釣り竿つくり
今日はお休みなので、釣竿作りをすることにする。
まずは針を作るか。
取り出しますのはモウの骨、これを削っていきます。
削る道具何か無いので、石でゴリゴリとヤスリの様に使っていきます。
アクセサリーを作った時の経験がこんな所で役に立つとは思わなかったな。
・・・・
あれから3回目の休みの日が過ぎる時間、暇を見つけては削る作業を行ってようやく釣り針が完成した。
カツオの一本釣りじゃないので、返しもしっかりと付いている。
予備を含めて3つほど頑張った。
強度も思ってた以上に堅く、これなら魚も釣れるのでは無いだろうか。
次に竿を作ることにする。
とは言っても曲がっているのを真っすぐにするだけなんだけど、どうやってやろうかな。
昔、椅子職人の番組で蒸気で熱した材料を型に当てて曲げていたのを見た記憶が有る。
とりあえずそんな蒸気を発生させる機械や工具は無いので、茹でて真っすぐな木材に縛り付けてみることにする。
グツグツと煮えた鍋に曲がっている部分をぶち込み、30分ほど煮込んでみた。
テーブルの脚が真っすぐなので、そこに無理やり力業で真っすぐにした竿を布切れを使って縛り、固定した。
思ってた以上に柔らかくなっていたので、それほど苦労はしなかった。
そして、テーブルの脚も4本有るので、3本とも一気に作ってみた。
次の日になり、竿が冷えた所で確認してみると、若干曲がってはいるが、十分使えると思われる。
試しに振ってみたが、しなり具合も変わらず、正に釣竿だ。
最後に釣り糸を作るんだが、紐の作り方が全く分からない。
こればっかりはマミーに相談してみることにした。
「母さん、ちょっと良い?」
「何かな?」
「紐ってどうやって作るの?」
「紐? 紐なら少し有るけど、使うかい?」
「何の紐?」
「服にも使ってる麻紐だけど?」
「一応それも欲しいな、でも別の材料でも作りたいから、作り方教えてよ。」
「じゃあ、一緒にやってみようかね。」
おそらく後で作ろうと思っていたと思われる乾燥した麻が入った籠を持ってきた。
「やり方は幾つか有るんだけど、どんな風なのが必要なんだい?」
「出来るだけ細くて切れにくいのが作りたいかな。」
「う~ん、丈夫にするとどうしても太くはなってしまうねぇ~」
「それは何となく分かるんだけど、何とかならない?」
「とりあえず作ってみようかね、まずこうして必要な本数を束ねたら、先っぽを縛るよ。」
俺は、4本ほどの束を作って言われた通りに縛ってみた。
「次に、縛った部分を引っ掛けて、束を2つに分けたら、こうしてねじりながら2つをねじり合わせていくんだよ。
こうするとね、お互いが戻ろうとする力が働いて上手く合わさるんだよ。」
「えっと?」
こっちが右に撒いて、こっちが左? んでもって…こうか?
「そうそう、上手だよ。先が細くなってきたら、こうして合わせて同じ様に捻ると外れなくなるから。」
なるほど、摩擦によってしっかりと固定される訳か。
「必要な長さになったら、先端を縛れば完成さ。」
俺はとりあえず3mほどの長さの紐を作った所で縛って完成させた。
「出来た。」
「ロットは器用だね、初めてなのにこんなに上手に作れるなんてね。」
「母さんの教えが上手だからだよ。」
「いっちょ前の口を利くようになったわね、まあいいわ。
後は大丈夫かしら?」
「うん、ありがとう。」
マミーはやれやれという感じに自分の仕事へ行ってしまった。
「よし、やるか!」
一度作り方さえ分かってしまえばそれほど難しい物じゃ無かった。
麻紐、モウ紐、ヒヒン紐の3種類を作った。
これで竿、紐、針が完成だ、それぞれ3個づつあるので、3本作ってみた。
「完成だ!」
完成した釣竿を振ってみた。
「…思った場所に行かないな、それに何か足りないような…あっ!
そうか! 重りと浮が無いのか。」
浮は最悪無くても良いのかもしれないが、重りは必要だろう。
良い感じの小石を縛り付けることで対応した。
「うん、良い感じだ。
次の漁で試してみるとしよう。」
残りは餌だが、これは海際の石を退かして出てきたフナ蟲モドキと、アサリの身、ミミズの3種類を用意した。
「明日が楽しみだ。」
俺は夕食を食べた後は、さっさと寝て明日の備えることにした。
昔、職場に釣り竿を作るのが趣味の人が居たな。
こんなことなら作り方を聞いておくんだった…




