜〜教頭視点〜〜〜〜〜〜〜〜
「ハァ、ハァーー諦めて行ったか」
大人を舐めたガキめ。この事を教育委員会に訴えられたら面倒だが……どうせその辺のテロリストに殺されて終わりだろう。
私は教頭だ。
この学校のナンバー2だ。
だというのに、ガキどもから尊敬の目で見られた事は一度もない。可愛くねえガキどもめ。お前らにやる食糧は無え!!
「これだけ食糧があれば三日は持つ。必ず助けは来る。私は生き残るべき人間だ。ガキどもも校長も殺されちまえ!!私のひとり勝ちだあああああああああああああ!!!」
『ーーピンポンパンポーン!!』
「うわっ、ビックリした」
なんだ校内放送か。
スピーカーから女性の声が鳴り響く。
『火事です!火事です!!一階給湯室で火災が発生しました!!速やかに避難してください!!』
給湯室って……ここの隣じゃねえかあああああああああああ!!!!?
やっべえええええええええ!!
どうする!?どうする!!?だが外にはテロリストが!!
ーージリリリリーー!!
「火災報知器ッッッ!!」
ーーモクモクモクーー。
「ひいい!?煙まで入ってきた!!もうおしまいだあ!!!」
こんな状況なら流石にテロリストも逃げてるだろう。私はハンカチで口を塞ぎ、大急ぎで外へ飛び出す。
「ご機嫌いかがですか、教頭どの?」
「へ??お前は、かっ、かっ、かみーー」
銃声一発。視界暗転。我昇天。
私の輝かしい人生は、59歳で幕を閉じたのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
放送室にて。
「いただきます」
連戦で空腹になっていた俺は、カレーをかき込むように食べる。カレーを食えばその給食センターのレベルがわかるというくらい、カレーは重要なのだ。
……甘い。もう一口!
「お代わりしてもいいか?」
「好きなだけ食え」
「これだから中学校占拠はやめられねえ!」
テロリスト達も嬉しそうだ。
「給食のカレーってなんでこんなに甘いんだろうな。俺は辛口が好みなんだが」
「私、得意ですよ、辛口のカレー」
「それなら今度食べさせてもらおうかな」
「もう、先輩ったら♪ほっぺにご飯粒ついてますよ♪」
「ああ、ありがとう」
かなたが俺の頬についた米粒を啄む。
髪の毛があたってこそばゆかった。
「それにしてもよく思いつきましたね、校内放送で火災を演出するなんて。煙はどうやったんですか?」
「ドライアイスだよ。理科室から拝借したんだ」
「流石は神嶺先輩です。大の大人を手のひらの上で操ってーーいけない事だけどカッコイイです!」
「かなたの放送のおかげだよ。落ち着いていて、本物みたいだったぞ」
「ふふっ。スパイみたいでドキドキしました♪」
悪事に加担させてしまったのわけだが、かなたはどこか楽しげだった。この子は将来、大物になるな。
「そうだ、お昼の放送も流しましょうよ!私達の声を聞いたら、みんなきっとビックリしますよ」
「グッドアイデア!!」
全校放送のスイッチをオンにする。
『我が名は白神!!』
『我が名はかなた!!』
『この学校は我等アポカリプス・ジャッジメントが占拠したああああああ!!』
『皆さんがお昼に食べるはずだった給食のカレー!!最ッ高に美味しいですうううう!!!』
『午後の授業は中止だボケがあああああああ!!!』
『あと私達つきあってますうううううううううう!!』
つきあってないけど。
後でジャックにこっぴどく怒られた。
ちゃんちゃん。
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