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右側に見える通路から階段で上るルートを選んだニコラスは、途中のトイレに人の気配がした様に感じた。
(……?)
まさか……と思いながらも女性用トイレの中を用心深く覗き、ハンドガンを構えて行くが誰も居ない。
(気のせいか……)
だが個室を覗いていたニコラスのコートの襟を、いきなり誰かがむんずと掴む!!
「うぐぉ!?」
そのままグイッと引っ張られてトイレの壁へと叩きつけられ、ハンドガンを吹っ飛ばされながらも体勢を立て直したニコラスに今度は思いっ切りキックを食らわせてトイレの外へと追いやるその人影は……?
「貴方がニコラス刑事ねぇ……?」
派手な衣装を身に纏いつつも、ニコラスを投げ飛ばせるだけのパワーを持っている女の姿がそこにあった。
「お前……スナイパーの女だな!?」
「あら、私の事を知っているのね。でも貴方はフェルディナンドには会えない。だって、私がここで殺してあげるから!」
女とバトルするのは若干気が退けるが今はそんな事も言っていられない。そのままじりじりとニコラスは後ずさりながら、やがて移動した大きなホールになっている場所で2人が向かい合う。
そして女は向かい合いつつ派手なドレスを脱いだ。
「女だからって手加減しないで欲しいわね、刑事さん?」
「そうか、なら俺も本気で行かせて貰う!!
その会話でバトルがスタートした。女は拳を振りかざして向かって来たが、拳をニコラスは避けながら反対に女の腹にミドルキック。それからすかさず顔面に左のパンチを叩き込んでやった。
「ぐほっ!!」
だが何とか踏ん張った女は次に繰り出されたニコラスの左回し蹴りを回避し、懐に飛び込んでニコラスの脇腹に思いっ切り膝蹴りを連発で叩き込む。
「ぬぐぉ!?」
それでも蹴られたまま終わる訳も無く、女を両手で突き飛ばしてからテコンドーばりの540度キックで女の顔面を蹴り飛ばして地面に倒れ込ませた。
「ふぅ、ふぅ!」
突き飛ばされたが女はまだ起き上がろうとしているので、ニコラスは一気に勝負を決めるべく女目掛けて勢いを付けて身体を捻り、空中から右足を女のみぞおちに落として気絶させたのであった。
(はぁ……これで、良し!!)
そのまま気絶している女の手首と部屋にむき出しになっている鉄パイプを手錠で繋ぎ、トイレに戻ってニコラスはハンドガンを回収してから50階へと向かうのであった。
一方のティアナもハンドガンを構えつつ用心深く進んで居たが、48階の小さな多目的ホールの様な場所の前まで来た時にいきなり誰かに身体を壁に叩きつけられる。
「ぐぅえ!?」
更に手首を掴まれて壁にガンガンと打ち付けられれば、その衝撃でハンドガンを落としてしまう。その上で、今度は思いっきり身体を両手で持ち上げられて壁に投げつけられた。
「ぐぅ、ぅ……」
自分を投げて来たその人物は、ニコラスが追い掛け回していた奴でもあり自分が尾行した……。
「お、オーソン・ビーティー!!」
「ヨーロッパ人同士、もっと遊ぼうぜ! ティアナ刑事」
どうやら自分の事もリサーチされている様だが、あいにく自分にはそんな時間は無いのでさっさと勝負を決めに行きたい所だ。
しかしオーソンはティアナが思った以上にパワーがあるらしく、パンチもキックもまるで効かないで平然とした顔をしながらティアナの身体を持ち上げ、思いっ切り地面へと投げ落とす。
「うぐぁ!!」
それでもティアナも刑事として鍛えている為に何とか立ち上がる。
だがそんなティアナに対し、雄叫びを上げながら思いっきりミドルキックを彼女の腹に容赦無くオーソンは叩き込む。
「あーりゃあああああああ!!」
「ぐっはぁっ!?」
そのままぶっ飛んだティアナは後ろの組み立て途中の壁を背中からぶち破り、コンクリートの破片を周囲に撒き散らす。
「ふん、もう少し楽しめると思ったんだがな……」
そう言いながら更にティアナを追い込もうと近付くオーソンだったが、目の前まで彼が来た時にティアナはコンクリートの破片を両手でそれぞれ拾い上げて立ち上がり、間髪入れずにフリーランニングの身軽さを活かして一気にオーソンの頭へ飛びついた。
「ぬぐぅ!?」
そのまま両足を使ってオーソンの首をがっちりホールドし、何度も何度もオーソンの頭を両手に持ったコンクリートの塊で殴りつける。
「だぁ、らぁ、らぁぁっ!!」
幾ら筋肉質とは言えども、頭は全体が人体の急所である為にそんな場所にコンクリートの塊を打ち付けられ続ければ、流石のオーソンでも気を失ってしまう。
そうして膝をついたオーソンはドサッと地面に倒れ込み、そんな彼を後ろ手に手錠で拘束。更に両足首ももう1つの手錠で繋ぎ合わせて芋虫状態にし、ティアナは50階へと駆け出した。




