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 一般市民は警察に対して協力する義務が、アメリカでは法律によって定められている。

 例えば映画やテレビドラマ等で民間人から車やバイク等を「借りるぞ!」と言って犯人追跡に使う事も、現実の世界でもかなりレアなケースではあるものの存在したりする。

 ただしその場合は民間人から借りたバイクや車を使った場合のガソリン代、それからもしぶつけた場合の修理代や捜査に協力した報奨金を支払う必要があるので、車やバイクを借りるのはやっぱり非常にレアなケースである。

 張り込みの為に一時的に場所を借りたりする等と言う事はあるものの、なるべくであれば警察も一般人とのそうした捜査中の協力を巡るトラブルは避けたいので、よっぽどの事が無い限り自分達の力だけで解決する。

 警察としてもプライドがあるからだ。


 だけど、時にはそのプライドを捨ててまで頼まなければいけない事もある。

 ヴェハールシティも勿論、アメリカの法律が適用される一都市なのでレイジに協力要請を出してこうして協力して貰っている。

 レイジは日本からやって来た人間であるが、彼は自分の愛車を盗まれてしまったので彼自身としても取り戻せる確率が少しでもあるのなら協力したい気持ちがあった。

 なのでレイジがその刑事コンビに協力する事になったのは良いが、ここでマドックが気になっていた事を呟いた。

「そう言えば、あんたのあの青い車は何で港にわざわざ姿を見せたんだろうな」

「えっ?」

 唐突にそう問い掛けられてレイジはキョトンとする。

 何故と言われても、自分が実際にその現場を見た訳では無いので何とも言えない。

 だけど、ある程度の予想はレイジにもつけられる。

「考えられるのは……そうだな、俺の車を盗んだ後に何処かで解体するなら……港はうってつけだろう。車を入れられる倉庫もあるし、そのまま船に積み込んで輸出も出来るからな」


 妙に詳しい口振りのレイジに、マドックもニコラスも不信感たっぷりの目を向ける。

「詳しいんだな、あんた」

「そう言う事に関わった事がある訳ではあるまいな?」

 まるで自分を疑う様な刑事コンビの言い方に、レイジは若干ムッとしながらもそれを否定する。

「こう言う国産のスポーツカーを狙うのが日本では結構多いからな。だからこう言う窃盗の話は良くニュースで聞いてたりしてたし……実際に俺の知り合いでも車を盗まれた奴が居るからな」

 だから防衛策としてそうした手口とかは自然と目や耳に入って来るんだ、とレイジが言ったが、ここで捜査は行き詰ってしまった。

「しかし、これ以上の手掛かりが無いとなると如何すれば良いのか……」

 ニコラスが腕を組んで考えてみるものの、未だにその逃げたRX-7もレイジのR34GT-Rも見つかっていない。

 となれば目撃情報を辿って行くしか無さそうだと思った所で、マドックがふと思いついた事がある。

「……そうだ、港だ」

「え?」

「港で集会が行われているって話があっただろう? だからそこに行けばRX-7とかのスポーツカーに詳しい人間がわんさか居ると思うんだが」


 それを横で聞いていたレイジがポツリと呟く。

「……この街でもストリートレースは行われてるらしいな」

「え?」

「ストリートレースの連中は交通課の連中からたまに聞いているけど、それは俺達の専門じゃ無いから俺達もそこまで詳しくは知らない。あんたはそう言うのには詳しいのか?」

「まぁ、ああ言う車に乗っていると少しはな」

 思いがけない話に、レイジの呟きを最初に耳にしたニコラスもレイジにその事を聞いたマドックも自然とお互いに顔を見合わせて頷き合う。

「だったら分かる範囲で良い。そう言うのを教えてくれないか?」

「分かる範囲でならな」


 マドックの申し出に念を押し、レイジは集会の内容について話し始める。

「ああ言う広い場所だとストリートレーサーの連中が集まりやすい。400メートルを駆け抜けるドラッグレースも出来るし、倉庫街を使って集会レースも出来る。それからタイヤを滑らせて車をコントロールするドリフトも出来るし、即席のカーショーも行われる。日本でもそうした行為は行われているが、警察と激しい攻防を繰り広げているのは否定出来ない」

「へぇ、なかなか色々な種類があるんだな」

「じゃあ、あの港に残っていた大量のタイヤの跡は……」

 その説明に納得と感心の色がミックスされた声が返答するニコラス、それからタイヤの跡の事を思い出すマドック。


 それを聞き、レイジは自分の予想を2人に話す。

「実際にそのタイヤの跡を見なければ何とも言えないが……港を行き来する普通の車のタイヤに交じってそうした連中が色々とタイヤを擦り減らす走り方をしているんだろう」

 こう言う感じでな、とレイジがタブレットをスイスイと捜査して見せて来たのは、そうした行為を繰り広げている連中を撮影した動画だった。

 有名な動画サイトに幾つもこうした物が投稿されており、港に限らずハイウェイや町中の交差点等で行われているらしい。

 レイジの話によれば、一部では合法的に許可を得た上で撮影している動画もあるのだがその殆どは違法行為の動画らしいのだ。

「だからその港の会場に行けば、そう言う連中に出会える確率は高いかもな」

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