疱瘡…マジ辛いっす
伊達梵天丸、5歳。
疱瘡にかかりました。
マジでキツい。死にそうだ。
それにしても毎日高熱が二ヶ月ぐらいずっと出てる。
俺だけじゃなく領民にも大流行しており、連日大量の死者が出ているそうだ。この時代は疱瘡の治療法なんてないから当然とも言えるのだが。
「梵天丸様、朝食をお持ちしました」
「…口に…布は…当てたか…」
「大丈夫です。梵天丸様に言われた通り、熱湯で消毒した布を巻いております」
「それなら…良い…入れ…」
母上、父上、彩達にもうつらないように最低限必要な事は教えておいた。領民にも布告してあるので少しでも感染を予防できないかな。
今日の朝食はお粥。ここ1週間お粥しか食べてないんじゃないかと言うほどお粥ばかりだ。
それにしても気持ち悪っ!
「うわああああああああ!」
「梵天丸様、大丈夫ですか⁉︎」
「うん…大丈夫じゃない…」
「医者を呼びますか⁉︎」
「うん…そうして…」
「誰ぞ!医者を‼︎」
ヤバい…。頭が…。クラクラする…。
「梵天丸様⁉︎梵天丸様⁉︎梵天丸様⁉︎梵天丸様⁉︎ぼんてんま…」
俺は意識を失った。
(梵天丸よ…梵天丸よ…哀れな事だ。俺の体に乗り移ったくせに…。)
(⁉︎。お前…は⁉︎)
(わかりきった事だろうが。俺は伊達政宗。お前だ。)
(俺はお前…お前も俺か…)
(そうだ。お前には天下を取ってもらうからな。疱瘡ぐらい治してやる。代償はもらうがな。)
(代償⁉︎ちょっとまっt!)
俺は目をひらいた。
気分は大分良くなっている。
それにしても変な夢だ。
「梵天丸様!お気づきになられましたか!」
「うん…イテッ」
右目が痛む…どうしたのだろう…。頭は問題なくなったが。
「彩、医者を。」
「はっ。今すぐ呼んできます。」
そう言うと彩は出て行き、暫くすると医者を連れて戻ってきた。
「早い…早すぎる…」
「どうかされたのですか?」
「梵天丸様の熱のさがるのが早すぎるのです。普通なら死に至るような病気。回復するのも困難なのですが…伊達家の嫡男は良い運をお持ちのようだ。」
医者が驚きながら言った。
「医者の者、目が少しどころではないぐらい痛むのだが。」
「⁉︎」
「梵天丸様、ご安心召されよ。若の目は…大事ありませぬ…」
…それにしては目が痛むのだが。
「彩、鏡」
「鏡…ですか…少々お待ち下さい。」
それから何時間経っても彩は戻って来なかった。
「梵天丸‼︎宴じゃ!参加せい!」
「父上、私はまだ治ったばかりなので…皆に移す可能性があるのですが…」
「構わん、参加せよ」
いや、父上が決めていいのか?戦国ってそんなもん?
俺は渋々宴へ向かった。
疱瘡の治り方は気にしないで下さい(
キリッ