新しい小説投稿サイトが気になる浮気心から考える、小説になろうのこと
私は『小説家になろう』が好きだ。
この気持ちに嘘はない。
嘘はない。
けど……ちょっと最近、あのサイトのことも気になるんだよね――
まるで浮気する人間のような心理状態。
それが今の私である。
なので私は決意した。
自分の気持ちに正直になって浮気をしてみようと。
だって気になるんだもん!
さて、こんな浮気性な私であるが、今回わざわざエッセイとして語るに当たり、折角なので自分の小説創作活動についても少し話をしようと思う。
もちろんやってきたことを正直に話す。
私は、こと小説投稿サイトについては虚飾が大嫌いだ。
自身のケツに起こった事をありのままに記すほどに正直者である事は、他の投稿エッセイを読んで頂いた事のある方ならご理解頂けるだろう。
さて冒頭からもご理解頂けるだろうが、私は『小説投稿サイト』という存在に対しては浮気性である。
そう。尻軽だ。
「おっ?」と思えばホイホイ動いて、いいようにホイホイされる。
でもWEB小説投稿サイトだから別に尻が軽くてもいいじゃない。
以前『カクヨム』が出来た際にも、意気込んでプレオープンから参加した。
そしてオープンして一週間くらい(3日だったかもしれない)でカクヨムを退会して、すぐに小説家になろうに戻ってきた。
その後しばらくして思い切って小説家になろうを退会し、アルファポリスでやってみた。
そして半年くらいやって、結局、小説家になろうに戻ってきた。
もちろんハーメルンでも、その時に旬だった『わーい! たーのしー!』な二次創作にもチャレンジしてみた。
意外と好評だった。だが、もう更新はしていない。
もしコツメカワウソ回の話を待ってくれている人が居たら『投げっぱなしでごめんなさい』と謝ります。マジでごめんなさい。すみません。
とりあえず思い出せただけでも、3つの小説投稿サイトに浮気をしている。
それ以外はpixivくらいだろうが、あそこは別に絵師さんを探すのが目的だから、あまり関係ない。
さて、3つの小説投稿サイトに浮気した私だが、必ず小説家になろうに戻ってきた。
そう私はこれまで、必ず戻ってきたのだ。
ホイホイとどこかに行っては楽しみ、そこで飽きると小説家になろうに戻ってくる私。
う~ん……こうして書いてみると、まるで『小説家になろう』は浮気をしても笑って迎え入れてくれる伴侶のようだ。心が広い。
なんというかその度量に、まるで母性のような物すら感じてしまう程だ。
もちろん、その母性の内が『あ? お前どっか行ってたのか? ごめん気にしてなかった。なんせ数がいるから』であったとしても、受け入れられた側の感覚にすれば、後光が指しているように思える程に温かい場所であり、そして自分の戻るべき場所と思えてくる。
こうした錯覚により『小説家になろう愛』が一層深まってゆくのだ――
のっけから何を書いているのか分からなくなってきているが、結局なんやかんやあっても、小説家になろうに戻ってきてしまう事、そしてこれからの他サイトを掘り下げて考えてみようと思うのです。
戻ってくるにも必ず戻ってくるだけの理由があるはず。
そしてその理由が理解できれば、そこから見えてくる何かもあるはず。
振り返りつつ、ゆっくりとそれを見てみたい。
――さて、それでは『何故、他の小説投稿サイトに浮気をするのか』を考えてみよう。
簡単だ。
浮気する理由として最も単純なのは『隣の畑が青く見えるから』というのが大きい。
事例として、まずはカクヨムに浮気した際の理由を思い出してみる事にする。
当時、カクヨムの宣伝を見て『書籍化しやすそう』という感じたように思える。
新規の小説投稿サイトであり出版大手が運営する、言わばプロが見るサイト。
プロが見ているからこそ面白いと判断してもらえさえすれば『書籍化しやすそう』。
そういう餌につられて浮気したのだ。
書籍化目指し、サイトのプレオープンに合わせて投稿作品をせっせこと完結まで読めるように仕上げて予約投稿した。
そして迎えたプレオープン。
だが稼働してみれば、ご存じの通り。
詳細は省くがプレオープン1週間(3日だったかもしれない)も経たない内に完結済み投稿作があるにも関わらず見切りをつけて退会してしまった。
省いた詳細がどういうものかは、この事実から推測して頂けるだろう。
簡単に言えば、読めない、読まれないだが、ほんと酷かった。期待値が高かった分、落胆も相応だったとも言える。
少々辛辣かもしれないが当時の悪印象が強すぎて、今でも少なからずカクヨムというサイトに対しては忌避感がある程だ。
さて、このカクヨムへの浮気事例での理由は『書籍化しやすそう』という撒き餌。
そして小説家になろうへ戻った理由は、所詮、撒き餌は撒き餌なのであると瞬時に理解できる程のサイトだったことが上げられる。
いや、本当に小説家になろうのPV数はすごい。読んでもらえるのスゴイ。
これを経験していると、他に行った時に物足りなさ過ぎてどうしようもなくなる。流石最大手。
逆にいえば読んでもらえなきゃ、そもそも小説投稿サイトで投稿する意味ないわな。うん。
では次の浮気事例。アルファポリスはどうだっただろうか。
もちろんカクヨムの『書籍化』のように魅力的に見えた物があるのだが、それがなにかといえば
『金』である。
アルファポリスではその人気に応じてインセンティブが貰える。
当時、小説家になろうで少なからず作品を読んで頂けるようになっていた事もあり、私には欲が出ていたのだ。
『めっちゃ頑張って書いてるし、書籍化まではいかなくても、創作にかかった労力の対価が欲しい』
そう思った。
創作は時間を使う。かなり使う。
1000文字ひねり出すのに4時間かかる事もある。
そういう苦労が溜まりに溜まった私は、趣味の作品だからこそ読んでもらえるアマチュアでありながら、愚かにもそんな事を考えたのだ。
だが、当時はそれがまっとうな欲求だと思えていた。
今振り返って思えば、対価を貰えるとなれば、それはプロフェッショナルの仕事である。
精神面、稼働面ではアマチュアでありたいと甘え、そしてこれからもアマチュアでありたいと願いながらも、プロフェッショナルに近しい対価を求め欲したのだ。
それは大変愚かなことである。
だがまぁ、その当時はなんとなく小説家になろうに嫌気がさしていたこともあって心機一転する為にも退会し、アルファポリスに行った。
休止ではなく退会なのだから、浮気と言うよりかは別離の方が正しいかもしれない。
ちなみに余談だが、嫌気のさした大きな要因を考えてみると、当時、私はフェフオウフコポォというペンネームで、複製アカウント批判エッセイ『どうやら『相互評価グループ』という腐敗促進剤が表通りで暴れているようです。』を書いた。
エッセイの内容としては『なろうは大事な大事な趣味の場なんだからルール守って遊ぼうぜ』という内容だったのだが、そのオブラートを剥がせば『複製アカウントとかすると、お里が知れるよ?』という意味になり、分かり易い不正ユーザー批判エッセイだった。
このエッセイの『やめなされやめなされ、複製アカウントなんぞはやめなされ』という訴えは『ええこと言うやんけ。拡散したろ』という共感を呼び某掲示板でさらされ、ブーストされてしまう。
正直な話、私は小説家になろうのポイントが大好きだ。
ポイントが増えていれば、それだけでご飯が3杯食える。
減れば凹む。ただ凹む。
だからこそ、それを意図的に操作する複製アカウント・ポイント操作は大嫌い。心の底から大嫌いだ。
ヒナプロジェクト様。頼むから早くグーグルと提携してアカウント強化してクレメンス……と手を合わせて願う程に嫌いなのだ。
これは複製アカウントやポイント操作をしていない大多数の小説家になろうユーザーも同じ気持ちだと思うから、よくよく理解して頂けると思っている。
そんな私が書いたエッセイが、某掲示板でブースト。
要は掲示板を利用しているユーザーによる複製アカウントでのポイント操作で打ち上げられたのだ。
皮肉な話だ。大層な皮肉だ。
笑える。
いとおかし。
その当時の自分の完結連載作品での最高ポイントは『6187』ポイント。
短編が『5228』ポイント。
件のエッセイは『7266』ポイント。
あっという間の記録更新だった。
もちろん複製アカウントではなく、エッセイに賛同頂いた方がくれたポイントの方が多いはずだろうが、きっかけは某掲示板ブースト。
自力で入ったからこそ知っているが、ランキングは入るまでが難しい。
だが、難し過ぎるからこそランキングとして意味がある。
それを簡単に操作で入ってしまうのが不正ブースト。
私が半年間頑張って書き続け、読んでくれていた方々と交流し、その方々の励ましもあって最後まで書いた作品。書き終わった時に自分で終わらせたのに、終わった事が悲しくて悲しくて泣いた作品の『6187』ポイント。な自分の頑張りだけじゃなく、色んな人が助けてくれたポイントだった。
それが『ええこと言うやんけ。拡散したろ』『ほなやろか』に、あっという間に負けたのだ。
悲しかった。
何が悲しいって、色々だ。
もう『なろうを止めてもいい』と嫌気がさすくらいに悲しかった。
でも書く事は楽しい。
創作の楽しさを知ってしまった私は、もう書く事をやめられなかった。
余談が長くなったが、そんなわけで小説家になろうを退会し、アルファポリスで現金獲得を狙ってみたわけだ。
結論から言えば、ぶっちゃけチャレンジしてみて、それなりに貰えた気がする。
うろ覚えだけれど、合計5000円くらいは貰えたように思う。
やった! 書いた物がお金になった!
素晴らしい! 望み通りだ!
趣味がお金になった!
――だが、しかしてアルファポリスでの投稿は続かなかったのだ。
望み通りのお金が手に入る。
皆が欲しがるお金が趣味を通して手に入ったのになぜ? なぜ続かなかったのだろうか。
その理由を考えれば、答えは『私が中途半端だったから』だろう。
アルファポリスでの投稿は、やはり皆、金が目的であり、投稿を始めると、まずHOTランキングに乗る事が目標になる。
HOTランキングに乗る事でインセンティブに大きな差が出るからだ。基本的に新規投稿作品だけが乗るHOTランキングは狙いやすい。
他のランキングはまず無理。
この考えが創作に影響する。
つまり創作の内容が『出だしを面白く』だけになるのだ。
プロットの全部を考える必要が無い。
いかにして1~2万文字程度で『なんかめっちゃ面白そう』と思ってもらえるかに注力する。
そして、HOTランキングに乗れば、ランキングから消えるまで、しばらく更新する。
ランキングから姿を消した後は更新しても金にならない。
なぜなら他のランキングは強い作品ばかりが乗っているからだ。
作品の面白さに惹かれて登録してくれた人もいるが、アルファポリスで大事な、お金というモチベーションは保てない。
つまり、更新する目的が消えるのだ。故に継続のモチベーションは無くなる。
では、短編高回転でお金目的を続ければ?
そう言われると、ぶっちゃけ割に合わない。
4000文字書くのに2時間かかるとして、2万文字書くのに10時間を要する。
そうしてようやく1000円もらえたとしよう。
わぁ時給100円だ。
構想を練るのを考えれば時給100円もいかないだろう。
う~ん。奴隷かな?
1時間頑張ってもジュースすら買えないのだから、まったくもって割に合わない。
金と小説投稿の天秤が合わなくなって、私は書くのを止めた。
これがアルファポリスで投稿しなくなった理由だ。
それでもやっぱり書きたくなってしまう。
書きたくなると、考えが左右されず、完全に趣味として書ける場所を考えてしまう。そこでやはり『小説家になろう』を思い出すのだ。
『金』が目的の浮気だったが為に、金にならない事を理解してしまったら浮気が終わる。
趣味を純粋な趣味と割り切って楽しめるのは良い。
ここに金が絡むとどうしても変化してしまう。
趣味は趣味であり続けるべきなのかもしれない。
よく『趣味を仕事にしたら最高だ』なんて言葉があるが私はそうは思わない。
なぜなら報酬として金をもらい始めた瞬間に責任が発生する。
責任が発生する作業は仕事だ。
それが、いくら好きでやっていた趣味であったとしても『仕事』になった瞬間に『趣味』から『仕事』になるのだ。
仕事として報酬を貰うからには、きちんとその役割を果たさなければならなくなる。
人は別に『仕事』が嫌なのではなく、納期などの責任から発生するストレスや負担が嫌なのだ。
こうして私は小説家になろうに戻った。
さて、ではハーメルンへの浮気については、どうだろうか。
まぁここまでくると『それじゃあハーメルンってどんな所かな?』くらいが動機になる。完全に好奇心だけ。
そして一通り楽しんで終了した。
なんせやっぱりもらえる反応などが、まったく違う。
ハーメルンは感想が怖かった。基本的に小説家になろうは『優しい』
人が優しいのだ。
ハーメルンは二次創作という土俵のせいか怖かった。どこに地雷があるか分からないから危ない。
まぁ、そのスリルを楽しむのもいいのかもしれないが、私にはそのスリルが刺激的すぎた。やっぱり優しい方が良い。
こうして、どのサイトに行っても結局最後には『小説家になろう』に戻って来てしまうのだが、ここまでの経験から、何故戻ってくるのかを考えてみる。
するとすぐに利用者数などが思いつく。
だがそれ以上に思い浮かぶこともあった。
それはなにか。
――始まりに『小説家になろう』があったのだ。
私がWEB小説を読みはじめたのも書き始めたのも、この『小説家になろう』があったから。
初めて読むのにハマり『あれ? もう夜か』『あれ?もう翌日になってる』と時間の経過を忘れた日。
感動し涙を流す作品に出合えた日。
『これ俺でも書けるだろ。なんでこんなポイントついてるの?』と疑惑を覚えた日。
初めて書いて『うわぁあああんっ!! 一生懸命に書いたのに誰も読んでくれないのぉおおおっ!』と泣いた日。
憂さ晴らしに書き始めた『なろうテンプレチート物語』で、ブクマポイントが入り、赤い2ポイントに何度もにやけまくった日。
初めて感想を貰ってテンションが上がり過ぎ、あまりに過剰な返信をしたことにすら気づかなかった日。
ようやく30ポイントを超えて、1000ポイント以上付いている作品は全部複製アカウントだと信じたあの日。
初めて『つまんね』的な感想を貰って、その日一日死んだ日。
交流してくれる人が出来て活動報告なんかでも遊んでもらえるようになった日。
100ポイントを超えて『俺すごいんじゃね?』と浮かれた日。
物語を完結させて、なんかよく分からない感情が色々溢れて大変だった日。
短編が当たって初めてランキングに入って、焦りのあまり一日アクセスカウンターに貼りついた日。
5000ポイント近くになって不正してない作品でも、ちゃんと評価されるんだ! と開眼した日。
不正批判エッセイが打ち上げられた事を知って混乱した日。
心を折りに来る人に、心を折られた日。
交流していたユーザーさん達に慰められた日。
退会して再登録後、細々とやっていたら昔、遊んでくれていた人が声をかけてくれて、正直嬉しすぎた日。
なんやかんや続けている内に10000ポイントの評価をもらえたけれど、2ポイントの重みが何も変わらない事を知った日。
色んな初めての感情を『小説家になろう』が教えてくれた。
私の『物書き』としての根底には『小説家になろう』があるのだと思う。
だから私は、小説家になろうが好きで戻ってくるのだ――
――というわけで、ちょっと今度はマグネットに浮気してくるわ。
いや、だって小説家になろうは好きだけど『ちょっとな~』って思うところもあるのも事実だし。うん。
マグネットに読者登録してみて、うわ、小説家になろうの不満に感じる点をうまくカバーしようとしてる! って思ったら触ってみたくもなるでしょう。
まぁ、まだスマホ対応してないサイトだから、本格的ななろうユーザーの取り込みをしようとしてないみたいだけど、作者の取り込みは始まってる感がありますので、ちょっとまた流れに乗ってみる(笑)
興味を引かれた大きい点は、近年の小説家になろうで感じているけれど既に諦めている大きなマイナスポイント
・不正ランキング
・複製アカウント
・隠れてないステマ
という感じの、書き手や読み手にとって嫌な事が『もう諦めるしかないな』という状況になっている物があると思うんですが、これらは自分の知る限りなろう運営様は2年以上放置しているし、解決する気もないと思う。
もちろんこちらはサービスを享受させて頂いている立場だからこそ、不満があっても飲みこんだ上で利用させて頂くしかないし、運営様がやらない以上、それはそういう物と諦めるしか方法が無い。
ただ、不満は不満としてやっぱり存在している。
マグネットは、まだチラ見しただけですが、作品を読まないと応援ポイントが貯まらないし応援出来ない。
つまり『複製アカウントでの操作がしにくそう』に思えました。
なろうだと不正操作が楽にできて横行してるから、サイト全体のポイント信頼度が低くなってしまっている。
でも書き手としてポイントの比重は変わらない。2ポイントが重い。
信頼されてないのに重いよりも、読み手と書き手が同じ重量を感じるポイントとなれば、作者目線として、それだけでもサイトの信頼度がすごく上がる。
なとなく自分の作品をまっとうに評価してもらえそうな気がしてくるし、読んでもらえるチャンス広がりそうな気がするからです。
しかもマグネットでは、読み手側に『読んで~、ほら読んで~』と、まるで発破をかけるように、スマホゲームのようにデイリーミッション的な仕掛けがあり、それをこなすと応援ポイントが貰えたりと、読むだけでゲームに参加しているような感覚もある。
さらにアルファポリス的なインセンティブや、投げ銭の要素も取り込んでいて、お金目的の欲求も、作者が負担にならない趣味を趣味とした物書きのまま満たしてくれるかもしれないサービスもある。
今までのサイトのいいところを取り込み、悪いところを減らそうとしている感じで、とても興味を引きます。
まだまだ読み手に優しくないサイトの作りだし、運営母体もよくわかりませんから不安もありますが、小説家になろうをよく研究し、その『負』と感じる点を解消しようとしていると感じました。
なので興味のまま、とりあえず触れてみようと思います。
またしばらくして、やっぱり小説家になろうだったよ――という結果になりそうな気もしますが……
ちょっと様子見に行ってくるよ。
小説家になろうの変わらない感じは素敵です。
ただ一人の書き手として、後発サイトの進化が目を見張る物が出てきたように思えます。運営様。