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 それを聞いて、ティアナも小さく頷きを返して言葉を続ける。

「そうね、大体……と言うか殆ど全て当たり。私は確かに貴方達が今日港で捕まえたグループ、それからその前の銀行強盗事件を引き起こしたグループにも因縁と言うか色々と復讐したい事があるのよね」

 ティアナの口から出て来たその復讐、と言う単語にニコラスの表情が若干曇る。

「復讐ね。復讐は何も生まない……とは言わない。人にはそれぞれ事情があるからな。じゃあ次。何故銀行強盗事件の時に俺から逃げた? と言うかあの時、君があの人質の死体から持って行ったあの物体は何なんだ? 今も持っているのか?」


 矢継ぎ早に出て来る質問に、ティアナは冷静に一言だけ呟く。

「順番に答えるわ」

「あ、ああそうだな。じゃあまずあの時の物体について説明して貰おう」

「それはこれよ」

 そう言いながらティアナはハンドバッグから、小さいビニールに入っている1つのSDカードを取り出した。

「これがあの時の物体だって言うのか?」

「ええそう。あの死んだ人質はただのお客でも何でも無い人間よ。死体の検証はもう済んでいると思うから身元は割れていると思うけど、それはあくまでも世間を欺く為に作られている表向きの姿ね」


 そんな不穏な言葉にニコラスの表情も険しくなる。

「どう言う事だ?」

「つまり、あのお客は銀行強盗のグループと繋がりがあったと言う事。表向きにはこのヴェハールシティで高級ナイトクラブを経営するオーナーと言う事になっているけど、裏の顔はあの銀行強盗のグループ、それから港の待ち伏せグループと同じ組織に麻薬の密貿易のクライアントを紹介していたらしいわね。だけど、あの銀行でその顧客データやその他諸々が入ったそのカードを金と一緒にして上手く隠して預けようと思った矢先に、予期せぬ強盗グループの流れ弾に当たってしまった……もしくはその人質の存在を知らなかったグループのメンバーに殺される結果になってしまったと言う所だったのかしらね」


 ニコラスは段々頭がこんがらがって来た。

「ふむ、なかなか厄介な話だな。要するにあの人質はこのSDカードを現金と一緒に貸金庫に隠す為に持ち運んでいた所で運悪く強盗グループ達と遭遇し、殺されてしまったと言う事かも知れないと……」

「そうね、今の所はその線が濃厚。その人質はヨーロッパで結構派手な動きをしていたからマークもし易い男だったし。後は中身を見てみてよ」

「ああ、分かった」

 そのSDカードの事は後回しにするとして、次の質問をする方が先だ。

「でもこのカードは今は後回し。次の質問をさせて貰うぞ」

「ええ、どうぞ」


「次は何故あの時俺から逃げたと言う事だったな。逃げ足の素早さも見事だったが、それ以前にこうして俺達に最初から素直に何故協力して貰おうとしなかった?」

 その質問に、小さく頷いたティアナはまず最初に同意の言葉を述べた。

「確かにそれは御もっともな疑問ね。私もそれは考えていたし、何時かは今みたいな状況になるんじゃないかと思ってた。だけど、あの時はせっかく手に入れたSDカードを警察に渡してしまったら私が情報をなかなか見られないままになってしまう。私はこのSDカードの中身がどうしても一刻も早く知りたかった。だから貴方達には悪いと思ったけど、まず私がこのSDカードのデータをじっくりと見て調べたかったからあの時にまだ捕まる訳には行かなかったのよ」


 それだったらなおさら正体を明かしてデータの内容を自分達と一緒に見れば良かったんじゃないかと言いたくなったニコラスだったが、どうも彼女にはそうしたい理由があると悟った。

「もしかして俺達に最初からそのデータを見せようとしなかったのは、君が追っているその組織との因縁の事に関係があるのか?」

 その問い掛けにティアナは小さく頷いた。

「まぁそんな所ね。それに関してはまた追々話すわ。次の質問に行きましょう」

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