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 ニコラスが送られて来たデータの山とにらめっこしている頃、ヴェハールシティのオフィス街にあるホテルの一室で3人の男女が話し合いをしていた。1人は明るい茶髪の女で、まるで中世の貴族の舞踏会にでも出る様な派手な格好をしている。その女の傍らには愛用のスナイパーライフルが入った大きなケースが置いてある。

「どうやら、私達の正体を知っている人間がこの街にも居る様ね。この街にやって来てまだ私達は日が浅いって言うのに」

 愚痴っぽくそんなぼやきを漏らした女に対し、顔に大きな傷がある茶髪の男が冷静な口調でこんなセリフを。

「確かに俺達も派手に動きすぎたと言うのもあるかもしれないな。だが、あの銀行強盗の時に逃げおおせたのは俺1人だった。これは俺にとっても大誤算だ。ヨーロッパの奴等は大体がとろい奴等ばっかりだったから上手く行っていた。こちらも情報収集は事前にして居たが……どうやらそれ以上の実力があるみたいだな」

 そんなセリフで、率直な感想を述べた茶髪の男は凄い筋肉質な体躯をしている。


 最後に水色に近い青緑の髪の色が特徴的な男が口を開く。見た限りでは茶髪の男と年齢が同じ位だ。

「それだけじゃねぇ、俺達が警察の奴等を罠にはめようとしたあの港の事件の事だっておかしかったぜ。結果的にあの港のおとりだって失敗した訳だろ? 警察の奴等は事前に知っていたのかも知れねぇぞ? 俺達があの港で取り引きがある様に見せかけて、そこでノコノコやって来た奴等を始末するって言うその計画が」

 何処かうんざりした様な口調で、残りの2人に男がそうセリフを吐いた。


 その男のセリフに真っ先に反応したのは茶髪の男だった。

「ちょっと待ってくれ。俺の計画が駄目だったって事か?」

「そうは言ってないだろーが。ただよぉ、実働部隊として活動しているのは御前とエディトだぜ? 俺はこの数日間前のアジトで待機していて、そのまま何処にも出ないで御前達からの報告をこうして待って居たんだよ。御前等がそれは良く分かってる筈だろ? なのにあの港の取り引きの情報が漏れた可能性があるって事は、御前等の内どっちかが警察にその情報を流した可能性も否定出来ないだろうが?」

「何ですってぇ!?」

 もはや言っている事が自分でも良く分からなくなっている男は、仲間に八つ当たりを始めて来た。


 そうなれば当然言われた2人はたまったものでは無いが、真っ先にそれに反応したのは女のスナイパーだった。

「言いがかりはよして欲しいわね!! 大体、私があの港の武器取り引きの実働部隊だったのは確かな事よ。それは認める。だけどその後に私は女の警察官に襲われてるの。わざわざ情報を流して教われる様な真似、する筈が無いでしょ!!」

「それもそうか、だったら……オーソン」

 女の言い分を聞いて納得した男は茶髪の男の方に視線を移すが、そんな視線を向けられた茶髪の男はクールな表情のまま落ち着いて反論する。


「俺も……エディトと同じだ。そもそも銀行襲撃の時の実働部隊の隊長は俺だったんだ。なのに何故その立場で活動していた筈の俺が、わざわざ自分が不利になる様な情報を、それも警察に流す必要があるんだ? そもそも俺は街中で警察の奴に追い掛け回されて、危うく路地裏で捕まる所だったんだぞ? そんな情報を流すような間抜けな行動は俺が1番取りたくない行動だ」

「…………」

「それに俺があの銀行襲撃事件の計画を立てていた訳だし、それからその後に港の偽取り引きの計画を立てたのだって俺だぜ。御前達2人とは長い付き合いなんだし、一緒に危ない橋を渡って来た仲の奴等を何故裏切る必要がある?」

 終始冷静な口調を一切変える事はせず、オーソンは自分の組織のリーダーに自分の意見をぶつけた。

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