決意
現在俺たち家族一同は親父の車にて、学校へと向かっているところだ。言葉にしがたい沈黙が重くのしかかってくる。結局、・・・まあ当然と言えば当然だが、今日は学校は休むことになった。
あの後、小1時間ほどかけて家族会議が行われた。困惑していたものの、とりあえず・・・とりあえず前向きに考えていくこととなった。そんな訳で、現在今後をどうするかについて、担任も含めて話し合おうということになり、学校に向かっているのだ。ずいぶんと楽観的なんて言ってくれるなよ?生まれてこの方ずっと男として過ごしてきたんだ。いきなりこれからは女としてがんばる!・・・なんて切り替えれるわけないだろ・・・。勘弁してくれ。
半ば、意識が飛びかけているような状態で外をボーっと眺めていると学校に着いた。すでに10時を過ぎたぐらいで授業もまっただ中な訳で、昇降口前の広場は閑散としている。
俺たちは車を降りた。ちなみに今の俺の格好は、当然女物の服なんて持っているはずもなく、かと言ってお袋の服を着るなんてこともしたくないので、下は紺のジーパンに上は白のパーカーという女性としてはいびつなものになっている。いかんいかん、再びげんなりなってしまいそうだ。落ち着け、落ち着け・・・。
すると、後ろから親父がなぜか満面の笑みを浮かべ、俺の肩をポン、と叩いてきた。
「・・・。」
まあ、一応励ましと取っておこう。
そろそろ行くか・・・。打開策のない今、いつまでも隠れている訳にもいかないしな。そう思い、俺は歩き始めた。




