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18.安全な場所って?

 ボスに一方的にそう言われて通話を終了された傭兵集団は、自分達の邪魔をして来た謎の人間に対して憎しみしか湧かなかった。

「まずいな、このままだと俺もフレイザーも……いや、バイパー・チームごと消し去られてもおかしくないぞ」

「あの野郎、俺達をコケにしやがって……絶対に見つけ出してぶっ殺してやんぜ!!」

 日本国内だけでなく海外でも活動するこのバイパー・チームは、かつて中東の小国相手にたった二十人で大立ち回りを繰り広げ、国の中枢機関を壊滅させた伝説の傭兵集団として名を残している。

 そんな自分達から何度もこうして逃げおおせたあのカイザムとか言う男もそうだが、それ以上にその男の手助けをしているであろう人間が居るのが分かった以上は全員纏めて始末する予定だ。


 たった一人殺すのにここまでしなくても良いんじゃないかと思ったのだが、こうなってしまってはバイパー・チームの総力を挙げてカイザムを殺すしか無いと決意するフレイザーとリーキー。

「とにかく、俺は車が直ったらすぐ東京方面に向かうから御前等は先に行っててくれ」

「それは良いが、御前のアルファは結構直るのに時間が掛かるかも知れないって支部の人間から連絡が無かったか?」

「それは確かにそうなんだけどよ、やっぱ自分の車じゃねえと落ち着かねえって言うかさあ……分かんねーかなぁ、この気持ち」

「まるで分からんな」

 フレイザーはそれなりに車に興味があるのだが、リーキーは資産家の息子と言う裕福な家庭に生まれ育った為に車に対する興味が全くと言って良い程に無く、自分が今乗っているディアブロだって親が乗らずにガレージで眠ったままだった物を譲り受けただけに過ぎないのだ。


 その気持ちが分からないリーキーには、フレイザーの言っている事に全く理解が無い上で提案をする。

「そうは言われてもな、俺としてはやはり一緒に来て欲しい。アルファは後で東京に届けて貰えば良いだろう。色々と人員も必要だし、あの逃げたカイザムと言う男の場所はすぐに掴めるんだから、すぐに追うぞ」

 有無を言わさない口調でフレイザーを説き伏せた(?)リーキーは、自分のディアブロの助手席にフレイザーを乗せて東京方面へと向かう。

 その後ろにはバイパー・チームのハイエースが五台続き、有事の際にはすぐに動ける様になっている。


 そして高速道路へと入ったディアブロの助手席で、手に持ったスマートフォンの画面を見ながらフレイザーがほくそ笑んだ。

「間違いねえぜリーキー、奴はしっかり東京方面に向かってる」

「そうか、だったらアリオス達に連絡を入れておいてくれ。早めに向こうで待ち伏せて貰えばこちらも無駄に動かなくて済むからな」

「へっ……了解!!」

 そう言いつつフレイザーがスマートフォンで何処かに連絡を取り始めるのを横目で見ながら、リーキーは運転に集中する。

(何故あのカイザムと一緒に居るのかは分からんが、俺達の邪魔をする人間なら多分あの連中だろうな。……まあ良い、どちらにしろ邪魔をする者は全て消す。それだけの事だ!!)



 ◇



 大阪市を出発して、高速道路をひた走ること実に九時間。こんなにも長い時間が掛かったのには訳がある。

「おいおい……ここがあんたの言う安全な場所だって言うのか?」

「そうだ。裏をかくと言っただろう?」

 すっかり夜になってしまった空の下に居る俺とエイアルの前には「筑波サーキット」の文字が見えていた。

 そう、俺は東京に戻る筈だったのが茨城県までやって来たのである。


 どうしてここが裏をかける場所なのだろうかと考えつつ、俺はその答えをエイアルに聞いてみる。

「今みてーな時間ならまだしも、平日の日中でもなかなか人の多いこんな場所で大丈夫なのかよ?」

 若干不安そうに尋ねる俺に対し、エイアルは不敵な笑みを浮かべて答え始める。

「そこがポイントなんだ。普通、身を隠すとなれば人気の無い場所を選ぶだろう。それが当たり前の考えだが、それを逆手に取ってイベントの中に紛れ込むんだよ。こうした賑やかな場所では自分以外の人間の事なんてなかなか気にしないもんだ。増してや走行会ならギャラリーでも無い限り自分や自分の知り合いの人間以外の人の事なんて気にしないからな」

「え……そこまで詳しいってなると……あんた、サーキットには良く来るのか?」


 妙に詳しいなーと思った事から出た疑問だが、エイアルは態度を変えずに答える。

「たまにな。仕事の都合で余り来られないんだが、私はサーキットでは良く走るんだ。君もそれなりに来るのか?」

「あ、いや……俺はそう言うのは興味無いんだ。仕事柄変なのに追い掛け回される事が結構あるからさ、今乗っているこのヴィッツを俺に売ってくれたり、後ろのバンパーを直してくれたカーショップ兼整備工場の社長から運転を教わってた位で、後は特に何もやってねえよ」

 俺がそう答えると、エルトルは月明かりの下で手を後ろに組んで頷いた。

「そうか。だったら日が昇ったら一度このコースを私と走ってみないか?」

「へっ?」

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