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はじまりのとき 1

「あんまり緊張しちゃダメよ?大丈夫、ふつうにしてればただの女の子にしか見えないわよ。」


目の前を教室の方に向かって進んでいる担任の若い女の先生が笑顔で励ましてくる。


「はぁ・・・。」


やっぱり、多少は慣れたとは言ったものの、人前にでるというのはなかなか抵抗があるものだ。

落ち着け〜落ち着け〜・・・。とりあえず深呼吸を2,3度繰り返してみる。


現在時刻8:25分。そして月曜日。まさに朝のSHRショートホームルーム開始間際という時間であり、それと同時にいよいよ女となってしまった自分が公の場にでることになる初めての時である。


大丈夫、大丈夫・・・。準備は完璧なハズだ。・・・うん、多分問題ないだろう。ちょいとばかし、この休みのことを振り返ってみようと思う。



休日中にやったことその1,身の回りの品物を買いそろえること。


とりあえず、これは一番最初にやったことだと思う。日常生活でもさすがにいままで着ていたものを着続けるのには限界があるし、学校用品も、もちろん制服からカバンまで男女では異なっているからな。

・・・けれどもここが一番疲れたところかもしれない。服を買いに近くの衣料量販店に出向いた時のことなんだが・・・


「ねえねえ、これなんてどう!?とってもかわいいじゃない!」


「いや・・・ちょっと派手すぎというか何というか・・・うん、それはない。」


「そう?あ、じゃあこっちのなんてどうかしら!!今はこういうのが流行ってるに違いないわよ!!」


「いや〜・・・今度は露出度高すぎ。多分自分の姿に卒倒するから・・・うん、パス。」

というか違いないってなんだよ、違いないって。どう考えても自分の好みが9割がたじゃないか。


「じゃあ、こっちのほうを・・・」


・・・と言った具合になかなか決まらないのなんの。女性ものの服の善し悪しの基準なんていまいちわからないもんだから、お袋にもついてきてもらおうと思ったのが間違いだった。

自分がまだ完全に現実を受け入れられてなかったというのももちろんあるけれど、お袋のテンションの高いこと高いこと。大声を張り上げて話すもんだから、周りの注目を完全に引きつけてしまっていて、気が気でなかった。


その後も制服、日用品と見て回ったけれども、終始お袋のテンションに振り回されっぱなしだった。

あ、ちなみに制服姿の自分の姿に、若干グッと来てしまったのには今でも後悔している。



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