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木こり 2


木こりの仕事を初めてから2年が過ぎ、俺も7歳になった。

再び時間が飛んだが、やっていることは植林とかの雑用だけだったんだ、仕方が無いだろう?

そして、7歳になった俺は、今日とうとう…


「ロット、準備は出来たか?」


「うん、父さん。」


実はこれから森に行って、実際に木を切る予定だ。

とうとう俺も木を切らせてもらえることになったのだ、楽しみである。


「それじゃ行くぞ。」


そう言ってパピーと俺は森へと出発した。

40分ほど歩き、今日の作業現場へと到着した。


「今日からロットは木を切る作業をしてもらうんだが、確認だ、覚えていることを言ってみろ。」


いきなりパピーからのテストだが、何度も聞いているし、問題ないので答えることにする。


「まず木を倒す方向を決め、そこに深さ4分の1ほどの大きな切れ込みを入れ、次に反対方向から切れ込みを入れた少し上から切っていく。

 3分の2程切ったら、後は木の重みと最初に入れた切り込みを利用して倒す。これで良いんだよね?」


するとパピーがにっこりと笑顔を見せた。


「よく覚えていたな、そうだ、切って倒すんじゃなく、重みで倒すんだ。

 後は経験で覚えていけばいい、それじゃ始めるぞ。」


「うん。」


「今日はこの木を切る。見ているからやってみろ。」


「わかった。」


俺は先ほど自分で言ったことを、頭の中で復唱しながら確認していく。

倒す方向よし! 切り込みを入れる場所よし! 斧を振り上げた時にあたる場所もなし!

確認が済んだので斧を振り上げる。


コーン!


うん、いい角度で打ち込むことが出来た。

実は1年ほど前から筋力作りの名目で、薪割りの仕事をやらされるようになった。

最初は失敗ばかりをしていたが、慣れと筋力が付いたことで安定して薪割りが出来るようになったんだよね。

お蔭で、こうして木を切ることが出来ていることになる。


コーン!


うん、いい感じだ!


コーン!


・・・・


コーン!


ようやく4分の1の切れ込みが完成した。

巻割の縦に振りおろすのと違って斜めは力の入れ方も違く、思ってた以上に疲れたが、まだ半分も終わってない。

大きく深呼吸をして次の作業に移ることにしよう。


ふと、パピーの顔が目に入った。

ものすごくいい笑顔でニヤニヤしている。


「ロット、どうした?

 もしかして、もう疲れてしまったのか?」


こ、これは俺が苦労して、疲れているのを見て楽しんでいるに違いない、くっそー見てろよ!


コーン! コーン! コーン!


・・・・


「これで最後だ!」


コーン!


パキッ…バキ、バキバキバキ…ズズーン!


「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、お、終ったぞ、くそ親父!」


「ごくろう、ごくろう、これでロットも一人前だな。」


どうやら俺は親父のテストに合格したみたいだ。


「これからは、分かれて作業をしても問題無いだろう。

 今日は後1本切ったら上がろうな、どちらが先に切れるか競争でもするか?」


「その勝負乗った!」


そして、俺とパピーの木こり勝負が開始されることになったのだった。

結果? 人間が熊にに勝てるのか? ま、そういうことだ。


斧で木を切ると、チェインソーの有難味が良くわかると思う。

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