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 マドックが事情聴取を始めて、すぐにレイジの口から色々な情報が出て来た。

「街外れの洒落たレストランに入って食事をしていたんだが、その時に車を盗まれた。ここだ」

 そう言いながらレイジが見せて来たタブレットの画面をマドックが見てみると、ああ……と納得した表情で彼は頷いた。

「ここなら盗まれてもおかしくないな。食事をしていたのは何時頃だ?」

「ついさっきだから……午後8時25分と言う所か」

 腕時計を見て答えるレイジと、それに合わせて壁に掛かっている掛け時計を見るマドック。

 時計の時間は両方とも午後9時を回ったばかりだ。

「街外れからだとかなり距離があるな。パトカーに乗せて来て貰ったのか?」

「その通りだ。色々と車の情報も伝えたし、盗まれたのなら書類の作成も必要だと言うから」


 盗まれた車を探す検問はヴェハールシティ全体に張り巡らせている上に、さっきのシルバーか白か分からない色のスポーツカーの情報に関しても既にヴェハールシティの検問部隊に情報を出している。

 だが、肝心の車種であるとか車の名前に関してはマドックはさっぱり分からない。

 だから車に詳しそうなレイジに色々と聞こうと思っていた矢先、2人の居る取調室のドアが開けられ金髪の刑事ニコラスが入って来た。

「どうだ、順調か?」

「ああ、それなりにはな」

 ニコラスは色々と書類を持って来て、マドックとレイジの前のデスクの上に置く。

「さっき取った調書は預かって来たから、色々事実確認させて貰うぞ」

「ああ」


 調書があると言う事でそれと見比べながら、レイジからプロフィールや今までの状況等をもう1度説明して貰う。

「……良し、特に間違いは無いな」

「後は車の行方を探すだけだが、あんたと俺は前に1度あのガソリンスタンドで会っているからな。盗まれたのはその時に乗っていた車だろう?」

「そうだ」

「あれだけの改造をしていると言う事は、車にはそれなりに詳しいのか?」

「……多少は」

 レイジは寡黙な性格の様で余り喋らないが、それでも質問に答えてくれるだけまだ良いレベルだ。


 車には多少詳しいとの事なので、マドックはニコラスに頼んで彼の端末から自分の端末に動画を1つ転送して貰う。

 その動画はマスタングの前後に取り付けられているドライブレコーダーの物である。

 しかも取り付けてある車の360度、つまり全方位を録画出来る物である上に天候に関わらず動作可能なので雨でも雪でも心配する必要は無い。

 その動画に収められている車を見て貰って、レイジに自分達のマスタングパトカーにあの時バンパープッシュを仕掛けて来た車を特定して貰えれば……と言う思いだった。

 だからその動画を見て貰ったヴェハールシティの刑事コンビだが、レイジは動画を見て何回か再生と停止を繰り返した後にすぐに車種を当ててしまった。


「……ああ、FDだな」

「FD?」

「この車の型式名だ」

 型式名で言われても、その肝心の車に詳しくないマドックとニコラスはさっぱりである。

 だからきちんとした車の情報を教えて欲しいと頼んでみた所、レイジは自分のタブレットを取り出して指でスイスイと操作をする。

「これだ」

 そうして見せられた画面に映っていたのは、今では絶滅危惧種のレベルで見かけなくなってしまったリトラクタブルヘッドライトのマツダのスポーツカーだった。

「これがFDか?」

「ああ。正式名称はマツダRX-7。だがモデルによってはアンフィニRX-7と呼ぶ事もある。動画を見た限りでは、どうやらアメリカ国内では販売されていないモデルだな」


「分かるのか?」

 キッパリ言い切ったレイジに対して、思わずマドックもニコラスもレイジの方を見る。

「ああ。ドライバーの顔や服装は良く見えなかったが、ハンドルがある位置は何とか判別出来た。俺にあんたが色々聞いて来たのと同じ右ハンドルのモデルだ」

「と言う事は……」

「この街で色々な車を盗んだ連中の仲間の可能性が高いだろう。断定は出来ないが、このアメリカでわざわざ右ハンドルの車を持ち込む人間はよほどその車に愛着があるのか、もしくはアメリカで左ハンドルの車を使えない理由があるのか……。そしてRX-7には左ハンドルのモデルがアメリカでは普通に売られていた筈なのに、このFDは右ハンドル……と言う事は、右ハンドルの地域からこの国に持って来た可能性も非常に高いな」


 レイジの推理に刑事2人は感心した。

「凄いな、そこまで分かるのか」

「それならかなり車の行方を絞り込めそうだ」

「なら良いのだが、それよりも問題は俺の車が見つかるかどうかだろう」

「そうだな」

 盗まれたレイジの車も右ハンドルで、そのマスタングに体当たりして来た車……レイジの証言によればFDのマツダのRX-7と言う話なので、すぐさまマドックはシティ内の全ての検問にその証言を提供情報と言う形で伝える。

「今までの話からして、マドックに襲い掛かったその連中の車が全て右ハンドルだとすればそのRX-7の持ち主も仲間の可能性がやはり高いな。それとあんたの車はかなり目立つ……。だから必ず捕まえる、心配するな」

 ニコラスがレイジに対してそう言うと、言われた方のレイジは無言で頷いた。

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