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らんしゃまと片思い

私の名前はゆっくりらん、湯っ栗町の一軒家に住んでいるお姉さんの飼いゆっくりだ!


今日は八月五日、時刻は午前十時頃だろうか、天気が良かったので一人で町内を散歩している。やはり外の空気とはうまいものだな!


おや?暫く歩いていると一匹の胴付きのゆっくりとすれ違った。

お姉さんから聞いたことはあったが、実際に見るのは初めてだな。そのゆっくりの種類は…


「ちええぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」


「うにゃぁぁぁ!?」


私は思わずその胴付きちぇんに飛びつく。

可愛い!可愛すぎる!ちぇんは基本的に好きだが、あそこまで可愛いちぇんを今まで見たことないぞ!

しかし、そのちぇんは私に驚いて私を避ける。


「なぜよけるんだちぇん!わたしはこんなにもおまえのことがすきなのに!」


「であってばかりのゆっくりにいきなりだきつこうとするなんて、ゆっくりしてないよー、らんしゃま」


「ゆがーーーん!」


若干私と距離を取りながらそう言うちぇん。

出会って早々、「ゆっくりしてない」と言われてしまった。しかし私はめげない!私はこのゆっくりちぇんに抱きつきたいんだ!


「わたしはたとえゆっくりしていないといわれようと、おまえにだきつきたいんだ! ちええぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」


「わがらにゃいよぉぉー! このらんしゃまなんだかおかしいよー!」


「まってくれ、ちええぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」


ちぇんは走り出して逃げてしまった。私はちぇんの後を追おうとするが、手足が付いてる胴付きと普通のゆっくりじゃ移動速度が違いすぎる。ちぇんには逃げられてしまった。


それでも諦めきれずに探していると、さっきのちぇんがアパートの部屋に入っていくのが見えた。私はその部屋の中の様子を覗く。


「おにいさん、おかあさん、ただいまだよー」


「おうお帰り」


「お帰りない、外から帰ったら、手を洗うのよ」


そこには二人の人間さんと仲良くするちぇんの姿があった。私の目線からはバッチが見えなかったが、ちぇんは飼いゆっくりだったようだ、つがいになるのは無理だろう。

私はショックを受けてしまった。


そろそろお昼の時間だ。私は仕方なくお姉さんのお家に帰ることにした。


玄関の扉の下にあるゆっくり用の扉の鍵を開けて家に入る。


「ただいまおねえさん、いまかえったぞ・・・」


「あら、お帰りなさいらん。元気ないわね、何かあったの?」


「な、なにもないぞ!」


相談もしてみたいが、いつも優しいお姉さんには余計な心配かけたくないからな。


「そう・・・、それじゃあ昼飯にしましょうか!」


今日の昼ご飯さんは私の大好物の油揚げさんだった。しかし、さっきのちぇんのことが頭から離れず食事も喉を通らない。


「どうしたのらん? 大好きな油揚げを残すなんて・・・具合でも悪いの?」


「し、しんぱいしなくてもだいじょうぶだぞおねえさん! わたしはげんきだ! ・・・でもさんぽでつかれたし、すこしねることにするよ。おやすみなさい、おねえさん」


「そう、もう寝るのね・・・らん、ちょっとこっちに来なさいな」


お姉さんが私を呼ぶ。お姉さんの元に向かうと、お姉さんは私を抱きしめてくれた。

とっても暖かかった。


「辛いことがあったら、我慢しないでね」


「ああ、ありがとうおねえさん! しんぱいしないでくれ! らんはがんばるぞ!」


やはりちぇんのことは頭から離れない。

これは・・・間違いなく恋だ!

たとえ結ばれないとしても、この想いを伝えたいんだ!


お姉さんに励まされ、私は決心をした。




ーーーー同時刻虐師家


『饅頭戦士、ユックリマン参上!……』


僕は麦茶を飲んでテレビを見ながら、ちぇんと何気ない会話をしていた。


「きょうおさんぽのかえりみちにらんしゃまにいきなりだきつかれたんだよー、こわかったよー」


「らんしゃま・・・ゆっくりらんか」


ゆっくりらん。金髪に九本の尻尾、二本の尖りがある帽子、帽子の中には狐耳が隠れてるのが特徴で、中身は酢飯で尻尾は稲荷寿司。

希少種と呼ばれるゆっくりの中の一匹と聞いた。


らん種はちぇん種を可愛がるらしいから、それで抱きつかれたのだろう。

・・・つーかお前も出会い頭に僕に飛びかかってきただろ。


「ちぇんは明日も散歩に行くのか?」


「おさんぽさんはゆっくりできるよー、できればまいにちしたいよー」


「うーんそうか・・・一応大丈夫だとは思うけど、明日は僕も一緒に行くよ」


「わかったよー」




ーーーーーーーー



目が覚める、朝だ。

時計を見ると9時52分、昨日の時間から考えると今から散歩に行って丁度いい位の時刻だ。

私は寝床から体(顔?)を起こす。


「おはようおねえさん。いまおきたぞー…」


「おはようちぇん」


私は少し背伸びすると、お姉さんに散歩に行く報告をした。


「それじゃあきょうもさんぽにいってくるぞ、おねえさん」


「ええ、いってらっしゃい。気をつけてね」


私はゆっくり用の扉から外に出ると、鍵を閉めたのを確認して散歩に向かった。

今日は心なしか、いつもより早い足取りだった。


気がつくと、昨日ちぇんと会った歩道に立っていた。


「ちぇんは・・・まだきていないか・・・ん? あれは・・・」


私は歩道の向こう側を見ると、昨日のちぇんと、一緒に歩いてる一人の人間さんが目に映った。

私は全力で駆け寄る。


「ちええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!」


「うわーーー!またでたよーーー!」


「凄い勢いだな・・・」


私は一匹と一人の前で急ブレーキする。


「きのうのらんしゃまー、いったいなんなのー?」


「ちぇん! わたしはおまえがすきだ! わたしと・・・わたしとつきあってくれ!」


思い切って言ってしまった。その場が暫くシーンと静かになる。私はダラダラと暑さのせいではなく、不安で冷や汗を流していた。するとちぇんが口を開く。


「きもちはうれしいんだねー、でも・・・ごめんなさいなんだねー・・・」


断られてしまった、私は涙を流す。


「だけど・・・」


ちぇんは続ける。


「らんしゃまとはおともだちになりたいんだねー」


ちぇんは笑顔で私にそう言った。


「い、いいのかちぇん?」


「いいけど、いきなりだきつくのはやめてねー」


太陽と被さったその笑顔が、凄く眩しく見えた。私は思わず抱きつく。


「ありがとう、ちええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!」


「らんしゃま、はなしきいてたあぁぁぁ!?」


「もちろんだぞ! ちええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!!」


「わがらにゃいよおおおぉぉぉぉ!!!」


どうやら丸く収まったようで良かったよかった・・・良かったんだけどさ・・・


「僕今回影薄くね?」

読んでいただきありがとうございます。

誤字など、発見次第直しておきます。

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