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魔王に支配された世界

作者: 下菊みこと

たまにはこんな話も書いてみたかったのです。許して。

この世界の人間には、祈りなど存在しない。せいぜい、いい魔族に飼って貰えますように、くらいか。幸い俺はいい飼い主に恵まれ、知性紛いのモノを与えられたが、やはり何かに何かを祈ったり願ったりなんてしようとは思わない。人間の解放も、魔王暗殺も、やりたい奴がやってくれとしか思わない。


今日は飼い主に連れられ人間牧場に来た。ここでは愛玩用、食用、労働用の人間達が育てられている。俺を愛玩用として飼うご主人は、ここのトップらしい。


愛玩用の人間には僅かばかりの教育も与えられる。でも、少なくとも俺は、知識なんて与えられたくなかった。何も知らないまま死にたかった。


日付が変わる頃、ご主人に客が来た。そしてご主人は客としばらく話して…突然、客の飼っている人間に客ごと襲われて、殺された。


全く、なんて事をしてくれたんだ。これじゃあ人間愛護センター行きになるじゃないか。


やらかしてくれた人間は、なにやら俺に「理想」やらなにやらを熱く語り、「仲間」とやらの存在を示唆して、俺にも仲間になるよう説得してくる。まあ、俺の返事なんか決まってる。


「知るかそんなもん」


俺はどうにか人間愛護センター行きにならないよう、野良として生きていく道を模索しなければならないのだ。馬鹿の独り言なんぞに構ってられるか。


それから俺は、やらかしてくれた人間の必死の呼び掛けも無視して家を出る。


ー…


あれからしばらくが経ち、俺は見事に野良として生きている。野良だとバレると人間牧場か人間愛護センターに連れていかれるので、さも放し飼いの人間のフリをして生きてる。偽装に必要な服や道具は家から持ってきたし、今のところ問題ない。


野良生活は思ったより楽だ。ご主人のご機嫌伺いも必要ないし。


こうして自由を得てみると、今まで当たり前だった世界が滑稽にみえる。


そういえば、以前やらかしてくれた人間のお仲間とやらは順調に数を増やして、魔王を倒す準備をしていると風の噂できいた。おかげで、余計に野良だとバレるわけにいかなくなった。本当に余計なことをしてくれる。


さて、やらかしてくれたあいつらが勝つか。魔王が勝つか。野良の俺は、高みの見物と行こうか。

どうでしたでしょうか。楽しんでいただけますと幸いです。

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