5話 剣道で全国に行ったとかイキってたな。じゃあ俺と真剣勝負しようや、ってか?
クラスメイトのみなさま。
楽しい楽しい処刑タイムの続きですよおおおおおおおおお!!!
「次はお前だ、矢部」
「なんで俺が!?」
「俺はお前みたいなイキり野郎が一番嫌いなんだよ。ほら殺してやるからさっさと来い」
教室の中央に机を敷き詰め、簡易的なリングを作る。俺と矢部は机の上に乗った。
「真剣を2本よこせ、ジャック」
「なぜ剣があると思う?」
「お前らの装備なんて俺の想定の範囲内だからな」
「ククク…ほらよ」
俺はジャックから受け取った真剣を一本、矢部の方に放り投げる。矢部はわたわたと取り損ねて尻餅をついた。ぷっ、だっっっっせえ!!!
「なんの真似だ?」
「矢部、お前剣道部だったよな。全国大会に行ったんだってイキってたよな?」
「それがどうした」
「俺の事も随分イジメてくれたよなあ?竹刀でバシバシってよお!」
「ひいいっ!?」
ちょっと威圧したら失禁しやがった。コイツ本当に中学生か?俺なら恥ずかしくて自殺してるね。
「お前にチャンスをやる。俺とこの真剣で勝負しろ。お前が勝ったらクラス全員解放してやるよ」
「なんだと!?」
「ベリーイージーだろ?お前は全国大会の剣道部員、かたや俺はトーシロだ」
「だが……殺し合いなんて……」
「やるのかやらねえのかハッキリしらやああああああああああ!!」
俺はイラついて剣を振り回しながらクラスメイトどもに次々と斬りかかる。知らんけど二、三人死んだっぽい。
「ひいい!わかった!やる!やってやる!」
俺と矢部は真剣を構える。重さ、切れ味、すべてがリアル。これはお遊びの部活とは違う、正真正銘の殺し合いだ。
睨み合う二人、勝負は既に始まっているのだ。テロリスト達もクラスメイト達も、固唾を呑んでこの光景を見守っている。
「わあああああああああああ!!」
緊張に耐えかねた矢部が剣を上段に構えて走って来た。
「めええええええええん!!!!」
「どおおおおおおおおお!!!!」
「つきいいいいいいいい!!!!」
俺は矢部の剣を片手で軽くいなす。
え?どうしてそんな真似ができるのかって?
「めええええええええん!!!!」
「どおおおおおおおおお!!!!」
「つきいいいいいいいい!!!!」
だってこいつわざわざ狙う場所を大声で教えてくれるんだもん。なにこれハンデ?アホなの?剣道部の本能?スポーツマンシップってやつ?
なんでもいいけど戦場じゃケツを拭く紙より役に立たないぜ。
あ、でもいい事思いついた。
俺もいっちょやってみっか。
「めーん、なんちゃって」
矢部は上段を防御する。面が来ると思っているからだ。俺はガラ空きのボディに真剣を叩き込んだ。
「グフっ……ひ、きょう、な……」
「知能が猿並みの相手に対して、同じレベルでつきあってやることを正々堂々と呼ぶのなら、俺は卑怯者で構わないよ」
「……」
矢野は事切れたようだ。
相手の流儀に則って一礼する。
「対戦ありがとうございました」
俺はいつの間にか涙を流していた。
矢部の死に対してではない。罪悪感ではない。
クラスメイトの死に何も感じない、変わってしまった自分に対してだ。俺にも昔は純粋な頃があった。いつの間にか歪んでしまっていた。
イジメのせい?
テロリストのせい?
あるいは両方か?
だが、ここは戦場だ。甘っちょろい事は言ってられない。環境に適応できない奴から死んでいく。
それがダーウィンだ。
それが進化論なのだ。
俺は静かに、目頭を拭った。
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