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(逃げられた……!!)

 悔やむニコラスは弾き飛ばされた自分のハンドガンを拾い、ひとまず銀行へと戻る事に。

(あんな初歩的な作戦に引っかかるとはな。油断と慢心が原因か)

 この街の事を誰よりも良く知っているからこそ、絶対に犯人を逃がさないと言う自信があった。

 この街の事を誰よりも良く知っているからこそ、そうして事件を解決して来た。

 この街の事を誰よりも良く知っているからこそ、今の自分があった。

 だがこの街の事を誰よりも良く知っているからこそ、そうした油断と慢心が生まれてしまった。

 そうした事もあって自らの愚かさに気がついたニコラスであったが今更後悔したってもう遅い。今はとにかく、銀行へと向かって今の状況をチェックする事が先決だ。


 逃げた男の特徴ははっきりと覚えているのでその特徴を銀行へと向かいながら連絡を本部に入れる。

「逃げた男は1名。茶色の髪の毛をオールバックにして、ガタイがでかい。顔には相手から見て右の頬に縦に入った傷がある。首には赤いスカーフを巻いていた。追跡途中で見失った。まだそれほど遠くには行っていない筈だ。至急捜索を頼む」

 自分が覚えているのはそれ位だったが、これだけあれば結構な容姿の情報にはなるであろう。

 しかし、そう思いながら銀行へと戻ったニコラスの身に再び修羅場が訪れる!!

(こっちは終わった様だな)


 銀行の銃撃戦はようやく終わった様で、射殺された強盗グループのメンバーの遺体の運び出しや連行されて行く逮捕された強盗グループのメンバーの姿を見る事も出来る。人質達に関してなのだが、その中で殺された人質が2人居る事以外はどうやら全員無事だった様だ。

 それでも人質が殺されたとなればその責任は警察に来ると言う事も大いに考えられる。

(交渉能力の無さが原因か、とか警察の職務怠慢だとか、色々メディアに書き立てられるかもな)

 小さく溜め息を吐きながらニコラスは現場検証の為に銀行内部に入る。

 すると、殺された人質の遺体を運び出そうとしている救急隊員達の傍に、1人の金髪の女がへたり込む様にして泣き崩れた感じを出しながら座り込んでいた。

「何で……こんな事に……」

 どうやらその人質とは雰囲気からして知り合いの様ではあるが、このままそこに居られる様では現場検証が進まないのでどいて貰う事にする。


「あー、取り込み中すまないが……積もる話なら俺が聞こうか?」

「…………」

 しかしその女はまだ動こうとはしなかった。担架に載せられている遺体の前で泣き崩れてばかりだ。

「悲しいのは分かるが……こちらも仕事なんだ、悪いけどこの男の身柄を運ばせて欲しい」

 そうニコラスが言うと、女はゆっくりと顔を上げて涙で濡れた頬を左手で拭った。

「……ええ、そうね……ごめんなさい、もう良いわ」

 ニコラスに謝罪をした女はそのまますっと立ち上がり、他の警官に連れられて銀行の外へと向かう。しかしその時ニコラスは一瞬、彼女の右手の中に光を反射する物がある事に気がついた。

「……?」

 指輪か? と思ったものの普通は薬指に指輪をつける筈だし、そもそも彼女に指輪は無かった。


 他の警官に事情を聞いてみた所、一旦彼女も人質の1人として銀行の外に避難させたのであったがさっきここに戻って来て今の状況になっていたらしい。

「まぁ、気持ちは痛い程分かるがな。でも何でわざわざ……?」

 そんなに大切な人間であればわざわざ来る事も出来るが、だとしたら彼女の右手の中に一瞬だけ見えたあの光り輝く物は一体何だったのであろうか?

(…………気になるな)

 何だかその事が頭に引っかかってしょうが無いニコラス。これは長年培って来た自分の刑事としての勘でもあったので、その勘を頼りにニコラスは女の元へと向かう事にしたのであったが、この後に衝撃的な展開が彼を待ち受けていた。

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