転生
目が覚めた。
あーあ、今日からまた仕事か、どうして休日ってあっという間に終わるんだろうか。
そして、どうして月曜ってこうもかったるいんだろうか、手足が重くて動かねーや。
まぁ、いつまでもこうしていても始まらないし、仕事も遅刻もするし、そろそろ本気で起きるか。
…あれ?
ふざけているつもりは無く、結構力を入れたにもかかわらず、手足に力が入らなくて起き上がれない!?
それに、今更なんだが、景色全体が白っぽくぼやけていて良く見えない。
確かに目は悪くて眼鏡無しで生活出来なかったが、ここまで物が見えなかったことは無かったぞ?
もしかして俺は何かの病気にでもなったのだろうか?
目も見えない、手足も動かせないってことは、俺は死ぬ直前なんだろうか?
助けを呼ぶにも一人暮らしである、これは詰んだか?
「あぶぶあぶ~(これは終わったな)」
ん? 今聞きなれない声が聞えた様な? 赤ちゃん?
何処だ? 俺の部屋に赤ちゃんが居るのか!?
…いや、現実逃避は止そう、舌ったらずで上手く喋れなかったが、これは俺の口から出た言葉だ。
起き上がることは出来ないが、動かすことは出来たので、おそるおそる手を顔の前に持ってくる。
そこにはちっちゃな手が有った。思った通りに指は動かせないが、グーパーくらいなら問題ないので動かす。
うん、間違いない、俺の手だ。
どうやら20cmほどの距離であれば見えるみたいだ。
そして、俺は赤ちゃんに転生しているのは間違いないみたいだ。
転生したのは確実になったとして、俺はいつ死んだんだ?
確か夕食を食べて、風呂に入って、少しスマホアプリで遊んだ後に寝たんだったよな。
もしかしてそのまま眠ったまま死んだのだろうか?
色々と思う所は有るが、痛みや苦しみ等が無しで死ねたんだ、そこは感謝しておくことにする。
さて、転生したのは良いとして、現状把握だ。
まずここは何処なんだろうか? 出来ればまた日本人として生まれ変わっていると良いんだが…
でも、、着ている服やら布団の質からすると、どんな山奥の田舎で有ったとしても日本で有るとは考えにくい。
考えられるのは某国の山奥の田舎か、ジャングルの原住民とかそんな所だろうか?
こんなことを考えていると、扉の開く音がして誰かが入ってきたみたいだ。
「〇★×$$#&~、△××&%#”!。」
うん、何を言ってるのかさっぱり分からん。
そして、人らしき人物が近づいてきて俺を抱き上げた。
顔が近くなった御蔭で、ようやくその人の顔が見えた。
何処をどう見ても日本人じゃなかったです。ありがとうございました。
そして、俺の好みからかなりかけ離れた女性…で良いんだよな?
顔面ジャガイモみたな人がそこに居て、俺にニッコリと微笑んだ。
「×〇▽¥、&%~#!〇。」
何か声を掛けているが、やっぱりわからん。
そして、この女性が俺の母親だと言うと、俺の顔もご察しの通りなんだろうな…
「ばぶぅ~(終わった…)」
俺は生まれて早々にモテ人生を諦めるのだった。
まぁ、がんばれ?