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26.目覚めた場所

 髪の色よりも若干薄い、黒のロングコートに赤い革手袋をはめているその男の横には、まるで中世の貴族が着てそうなピンク色の上着に赤いブーツを履いて白い手袋をはめている金髪の男の姿があった。

 金髪の男の方は全く知らないが、椅子に座っている黒髪の男の方にはやっぱり何処かで見覚えがある。

「あんた、何処かで見た様な気がするんだが……」

 訝しげにそう問い掛ける俺だが、その瞬間金髪の男から鋭い声が飛んだ。

「気安くルーガウス様に話しかけるんじゃない!!」

「ルーガウスって……まさかあんた、グランバート・インダストリーの社長じゃないのか?」


 金髪の男を全力でスルーしながら俺が訪ねてみると、黒髪の男はニヤリと笑いつつ納得した様に頷いた。

「ほう、俺の事を知っているのか?」

「知ってるも何も、裏の世界にちょっとでも関わった事がある人間だったら絶対知ってる位の超有名企業じゃん。表向きは下町の小さな町工場って事になってるけど、本当の姿は万引きから世界各地のテロまで、それこそあらゆる犯罪の企画、進行サポート、そして実行や後始末までやってる超凶悪な集団だって聞いた事があるぜ」

 俺がこの世界に飛び込んだ時に、身体を売る為に経験を積んでいた店の店長から聞いた話がこうだった。


 俺がそう指摘すると、男はまた納得した表情で頷いた。

「成る程、そこまで知られてるんだったら後は俺達の自己紹介だけで良いな。でも殆ど御前は俺達の事を知っているみたいだから、知らない奴だけ紹介するとしよう。俺は御前の言う通り、グランバート・インダストリーの社長であるルーガウス・グランバートだ。それからこの金髪男は俺の身の回りのサポートをしてくれているピエール。そしてそっちに居る、顔に傷のある奴が腕利きの傭兵のアリオスだ」

 俺と面識の無かった二人と、俺を襲撃して来たAE111のドライバーの紹介を終えたルーガウスだが、俺はそれよりもやって欲しい事があった。


「それはそうとして、俺のこの状況はどうにかならないか?」

 俺は今、まるでミノムシの様にロープでグルグル巻きにされた状態で天井からぶら下げられていた。

 かなり息苦しさを覚えるのでダメ元で解いて貰えないか頼んでみるが、ダメなものはやっぱりダメらしい。

「うるせえな、大人しくそこで縛られてろよっ!!」

「げへえっ!!」

 ミノムシ状態の俺を容赦無く殴りつけるアリオスは、苦しむ俺の姿を見て嘲り笑う。

「ははっ、こりゃパンチの練習には丁度良いぜ! サンドバッグ……いや、肉だからミートバッグかぁ!?」

「ぐほへっ!?」

 筋肉質な体格から繰り出される容赦の無いパンチのラッシュに、俺は意識がぶっ飛びそうになりそうになるのを懸命に堪える。


 だが、それをアリオスの後ろから近付いて来たピエールが止めた。

「それ位にしておけ。ルーガウス様がお話し出来ないだろう?」

「ちっ……分かったよ」

 渋々と言った様子でアリオスが下がり、代わりにピエールが俺を見上げる。

「さて、これからルーガウス様がお話しになられる。貴様をどうするかはルーガウス様次第だからな。心してあの方のお話を聞く様に」

 ピエールはそれだけ言って、椅子から立ち上がって俺に近付いて来たルーガウスの横に控えてこれからの俺達の会話を見守る体勢を取った。


「さて、御前が狙われていた理由ワケを知りたいって話だが……理由は実にシンプルだ。御前の親は俺の会社から多額の横領をしていてな。それで俺が事故に見せ掛けて殺してやったのさ」

「なっ……」

 俺が聞いた限りでは、親父もお袋も海を見に行く旅行ツアーの途中で船が転覆し、それで溺死したって話だった。

 それが……本当は横領していたのがバレて俺達が殺しただって?

 いきなりの展開で声も出せない俺に対し、ルーガウスはまるで歌う様にスムーズな口調で話を続ける。

「だが、そいつ等の息子がまさかその時に運良く生き延びていたなんてな。御前も一緒に家族の元に送ってやろうかと思っていたが、その時雇っていた傭兵がヘマをして警察にパクられ、結果的に御前を逃がしてしまったんだ。それがまさか学校を辞めて俺達と同じ裏の世界に飛び込んで来るとはな。俺達もその展開までは予想していなかったもんで、今までずっと捜し回っていたんだ……だからここでようやく仕留められるってもんだ!!」


 そう言いつつ、俺の懐にさっきのアリオスのよりも強いボディブローが叩き込まれる。

「げへぇ!?」

「俺の会社から持ち出された金はザッと見積もっても十億以上……その分の金は身体では一生掛かっても払い切れないだろうから、テメーの親と同じ様に多額の保険金を掛けてぶっ殺してやるからなあっ!!」

「げは、ぐほ、うぐっ!!」

「危うくこいつ等の失態でこいつ等の裏切りが御前にバレちまう所だったが……それも今となっちゃ笑い話にしか過ぎないからな」

「はぐぅ……う、裏切りがバレる?」

 ルーガウスに殴られつつも妙にその話が気になった俺は、何とか声を絞り出して聞いてみる。

 すると、それによって俺の心に引っ掛かっていた「何か」の正体が分かる事になった。

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