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出稼ぎ


アリサが妊娠した年の秋、パピーから提案が出た。


「ロット、出稼ぎに行くか?」


「え?」


「お前も父親になるんだろ? 生活費はどうする。」


「え? 今だって問題無いのに行く必要あるの?」


「今の環境なら問題ないだろう、だが、子供が生まれてアリサは子供に付きっ切りになると、色々出てくるぞ?

 そうなる前に稼げるだけ稼いで、安心させてやるのが父親としての責務だ。」


そーいえばパピーも、俺が木こりの仕事をするまでは出稼ぎに行っていたな。

それはそういう理由だったからか。


「わかった、アリサと相談して決めることにするよ。」


「行くんだったら最初くらいは付きやってやるぞ。」


「ありがとう、父さん。」


パピーが帰った後、俺はアリサと今後について相談することにした。

アリサは少し俺と離れるのを嫌がったが、子供のことも有るしで、しぶしぶと了承した。

次の日、俺はパピーに出稼ぎに行くことを伝え、パピーも了解してくれた。


・・・・


そして秋も深まり、そろそろ冬の足音が聞こえて来るる季節になり、俺は街へ出稼ぎに行く日になった。


「あなた、体には気を付けてくださいね。」


「ああ、行ってくるよ、アリサも体を冷やさないようにね。

 何か会ったら、母さんに相談するんだよ?」


「はい、気を付けますね。」


「じゃあ、行ってくる。」


「行ってらっしゃい。」


少しアリサが涙ぐんでいたので、一度しっかりと抱きしめてから馬車に乗り込んだ。


「良いのか?」


「うん。」


パピーはそれ以上は何も言わずに馬車を出発させた。

途中の会話も特にないまま馬車は進む。

もうすぐ街に着くだろうの距離まで来たところで、ふと思い出したことを聞いてみた。


「そういえば、仕事って何をやるんだ?」


「ん? ああ、言ってなかったな、土木作業だ。」


「それって、どういったことをやるんだ?」


なんとなく想像が付くが、一応聞いてみる。


「家を建てるのを手伝ったり、道の整備をしたりと、色々だな。

 それなりにキツイが、1日大鉄貨5枚にはなる。」


「それって、前に言ってた何でも屋って奴?」


「そうだ、良く覚えていたな。」


「なるほどね、確かにメインの仕事にするには割が合わないかもしれないな。」


説明していなかったが、この世界のお金は、鉄貨、大鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、大白金貨が有る。

その上の貨幣もあるみたいだが、俺みたいな平民には関係のない話なので知ら無いそうだ。

で、鉄貨が10枚で大鉄貨、大鉄貨が10枚で銅貨って感じになっている。

だいたい鉄貨1枚が、日本円で100円くらいなので、大鉄貨5枚は5000円くらいの価値になる。

1日働いて5000円だ、確かに安いと思うが、仕方ないだろうな。


街に入り、いつもの宿屋に向かう。

宿に到着した俺たちは、さっそく中に入る。

最近少し寒くなっていたので、部屋の中の温かさは有りがたい。


「おや、ロイドとロットじゃないか、今日はどうしたんだい?」


「出稼ぎにきた、冬の間お世話になる。」


「そうかい、手続きは毎日やってもらうが、いつもの場所で良いのかい?」


「ああ、それで頼む。」


「じゃあ、二人で鉄貨6枚だ。」


ん? いつもと同じ?


「な、なぁ、父さん。」


「なんだ。」


「もしかしてなんだが、冬の間も馬小屋なのか?」


「そうだが?」


「あーうん、何でもない。」


「?」


俺、凍死しないよね? 大丈夫だよね?

手続きを終えた俺たちは、マミーとアリサにソックリな夕食を食べ、寒空に凍えながら、俺は藁にくるまり眠るのだった…


冬でも馬小屋…なむ…

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