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21.再会

「くっ、君は早く逃げろ!!」

「で、でも……」

「良いから早く行け。東京タワーの下で合流しよう!!」

 そう言いながら俺のヴィッツを見送るエルトルは、昼間でも人気の無い下道をいきなり塞いで来た三台の車に向けてP90マシンガンを発砲していた。

 何がどうしてこうなったのか分からないまま、俺はヴィッツを走らせて茨城から東京方面に向かって戻り始めた。

 俺がエルトルの後ろについて彼の案内場所に向かって走っていたのだが、エルトルの目の前に青いAE111、黄色いプジョー206、灰色のベンツS55が現れたのだ。


 そしてその三台の車と同時に、大阪で見掛けたのと同じ黒いハイエースが一台現れてその中から武装した男女が銃を乱射して来たんだ。

 それに対してエルトルはE320ワゴンの中からP90マシンガンを取り出し、まるでアクション映画の銃撃戦の様な光景がそのままリアルに始まったのである。

 これじゃ紛争をやっている国と何も変わらないじゃねえかと毒づきながら、エルトルに促された俺はヴィッツでその場を素早く離れる事にした。


 しかし、そんな俺のヴィッツのバックミラーに映る三台の車……さっきの道を塞いで来た青いAE111、黄色いプジョー206、灰色のベンツS55だった。

 三台とも見覚えのある車……と言う事は、乗っているドライバーもまさかあの三人なのか?

 そう思っている俺の横に並んで来たAE111の窓が開き、中から現れたその顔は……。

「てめぇ、止まりやがれっ!」

(……だ、誰だ!?)

 AE111自体には見覚えがあったものの、中から見えたのは暗い金髪の筋肉質の男。

 俺にはそんな顔見知りは居ないので、残るは後ろにつけているS55と206のドライバーである。


 俺はブレーキを踏んでAE111を先に行かせ、わざと206の横につける。

 すると206の窓が開き、中からドライバーが顔を出した。

「よぉー、また会ったな。今度こそ殺してやるから覚悟しろっ!」

(げっ、やっぱり!)

 ヤビツ峠で金の支払いを渋った挙句、ナイフで俺を殺そうとしたのは絶対に忘れない客の一人のザルスである。

 何で奴がここに居るのだろうと頭の中がパニック状態になる俺のヴィッツの逆隣りに、今度はS55が並んで来て窓が開く。

「怪我の具合はどうかな?」

「え、エイアルさん!?」

「まぁ、これから私が治療した以上の怪我を負って貰う事になるがなっ!」


 そう言いつつ、港区で整形外科を開いているエイアルはS55を思いっ切り俺の左側面にぶつけて来た。

「うわっ!?」

 どでかいボディに体当たりされた俺のヴィッツはふらつくが、反対側から今度はザルスの206が体当たりして来る。

「ぐほっ!?」

「このまま事故に見せ掛けて殺してやるよ! 御前はここで事故死する運命だ!」

 殺害予告をするザルスに気を取られていた俺の目の前で、前に出したAE111が急ブレーキを掛けて来た。

「うおうおうおっ!?」

 咄嗟にフットブレーキとサイドブレーキで減速したものの、止まり切れずにAE111のリアバンパーにゴツンとぶつかってしまった。


 このままではマジでこの三台に殺されてしまうので、俺はブレーキで更に減速してギアをバックに入れ、ついさっき通り過ぎた脇道に向けてUターン。

 当然後ろからはその三台が追って来るが、俺は何としても逃げ切らなければならない。

(くっそ、サーキット走行で疲れてるってーのに何て日だよ、今日は!)

 嘆いても現実は変わらない。

 とにかくここは逃げ切るのが先決だと言う気持ちで頭が一杯になりながら、俺はアクセルを床まで踏み込んで加速し始める。

(こうなりゃこのまま東京に向かおう。だけどガソリンを何処かで給油して……くそ、パニックだぜ!)


 脇道に入った俺はバックミラーで後ろを確認しつつ、それでいて前も確認しつつの状態なのでかなり忙しい。

 パワーのあるエイアルのS55が先頭で、そこにザルスの206が続く。

 先頭を走っていたAE111はUターンに時間が掛かったのか、バックミラーでは姿が確認出来ない。

 それでも気を抜く事無く、俺は住宅街の細い道を駆け抜ける。

(エルトルって奴は大丈夫なのか?)

 確か東京タワーの下で会おうって言ってたから、東京に着くまでに何とかこの三台を振り切らなければならないのだ。

(俺はアクション映画の主人公じゃねえんだぞ!!)


 そう毒づく俺の後ろから一気にエイアルのS55が迫って来て、またバンパープッシュをかまして来る。

 やっぱりパワーの差は大きいのだが、それ以上に台数差があるので一度挟み撃ちになってしまうとそれだけで俺は身動きが取れなくなってしまう。

 だからこそそれを避けるべく、俺は住宅街の狭い道を右に左に駆け抜けつつ大通りを目指す。

(大通りに出ちまえば何とかなるかも知れねえな!)

 狭い道だけあって少しずつ引き離しているものの、それでも後ろの三台はしぶとく食らいついて来る。

 AE111は殆ど振り切った状態だが、206とS55はまだバックミラーに映っている。

 何処かに隠れられそうな場所さえあれば、それだけで格段に逃げ切れる確率がアップするんだけど……と思っていたその矢先、更に逃げやすそうな場所を見つけた。

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