表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/125

17

 ゲートをくぐり、その先でマスタングを停めて港の中に何か痕跡が無いかを探す2人の刑事。

 とは言っても余り明るくないので、港湾の警備員に事情を話して照明を少し多く点灯して貰ってからの話なのだが。

 港湾区域と言っても広い区画から狭い区画まで様々な場所があるので、まずは車を多く停められる事が出来そうな広い区域に向かって歩いてみる。

「全く、こんな場所で集会をして一体何が面白いのやら……」

「他人の考えてる事なんて分からないさ」

 ぼやくニコラスに対してそう言ったマドックがその広い区画の地面に目を向けてみると、明らかにタイヤの跡……通称ブラックマークが多い事に気が付いた。

 それもただ方向転換をしたり、急ブレーキを掛けて停車した様なブラックマークの付き方では無いのが車の事は素人に近い2人でも分かる物であった。

「どうやら、この辺りで集会が行われているのは確かみたいだが……やはりこう言う事に詳しい交通課の面々に聞いた方が早いだろうな」


 あいにく交通整理は2人の担当では無いので、そちらに関しては良く分からない。

 それでもまだ何か手掛かりがあるかも知れないと思い、さっきの港湾警備の担当者にそうした集会を目撃した事は無いかどうかを尋ねてみる。

「集会なら何回も目撃した事があるよ。この港のゲートは緊急事態でも無い限りはロックが出来ないから、そのロックをしてないゲートを通過して改造した車が沢山入って来るんだ」

「主な時間と場所は分かるか?」

 あの倉庫の警備担当者に聞いてみた時は不定期だと言っていたが、ニコラスがそう聞いたこの警備担当者からはまた違った答えが。

「時間は夜になってからだな。大体今頃の時間帯から車が集まり始めて賑やかになって行く。ほら、あのーアメリカで20年以上前に大ヒットしたファスト何とかって言う映画みたいにさー」

 そのファスト何とかと言う映画は2人は知らないものの、それでもかなり有力な情報と言える。


「時間は分かった。では曜日とかに規則性はあるか?」

 今度はマドックが聞いてみると、警備担当者はああ……と頷く。

「大体週末だな。夜のホームパーティみたいなノリでそうした事をやっているみたいだから、全くはた迷惑な話だ。今日みたいな平日にもここで集まる連中が居たりするけど、盛り上がるのは週末だよ。だからそうした連中を取っ捕まえたいなら週末のこの時間帯にまた来なよ」

 あの倉庫の警備担当者は、恐らく平日にもそうした集会を行う連中が集まっているのを知っていたからこそ「曜日も時間も不規則」だと答えたのだろう……と予想がついた。

「分かった、また来る。情報提供に感謝する」

 礼を言ってマスタングの方に向かおうとするマドックとニコラスだが、その横から警備担当者が何かに気が付いて声を上げたのが聞こえて来た。

「ああほら、俺達が噂してるそばから吸い寄せられて来たのがまた1台……」


 その声と共に警備担当者の指差す方向を見てみると、確かに1台の改造車が爆音を立てながらゲートをくぐって港湾区域に入って来た。

 どう見ても荷物の受け取りに来たとは思えないその車だったが、マドックはその車を見て目を見開く。

「あ、あれは……」

「どうしたマドック?」

「あれ、俺に情報をくれたレイジの車じゃないか!」

 色と言い着けているパーツと言い派手なカラーリングと言い、やや遠目ではあるものの港の照明設備に照らし出されているその車は、忘れたくてもなかなか忘れられない存在感を出すのには十分なものだった。

 警察官の2人にとっては「悪い方に忘れられない」存在感なのだが。


 少なくともこんな場所にこんな時間にわざわざ入り込んで来るとは怪しいので、マドックとニコラスはそのレイジの車に駆け寄り事情聴取をするべく窓をコンコンと叩く。

 ……筈だったのだが、そのレイジの車は派手なロケットスタートを決めて港湾の中に入って行った。

「あっ、くそっ!!」

「追うぞニコラス!!」

 マドックとニコラスも急いでマスタングに乗り込み、サイレンを鳴らしてスタート。

 港湾区域は至る所にコンテナがあったり、トレーラーの荷台の部分だけが駐車してあったり倉庫街があったりで見通しが悪い。

 この見通しが悪い港湾区域をまるで道を知っているかの如く、スムーズなドライビングで前のレイジの車は駆け抜けて行く。


「おいマドック、離されてるぞ!!」

「分かってる、分かってるが……あいつはかなり速い! 何処かに逃げられる前に港を封鎖してしまった方が良さそうだな。応援を要請してくれ!!」

 ジリジリと距離を開けられているマドックだが、それでも冷静にニコラスに対してそう指示を出しながら725馬力のマスタングRTRを走らせる。

 パワーのあるマスタングだがアメリカ車の大多数に漏れず車重もあるし、何より後輪駆動なのでパワーの全てをその路面に伝える事が出来ない。

 しかもレイジはマドックよりテクニックもあるらしく、それも相まってマスタングのパトカーを少しずつしかし確実に引き離せる様だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ