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となればこの女をどう利用するかと言う作戦を立てる事になるのだが、その前にオーソンにはもう1つの収集した情報があったのでそれを他の2人に見せなければいけなかったのだ。
「まぁ待て待て。それよりも先にもう1人、気になる奴の情報をキャッチしたんだ」
「気になる奴?」
「そう、こいつだ」
オーソンはそう言いながら画面を切り替えて、2人に別の画像を見せる。その画像を見た瞬間、エディトの表情が真っ先に変化した。
「あっ、この女!?」
エディトがそんな驚きの声を上げるのも無理は無かった。何しろこの女はあの港でエディトに襲いかかって来てスナイプの邪魔をした女だったからだ。
「この女よ、私の邪魔をしたのは!!」
「そうかそうか、だったらこいつをぶっ殺したくてしょうがないだろうな。でもまずは敵を知る事が1番大事だ。この女の名前はティアナ・クリューガー。フランスのパリ警視庁の刑事だ」
「と言う事はこいつもヨーロッパ人って事か!?」
また新たなヨーロッパ人の登場にリーダーもエディトも驚きを隠せないが、更にショックを受けるオーソンのセリフが2人には待ち構えていた。
「この女は俺達を追いかけてここまで追いかけて来たらしい。あの港に居たのも、恐らく何らかの形でこのヴェハールシティポリスの仲間になったんだろうよ。パリ警視庁からわざわざ送り込んで来る程だから、なかなかの敏腕だと見て良いんじゃないのか? 俺はまだ出会った事は無いがな」
その言葉のニュアンスには「早くこの女刑事に会ってみたい」と言う感じが含まれて居る様な気がリーダーもエディトもしていたが、そこは今はあえてスルーしておく。
そのスルーされたオーソンはエディトにこんな質問を振った。
「それで、実際に出会った事のあるエディトから見てどんな奴だったんだ?」
そんな質問を振られたエディトはその時の状況を思い出して居たが、余り詳しい回答は得られそうに無かった。
「出会ったと言えば出会ったけど……正直、その時私はスナイパーの任務を全うしていた所で突然襲われたから余り把握出来ていないわ。でも、私は格闘も出来るけど警察だけあってそれなりに出来てたかしらねぇ……。あ、それから結構身軽な身のこなしだったわ。そんな女だったとしか覚えていないわよ」
「身軽か。だとすればそれなりに動ける女の様だな」
リーダーはそのエディトの報告を聞き、大体どんな動きをしていたかの目星をつける。
「フランスだったらパルクールとかフリーランニングか。大方そんなスポーツでもしていたんだろうが……スピードや身軽さだけじゃ勝てやしねぇな」
ははっと笑いながら、リーダーは引き続きオーソンにそのティアナの情報が無いかどうかを尋ねる。
「んー、他にはプロフィール位しか無いな。ティアナ・クリューガー、23歳。職業はパリ警視庁の刑事。まだまだ新人だが刑事になる為のテストでは総合で8位と言うなかなかの成績だったらしい。誕生日は8月3日。パリ警視庁では期待の新人……と言う訳でも無さそうだな。そんな余り期待もされていない奴が何故俺達を追いかけてここまで来る事が出来たんだかな……?」
「それって不思議ね。私が警察の立場だったら1人で、しかも入ったばかりの新米刑事なんか到底送り込んだりしないわよ。こう言うのって大体ベテランが何人か出て来る筈よねぇ?」
自分達の敵でありながら不思議だと思いつつも、その理由は本人しか知らないので別にどうでも良い。
「大方、偵察係みたいなもんなんじゃねぇの? 若い奴を1人で送り込ませる事で俺達を油断させる作戦かも知れねぇぜ」
リーダーの予想にオーソンは小さく頷いた。
「かもな。だが俺達の邪魔をするのであれば容赦はしない。そうだろう?」
「そうね。特に私があの時邪魔をされている以上、今度あったらただじゃ済まさないわよ」
一応この女にも注意するべきだと思いながら、これから先でどうするべきか3人は作戦を練り始めるのであった。




