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第2部 転機

季節はすっかり春だ。寒さなんてものは、もはや懐かしいくらい前のことのように思えるくらい暖かく、いい具合にたびたび眠気を誘ってくる。まあ、そんなたびになんとかして自分を授業という現実世界に引き止めようと悪戦苦闘しなければならないわけなのだが。

そして今日も、朝から当然のことのように空は真っ青で、学校へと向かう足を憂鬱にさせる。


「あつい・・・。」


自然とそうつぶやいてしまう。今さらではあるが、どうしてこうも女子の制服というものはつくりが複雑なんだ。着るのに時間がかかる上に、何より暑い。そう暑いんだ。ああ、白シャツが恋しい・・・。


そう忘れもしない、なぜかいきなり俺の男としての人生にピリオドを打たれてしまったあの日からもう1ヶ月ほども経ってしまっているのだ。最初のころは、きっと元に戻れるさ、などという今思えば、ほほえましくも思えるくらいの希望があって、あれこれ試したりしたものだけれど、結局そんな行為もむなしく、現在も俺は女子としての生活を余儀なくされている。

こうも長く過ごしていると、もはやなんだか慣れきってしまって、笑えないことに大抵のことはお手のものになってしまった。ああ・・・、本当に戻れるんだろうか・・・。最近では、実はこんなことは世界中で日常茶飯事のように起きていて、他人に話しても、ああ、お前もか。それで?みたいに流されてしまうんじゃないか、なんてことまで考え始めてしまう始末だ。


そんなことを考えながら歩いていると、あっという間に学校に着いた。まあ、もともと家から近いという理由がほぼメインで選んだ公立高校だから当然といえば当然のことなわけだが。


ああ、今日もまたいつもと変わらない一日が始まる。そんな風に考えていたけれども、この日はいつもと少し違っていた。



このクラスに転校生がやってきた。


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