鉄高炉作り 2
乾燥が終わるまでの1週間はアンリと一緒に遊ぶことにした。
また拗ねられるのも嫌だしな。
そして1週間後。
「うん、出来たな。」
十分にレンガの乾燥が終わった。これで作業が進められる。
実は、将来炉を作った場所に鍛冶場を作るかもしれないと言うことを考えて、場所探しも行っていたのだ。
この世界は個人で所有する土地と言う物が無いので、空いている場所は自由に作っても文句は言われない。
さすがに通りの真ん中に作ったら文句は言われるが、そこは常識として有り得ないけどね。
場所はパピーの鍛冶場のすぐ近くだったりする。家からも近いしな。
「さて、始めるか。」
作る鍛冶場のサイズ、建物の構造も考慮して炉を設置する場所を決めていく。
何度も頭の中で試行錯誤を行い、満足できる場所が決まった所で制作に取り掛かった。
レンガを並べ、隙間を粘土で埋めていく。
さすがに大きくなる分に作るのも大変だ。
・・・・
3日ほどしてパピーがやってきた。
パピーの鍛冶場のすぐそばだもん、気が付くよな…
「何をしているんだ?」
「将来自分の鍛冶場を持った時のための炉を作ってるんだよ。」
「これがか?」
パピーは胡散臭そうな顔をしている。
確かにパピーが使っている炉とは全く形が違うからな。
パピーのは単なる風呂桶みたいなもんだしな。
「そんなことより薪割りとかは続けているのか?」
「うん、今日だって終わってから炉を作ってるんだよ?」
実は薪割も慣れた御蔭で、そのままオノを振っても狙った通りの場所に当たるようになったので、作業もぐんと早くなったのだ。
さすがにスキルに薪割りなんてものは付かなかったが…
「…確かにいつも薪は全部割られているな。
まあいい、約束を守っているなら何も言わん、好きにしろ。」
「は~い。」
そう言ってパピーは帰って行った。
まぁ、自分の息子が変なことをしてると気になるよな。
別に迷惑を掛けている訳じゃ無いし、気にしないことにする。
それからさらに2日後、ようやく鉄高炉が完成した。
今回は少し工夫をして石の皿を使うのではなく、鉄が流れ出て外の器に入るように改造した。
これで、いちいち火を止めなくても空になった屑石は掻き出せて、新たに鉄鉱石を入れることが出来る様にしたのだ。
ちゃんと使えるかどうか試験を行うことにする。
炭を入れて火を点けた。
大きくなった分、ふいごで空気を送るのも一苦労だ。
十分に熱された所で鉄鉱石を投入。
しばらく待つことにした。
・・・・
火も消え、鉄高炉も冷えた所で全体のチェックを行う。
隅々まで確認して、ヒビ、割れ等の異常が無いことを確認。
後は内側の確認をして問題が無ければ完成としても良いだろうと思う。
レンガを外し、中を確認してみる。
内側も問題が無いことを確認出来た。
そして肝心要の鉄だが…
「よし!」
見事と鉄が出来ていた。
今までは1回に100g程度しか作れなかったが、今回はサイズが大きくなったことと、連続で鉄鉱石を投入出来るので1kgほどのを取り出すことが出来た。
これで今まで作った物と合わせて3kgほどの鉄が集まった。
これだけ有ればショートソードくらいなら作れるんじゃないのか?
まぁ、技術が無いから無理だけどね…
こうして俺の鉄高炉は完成したのだった。
実際の炉はよく知らん(汗)




