【実話】無駄に詳しく思い出した「夢」の話【SALT】
ゆっくりイメージしながら読むことをおすすめします
教室での授業
男の子がおどおどしている
女の子がニヤニヤしている
小宮
わたし
今は修学旅行、ホテルでのご飯
一人一人給仕される形式で出てくる料理は美味しそうなものばかり
ローストビーフ
豚ステーキ
どこかで話し声が聞こえる
幽霊の話
ハッとするわたし
過去、小宮とわたしと奈々子が遭遇した事件
白い部屋
奈々子の叫び
逃走
巨大な何か
街の混乱
母との合流
その時には全てが終わっていたこと。
記憶はそこで途切れ
奈々子を探しにもう一度来たこと。
奈々子は白い繭の中に囚われていて、助け出せなかったこと。
白い部屋で彼女の人形を見つけたこと
青白く光る繭、その中で菜々子が待っているイメージが浮かび上がる
そうだ、奈々子の人形
ずっと所持していた物だ
人形を取り出すと先生に呼ばれる
二人で人形を見ると先生が紙を取り出した
今から指示することをやってほしいそうだ
心臓に埋め込まれたボタンと左のこめかみを押す
わたしの意識が初期化され、ロボットになってしまう
宙を漂い、システム語しか話さなくなったわたし
クラスメートの間に動揺が広がる
人が異質なものを感じた時の反応は沈黙だ
静かに揺れる部屋を出るわたし
頭には青白い繭のイメージだけが残っている
誰かに話しかけられた気がするが、
おそらくわたしのことを聞かれたのだろう
「自分でお調べになってください」
一言だけ返し振り切った
暗闇に溶け込めば誰にも察知されることなくこの場を離れられる
尋常ではない身体能力によって、わたしは夜の闇に駆け出していく
散策パート(1時間経過)
庭園で呼び止める声
小宮だ。
モニュメントにハッキングすることで、忘れてしまった過去の事件を知るわたし
そして青白い繭の中に囚われているのが自分の幼なじみだと小宮から教えられる
奈々子が封印されている場所を探す二人、以前探ったことがある小宮は大まかな当たりをつけていた
近未来的なコンテナの並ぶ倉庫
奥には煙が漏れる通路があった
それは屈まないと進めないほどの狭い通路
わたしにはそれが繭によって狭められていると直感で分かった。
蜘蛛の巣のような繭をかき分けながら抜ける。
そこは小さな部屋だった。
いつくかの箱が置かれているそこは明かりがないにもかかわらず、薄明かりに照らされている。
左手から青白い光を照らされている。
そこは壁と扉しかない。
堅牢な扉によって遮られているにもかかわらず、青白い光と灰色の煙が、壁の向こうから漏れ出しているのだ。
わたしが扉を破壊すると
また狭い道になっていた
先ほどの道よりも繭の層が厚く、密度も高いことがわかる。
扉よりも硬い繭に眉を潜めながら
匍匐で抜ける。
するとそこは白い部屋だった。
子供部屋のように物の少ないそこには彼女がいた。
奈々子だ。
幼い少女の姿のままの奈々子だった。
わたしは知らず知らずのうちにフラッシュバックする。
部屋の片隅にはおそらく繭の残骸だろう白い布の塊がある。
そして漂う濃密な煙。
ある種の予感を感じていた、何か…
しかし、その何かに考え至る前に奈々子が話しだす
幼い声で話し出す
「やっと来たのね、〜〜ちゃん。わたし待ってたのよ。ほら…遊びましょー? 緊張しなくてもいいの。ここはとってもいいところなんだから。ほら、お塩様も見ているわ、ずーとずーっと、これからはずっとあなたと一緒。うふふっ」
瞬間、周囲の煙が一瞬浮き上がったかと思うと部屋の四隅から急速に灰色の竜巻が発生する。
その竜巻は急速に勢いと体積を増し、今にもわたしたちに襲い掛からんと渦巻いている
わたしは瞬時に飛び上がり、強力な回し蹴りで竜巻をかき消した。
灰色の竜巻が晴れると、そこには狼のような頭に蛇のような体、伝説上の東洋の龍を思わせる、青白く発光する目をしたけむくじゃらの灰色の怪物がいました。
青い瞳の尾を引かせて有無を言わせぬ勢いで襲いかかってくる怪物を蹴り飛ばしながら
小宮を入ってきた通路へと押し込む。
鞭のように振るわれた尻尾を横から殴りつけてそらしながら、奈々子の方を見る彼女は俯いていた。
何かを呟いている?
意識を逸らした一瞬の隙をついて腕に怪物が噛み付いてきた。
澄んでのところで拮抗する。
気づくと怪物の身体が一回り大きくなっている
このままではまずい
わたしは怪物の頭に頭突きを放ち
怯んだ隙に馬乗りにな離、首をねじ切った。
乾いたような、悲しそうな悲鳴は、誰のものだったか。
煙を溢れ出す怪物の死体を放り、わたしは奈々子を抱えて白い部屋を後にした。
匍匐で抜けて小部屋に出たところで、後ろから襲われる。
それは狼の頭だけになった怪物だった
ギラギラとした目でこちらを睨み付ける大きな頭から下は煙のように輪郭がぼやけており、徐々に首の長さが長くなっているようだ。
不死身なのか、頭に最悪の想像が浮かぶ
だが今は走るしかない。
未だ肩に噛み付いている怪物を引きちぎり、全力で蹴り飛ばした。
ゴムまりのように部屋を跳ね回る物音を後ろに、タックルの要領で道を塞ぐ繭に突っ込んだ。
轟音と共に倉庫に出る。
ここにも霧状になった煙が薄く存在している。
コンテナの群れを抜けて外に出たところで。
倉庫の屋根が吹き飛んだ。
そこに現れたのは巨大な狼、四つの足で支えられた灰色の体躯は煙を纏ったように虚で頭部らしき部分に光る青白い二つの球体のみが、それが生物であることを確信させている。
周囲に集まった人間にはこれが見えていないのだろうか、屋根が突然吹き飛んだことのみを話している。
四つ足で立つ怪物は、周囲を見下ろし、やがて奈々子を見た気がした。
遠吠えする怪物
衝撃波が轟くと共に、わたしと奈々子以外の人間が一斉に倒れ出した。
小宮もだ。みな気絶している。
神の如き威圧を放つ大神は今や標的を見つけたかのように歩みを始めていた。
いいところだけど、これ、夢なんじゃよ。
あくまで夢は出発点でしかないのじゃ……