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クエスト32:ロボニッヒVS奇術師マトリック・クエイバー

■モンスターヴィーゾフ公式ルール

・デッキに入れるカードは40枚以上

・同一カードの複数使用に制限無し

・ライフポイント(LP)は5000

・互いのモンスターカードでLPを削りあう

・場に出せるモンスターは一枚のみ

・出せるモンスターカードはサイコロの目以下の物

(場にサイの目以上のカードがある場合破棄される)

・サイコロの目はターンごとに振りあう

◆勝利条件

・相手LPの消滅/相手プレイヤー自身が戦闘不能

・チーム戦は5人の星取り合戦。先に3勝で勝ち抜け



 予選会場となったナフコフでは次々と一回戦の試合が始まっていた。ゲームを純粋に楽しむ人、一獲千金を狙う夢追い人、カードに魂を賭けた人。様々な思いが重なりうねりをあげて熱気となって渦巻く。それでも勝者は常に一人。それぞれのテーブルで引き裂かれるカード、散る者と笑う者。



「ヤア、今日はお手柔らかに頼むヨ」


 赤い帽子ニ赤いコート。薔薇を口に咥えたキザな男にU字型へと改良された右手を差し出ス。今私ノ目の前ニ居るこの男はかつて超術士と呼ばれタ男、名はマトリック・クエイバー。今はギルドの活動ヲ休止してはいるガ、当時得ていた冒険者の称号は支配者(プラヴィーチリ)。私が欲してモ欲してモ手にする事ができなかっタその称号をこの男は一年の活動期間であっさりと手に入れタ。覇権ギルド・ルーンヌィからの誘いもあったといウその実力はまさにクナシャスでも屈指ダ。冒険者トしての格では私とは天と地ほどモ違うダロウ。


 ……不思議なものダ。本来であれば嫉妬の対象トいえる相手にこれほど穏やかニ接する事ができるのダカラ。だがそれハ目の前にいる男が憎むべキ存在ではないト感じているからニ他ならなイ。


「お手柔らかに? 残念ながらそれは無理な相談だね」


 薔薇を咥えながら喋りにくそうニ答えるマトリック・クエイバー。その体は小刻みに震えていル。


「僕は一刻も早く君との戦いを終わらせなくてはいけない。何故ならこの唇に突き刺さった薔薇の毒がすでに体内を浸食し始めているからね。そう長くは持たないだろう」


 そう、彼モまた己の命をカードに捧げた馬鹿な同胞の一人なのだかラ。


「さあ、時間が無い。心躍るデュエルをしようじゃないか。この命が朽ち果ててしまう前に」


「望む所サ」


 いざ参ろウ。強敵(とも)と自身を高め合う為ノ戦場ヘ。



※※※※※



「ルク先輩。ロボニッヒはいつもどんな戦術で戦っているんですか?」


 モニターを見つめながら隣にいる先輩に尋ねる。考えてみれば私はロボニッヒが戦う所を初めてみるのだ。

 

「ん? あぁ、ロボニッヒの戦術はバランス型だよ。モンスターヴィーゾフのデッキは40枚構成の場合、モンスター20、装備、魔法、罠で20ってのが一番いいと言われているんだ」


「なるほど、じゃあロボニッヒのデッキ構成もそれに近い形なんですか?」


「いや今回の構成はモンスターカード10枚、装備30枚のデッキ構成だな」


「え、バランス悪くないですか?」


「いいんだよ、これは対マトリック・クエイバー用の必勝デッキだ。奴は賽の目を自由に操る事ができる。言い換えれば常に星6つの強力モンスターを場に出して戦い続ける事ができるって事だ」


「そ、それって本当の話なんですか? にわかには信じがたいんですけど」


「それだけじゃない。奴が操る事ができる賽の目は相手の出す目も含めて、だ」


「え……って事は」


「そう、こちらが出る目は全て1にされるって事だよ」


「そ、そんな……そんなの勝ち目なんてないじゃないですか」


「ふん、ロボニッヒを甘く見るなよ。奴は元々賽の目に確率負けしないようにバランス型戦術を取っていたんだ。だが今回は賽の目なんて考える必要はないんだよ、はなっから相手は6、こっちは1のつもりで戦えばいいんだからな」


「えっと、どういう事ですか?」


「確率負けする事はないって事さ。今回ロボニッヒがデッキに入れているモンスターカードは星1の中で最強の攻撃力を誇るレアカード・トツゲキブタ、これを10枚のみだ。そしてその攻撃力は800。あとは装備カード・豚に真珠の複数掛けで攻撃力を最大までアップさせての火力勝負に持ち込むって戦法だ」


「な、なるほど! だからこそのカードバランスなんですね。でもそんな必勝の戦術があるならなんで皆やらないんですか?」


「賽の目が固定されるなんて普通は考えないからな、相手のオーダーを読み切っていないとできない作戦さ。それにこれは罠や魔法には極端に弱い戦術だ、勝負は数ターンでつく。まさに最強の矛と最強の矛の闘いだ」


 己の戦術を曲げてまで勝ちに拘ったロボニッヒ……私が思っている以上に彼の機械の心にはナフコフを思う気持ちが宿っているのかもしれない。



『おぉぉぉ! 出たぞぉ! マトリックのお家芸、六面六字だぁ!!』


 

 揺れるように会場がどよめく。

 モニターに映し出されたのはマトリック・クエイバーの魔力によって六面のサイコロの目が全て「6」に変わる瞬間だった。


「なにそれズルい!」


「なにもズルくはないさ。奴は時空間に干渉してサイコロの目だけを消滅させ、更に召喚術を駆使してサイコロの目を一つ一つ召喚しているんだからな」


 もっと他に方法ないのかよ。


『そして、出たカードは……おぉぉぉぉ! 星6つのウルトラレアカード・鉄魔神メチャカタイデスだぁぁぁ!!』



鉄魔神メチャカタイデス【魔人族】

★★★★★★

ATK:2500

DEF:2700

■滅茶苦茶硬い鋼鉄の魔神。その巨体から繰り出されるパンチも滅茶苦茶痛い



「うわっ……メチャカタイデスってS難度クエストの剛魔神じゃないですか。マズイですよルク先輩」


 慌てる私に追い打ちをかけるようにロボニッヒの元へと置かれたサイコロからは目がこそげ落ちて行き「1」の目しか無くなる。


「ズルいぃぃぃ!! ズルすぎますよこんなの!」


「落ち着けミリシャ。さっきも言っただろう、こんな事は想定内だ。ロボニッヒを見てみろ」


 ルク先輩に促されるままモニターを確認した私の目に映ったのは、我が子を慈しむような優しさでサイコロに触れているロボニッヒの姿だった。


「ロボ……ニッヒ?」


 そしてロボニッヒのU字型の手が輝く様な光を放ち己のデッキへとのびて行く。


「あいつは分かっているんだよ。この勝負、最初のドローで全てが決まる事を。そして確信もしている、全てを投げ出してカードに魂を燃やし尽くした者にこそカードの女神は微笑む! 奇跡は祈るものじゃない起こすものだってな!!」


「ウォォォォォォ!!」



豚に真珠【装備】

■どんな豚が着飾ってもその真珠の価値が色あせる事はない。それを醜いと思う貴方の心が視覚的にしか物事を判断できない醜い思想の塊なのだ。攻撃力+500



豚に真珠【装備】

■どんな豚が着飾ってもその真珠の価値が色あせる事はない。それを醜いと思う貴方の心が視覚的にしか物事を判断できない醜い思想の塊なのだ。攻撃力+500



豚に真珠【装備】

■どんな豚が着飾ってもその真珠の価値が色あせる事はない。それを醜いと思う貴方の心が視覚的にしか物事を判断できない醜い思想の塊なのだ。攻撃力+500



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豚に真珠【装備】

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豚に真珠【装備】

■どんな豚が着飾ってもその真珠の価値が色あせる事はない。それを醜いと思う貴方の心が視覚的にしか物事を判断できない醜い思想の塊なのだ。攻撃力+500




●ロボニッヒ lose……


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