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魔法使いと発明娘  作者: 三本道
第一章
3/6

人間は嘘をつきます。

「なんとかなったな…」


「君何したの?ココ、さっきの所じゃないけど…」


「あぁ、ただの移動魔法ですよ」


俺と亜美は先程の路地とは違う路地にいた。


(思わず飛んじまったけど、ここどこだよ…とりあえず警察に相談しに行かないといけねぇよな)


「ほんと凄いですね魔法って!」


ほほぉと亜美は口をアングリと開いている。緊張感のかけらもない。


(何だ?今のがこの人の日常とかじゃねぇよな…?)


「あはは、そんな事ないですよ…別にあれは誰でも使えますし」


「そうですか?私あなたが欲しくなっちゃいましたよぉ」


亜美は口に指を当てる。結構あざとい。


「馬鹿なこと言わないで早く警察に行きますよ。というかここがどこか分かりますか?」


「警察…それなら案内しますけど、さっき足挫いちゃったみたいでぇ…」


亜美はケンケンすると足を抑える。


(やべ、さっき引き寄せた時か…?)


いかにあざとかろうが、一般女性。流石に置いて行けない。


「それならおぶります、道案内頼めますか?」


「任せて頂戴!」 


俺は背中に亜美を乗せる。


ガチャン。


「へ?」


「…うふふ」


「え?亜美さん、何して…」


「うふふふ、アッハッハマジウケる!」


俺が後ろを向くと、大口を広げ笑う亜美がいた。手には金属の冷たさを感じる。


(手錠…?)


「何がウケるんですか、さっさとコレ外してください。警察に行かないと…」


「え?何言ってんの?折角いい金儲けの道具捕まえたんだから逃すわけないじゃん。警察に行ったりなんてもってのほかよ」


(金儲けの道具?この人何言って…)


「いやぁ、あの時はビビったなぁ…空飛んでるんだもん人間がさぁ」


亜美は嘲笑うかのように俺の背中をポンポンとする。


俺は全てを察した。


「最初のロボットの時から劇だったのか…」


ようするに空を飛んでいた俺を見て、金儲けに使えると思い騙しここまで持ってきたというところだろう。


「そうそう、よく分かったね。結構大変だったんだよ?あざと可愛い振りするのも、場所特定するのも…あ、そうそう命懸けで信用度を確認したのも、ね」


(まじか、あの銃弾撃ってた奴らもグルかよ…)


「で、俺をどうするつもりなんだ?こんな小細工で捕まえられたって言えんのかよ。魔法使いだぞ?」


「なにぃ?もしかしてこの手錠ナメちゃってる?」


小馬鹿にした顔をする亜美。


「あぁ?っていうかよく鉄の輪っかで止められると思ったよな…」


「あ、そういう考えなら安心ね。その手錠、あなたじゃ絶対に外せないわ」


「うるせぇ」


(人を馬鹿にするのも良い加減にしろ!)


「飛び散れ"インパクト"」


俺を中心に衝撃波が広がる。亜美は背中から弾き飛ばされた。ビルのガラスは割れ、破片が飛び散っている。


「ぎゃっ!痛いわね何すんのよっ。外せないって言ってるでしょ!」


手首を見ると、確かに無傷の手錠がハマっていた。


(マジかよ、傷すらついてねぇ…鉄製じゃねぇのか?)


「もう怒った!遊ぼうと思っていたけれどもういいわ…仲間を呼んで連れて行ってもらうわ」


(それはヤバい…何とかして…)


「"テレポート"…は?て、"テレポート"…」


「あはは!まだ諦めてないの?それはエネルギーをほぼ無効化する手錠なのよ?」


(なんだよそれ、ここの科学技術発展しすぎじゃねぇのか!?)


「あーあ黙っちゃってぇ、安心して?私が可愛がった挙句にオークションで売り捌いてあ、げ、る」


彼女はそう言いながら、トランシーバーのようなもので仲間に連絡する。


(ヤバいヤバいヤバい)


「"グランドファイア"」


ドゥン。


爆音と共に路地に爆風が駆け抜ける。


亜美は路地の入り口まで吹っ飛ばされていた。服は焦げ髪は少し焦げている。


グランドファイア、炎の大魔法だ。大地を焼き尽くし、湖を干上がらせる、炎系の魔法ではトップクラスだ。


(くそっ、ちょっとは焦げたけど、まだ壊せてない…)


手錠をかちゃかちゃと鳴らしながら舌打ちをする。


「ていうか結構頑丈だなこのアスファルト…」


煙が晴れると、そこには基点に半径5メートルに渡るクレーターが出来ていた。ビルは今にも崩れそうな勢いで、破片がボロボロとこぼれ落ちている。


「な、何よ…それ…」


「何って、炎の魔法だよ。魔法使いだからな。魔法で壊そうとしてんだよ。"アイシクルスクエア"」


俺が唱えると、瞬時に道から壁、雑草に至るまでが氷と化し路地全体が氷で覆われる。


これは冬を再現するため、無理矢理一部の季節を変える氷の大魔法だ。


(これならどうだ…!)


パキィン。


手錠が弾ける。


「ふぅ、流石にやりすぎたか?なぁ亜美さん…?」


俺は内心の動揺を飲み込むと氷漬けの路地入り口へ行く。


「…ひぃっ!?」


亜美はというと、路地の入り口で手をバタバタと動かしていた。凍らされた足を必死に動かそうとしているが、願い叶わず完全に凍りついている。


(これは完全に追い詰めたしもう関わってこなさそうだな…とりあえず俺は警察系の人に…)


「そこまでよ!!」


いきなり元気な声が路地に響くと何かが膝をえぐる。


(痛ってぇぇぇ!)


「痛っ!?ひ、"ヒール"。…な、何すんだよ!」


血が垂れる膝に手を当て修復しながら路地の入り口を振り向く。


「アンタ女をいじめて何が楽しいの!?」


「はぁ!?」


路地の入り口、そこには亜美を庇う形で銃をこっちに構えた銀髪の少女が立っていた。





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