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 端末と拳銃を失くしてしまった事で、マドックは始末書を書く羽目になってしまった。

 拳銃を奪われてしまったのもかなり大きな問題なのだが、携帯端末を奪われてしまった事の方がもっと問題だった。

 あの端末には警察の色々な情報が入っており、万が一にでもハッキングされる様な事があれば大問題になってしまう。

 本当は始末書どころの騒ぎでは無いものの、今の状況で出来る事の第1歩としてはこれ位しか無いのでマドックには始末書を書いて貰うのが上層部の判断だった。

 その後で現在手の空いている者、それからマドックの事件を優先的に回れる者は全員回らせる様にして怪しい車の一斉捜索に出る。

「見つけるのは右ハンドルのスポーツカー2台だ。リアのブレーキランプが片方切れている黒のMXー5と、青のサイオンFRーS!! このヴェハールシティ内にまだ居る筈だから、絶対にこの街から逃がさない様に各方面に検問を張って待ち構える!!」


 取り逃がしてしまった人間にああだこうだと指示されるのもどうなんだろうかと頭の片隅で思いながらも、この連続自動車窃盗事件の責任者は自分と言う事になっている。

 そしてその窃盗団のメンバーの顔を知っているのも、あの時スラムで殺されそうになった時にしっかり顔を見ている自分だけ。

 大きな失態を晒してしまったとは言え、直接犯人グループと関わりを持っているのはヴェハールシティポリスの中でやっぱり自分しか居ないので、そんな自分が責任者になるのは事件と話の流れ的にやっぱり当然かとマドックは思いながら指示を出す。

 アメリカの警察では、一般的に巡査部長は警部補から指示を受けて現場のリーダーとして活動する存在として知られている。

 だからこそ、マドックもこうして現場のリーダーでこれから活動する事になったのだった。


 マドックの指示で現場の人間が一斉に動き出す。

 勿論指示を出したマドック本人も動き出し、マスタングに乗り込んで捜査に加わる。

 そのナビシートにはニコラスの姿が。

 新部署の設立はもう後回しで良いから、と言う事で一時的にコンビを組んで動く事になったのである。

「しかしマドックが敵に捕まるなんて、にわかには信じられない事だな……」

 マスタングのステアリングを握るマドックに対して、ナビシートに座っているニコラスがポツリと呟く。

「……油断した」

 それだけ言ってマドックはドライビングに集中する。まだ時間は少ししか経っていないにせよ、正直に言えば余り思い出したく無い過去なのだ。

「油断、か」


 そんなマドックのオーラを察したニコラスもそれ以上言うのは止めておきつつ、自分の銃のセーフティを解除する。

 ヴェハールシティ全域に向けて、あのMXー5とサイオンFRーSの一斉捜索に出たマドックとニコラス以下の連続自動車窃盗事件の操作メンバー達。

 そのリーダーでもあるマドックと、彼をサポートする立場に抜擢されたニコラスが現在向かっているのは、この事件にマドックが関わって最初にニコラスから受け取ったあの写真の撮影された場所である倉庫街だった。

 港湾作業員達から情報を手に入れた場所からもさほど遠く無いし、犯人が事件現場に同じ場所に戻って来る可能性も大いにあり得る話だ。

 それに、もしかしたらその犯人達の手がかりも残っているかも知れないしあの写真を撮った情報筋の人間以外にも目撃者が居る可能性も否定出来ない。


 夜もすっかり更けた午後10時。

 マドックとニコラスの2人は倉庫街の一角にマスタングを停め、倉庫街を歩き回ってみる。

 勿論お互いにハンドガンのセーフティは外したままだ。

 マドックはマドックで再び赤い上下の服装に着替えているので、今はすっかり刑事に戻っている。

「その写真が撮影されたのは何処なのか、と言うのは聞いているのか?」

 マドックの質問にニコラスは首を縦に振った。

「ああ、それならもう少し奥に行った場所にある一際大きな倉庫だ」

「成る程な」

 この倉庫街には大小様々な倉庫があるが、その中で1番大きな広さと敷地面積を持っている倉庫がある。

 そこはこの町で1番の大企業が物流倉庫として日中稼働している場所なのだが、今の様に夜も更けた時間だとセキュリティのカメラが稼働しているのと警備員が数人居るせいで安心しているのか、人気が嫌と言う程無くなる。


 既に物流倉庫の稼働時間は終わってしまっているが、常駐警備の警備員は居るらしいのでその警備員に聞き込み捜査を開始する。

 聞き込み捜査を仕掛けてプラスになる事はあっても、マイナスに動く事は殆ど無い。

 勿論、自分の管轄外の地区の捜査や担当していない事件の聞き込み、それから容疑者と思わしき人間を泳がせているのに突っ走って聞き込むのは論外だが……。

 その考えでマドックとニコラスは倉庫の中に居る人間達に色々と話を聞く事にしたのだが、その中で妙な情報を手に入れる事が出来たのだった。

 そしてその情報を元に捜査を進めて行くと、自分達が相手にしている連中はどうもただの窃盗団では無いんじゃないかと思うのにそう時間は掛からなかった。

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