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30(最終話)

「ああもうこの際だから全て話すわ。実は御前達ヴェハールシティポリスが動いているって話なんてとっくに筒抜けなの。だったらそれを逆手に取ってやろうと思ってな」

「な……にぃ!?」

 驚愕の事実を受け止め切れないニコラスにユルはまだ続ける。

「俺達の行方をあんた等はこうして追い掛けて来た。で、あのタワービルに残したメモから色々とあって、最終的に俺達の部下になったあのフランス女を尾行してここに来たんだろうけど、残念でした。それも全て計算済みだ。あんた達警察を誘き出して全員始末する為の作戦だったんだよ」

 やはりこの連中とティアナは繋がっていた様だ。

「御前達が軍を除隊させられたのも、この一連の事件と何か関係があるのか?」


 マドックの質問にユルは頷く。

「ああそうだ。俺達みたいな若い開発者を簡単にクビにする様な奴等が許せなくてよ。だからこのヴェハールシティの警察に新装備が納品されるって聞いて、こうなりゃ街ごと滅茶苦茶にしてやろうと思ったんだ」

「御前達の持ってたスイッチ……俺達のアーマーに細工をしたんだろうが、あれは一体何だ?」

 ニコラスの質問には鼻で1度笑ってから答えるユル。

「あれか? あれも復讐の一種さ。あんた等のアーマーが使い物にならなくなれば、それだけでギルドの連中の信用はがた落ち。そして俺達の計画はまだ終わっちゃいないから、それがやりやすくなるんだよ」

「野郎……っ、計画とは何だ、おい!?」

 今にもユルをぶん殴りそうな勢いでニコラスが尋ねると、ユルは力が殆ど出せない右手でホールの一角を指差した。

「そこのドアに、地下に続く階段があるからそこに行ってみれば? もう手遅れだ……ろうけど……なっ……!!」


 そのままユルは気を失ってしまった。

 死んだ訳では無く、一時的なショックで気を失っただけだと判断したマドックは手錠で近くの柱にユルの身柄を拘束し、上でまだ戦っているSWATの人間にユルの身柄も任せる様に連絡を入れてから扉へと歩き出す。

「良し、なら行くぞ!!」

「気をつけろ。何があるか分からないからな」

 2人はその階段を下りて進んで行く。

 SWAT達のバックアップはまだ上で戦いを繰り広げている為に期待出来ないので、2人だけで進むしか無さそうであった。

「意外としっかりした造りなんだな」


 そうニコラスが呟きながらフラットな地下2階位の通路を奥へと進んで行くと、最深部の部屋の中に1つの人影が見えた。

 そしてその後ろには、地上に向けて発射準備が終了している大型の核ミサイルが全部で6基鎮座している。

「……!」

「誰か居るぞ!」

 一体何をしているんだ? と考えつつ警戒しながら人影へと近付いて行くギルドの2人だが、次の瞬間人影は何とバック宙をしつつ、その右手に握ったH&KのHK45を上下逆さまの状態から2人に向けて撃って来る。

「っ!!」

 御世辞にも上手いとは言いがたい射撃だったが、それでもギルド2人の動揺を誘うには十分だった様でニコラスとマドックは横っ飛びでその銃弾を回避。


 その間に何ともアクロバティックな動きで男は立ち上がる。見た所ブレイクダンサーの様な動きだ。

 だが、その立ち上がった男の素顔にニコラスとマドックは驚愕する。

「お、御前は……ガイレルッ!?」

「ギルドのニコラスとマドックか」

 何故スラムの情報屋の彼がここに? と動揺と疑問が隠せない2人の刑事。

 その疑問を感じ取ったのか、自分からガイレルは自分がここに居る理由を話し出した。

「情報屋と言う者は、自分の利益になる為なら味方にもなるし敵に加担する事もあると言うのは御前達も知っているだろう?」

 その1つの問い掛けで、ニコラスとマドックの中で線が繋がった。


「そうか、御前もこいつ等の仲間だったんだな」

 ニコラスの確認にガイレルは迷い無く頷いた。

「ああ。そもそもあのユルとシュテファンとは幼馴染でね。御前達が色々嗅ぎ回っているから邪魔してくれって言われたんだ」

 ガイレルはぶっきらぼうな上に寡黙な性格で殆ど喋らないが、それでも次のセリフはギルドの2人を戦慄させるのには十分過ぎる破壊力だった。

「これを今からヴェハールシティの市街地に向かって撃てば、幼馴染のあいつ等の復讐は達成するんだ」

「させるかっ!!」

 ニコラスがガイレルに向かって銃弾を放つが、その銃弾を転がって回避したガイレルはこれもまた地下に運び込まれていたハーレー製の大型バイクである、V-RodのVRSCFを起動させる。


 そうしてVRSCFにまたがって、縦横無尽に地下の部屋を駆け回りながらギルド目掛けて銃弾を放って来る。

 命中率はそれほど高くない様だが、薄暗くて見えにくい上に荒れた路面の地下の状況を物ともしないライディングテクニックは凄い。

 しかも銃を撃って来るだけでは無く、バイクでそのまま2人を轢き殺そうとして来るのだから厄介だ。

「くっ!!」

 闇雲に動き回っていたら向こうの思う壺だとマドックが悟り、ここは集中してワンチャンスに賭ける。

(狙うのはあいつじゃない!!)


 バイクと男が近付いて来る所を見計らい、マドックは思い切って地を蹴った。

 その横っ飛びの状態で狙ったのはガイレルでは無くバイクのタイヤ。

「っあ!?」

 バイクの後輪がパンクして大きく挙動を乱した所で、ニコラスが男に向かって正確な射撃で終わらせる。

(ダラダラ付き合っちゃ居られねぇ!!)

 核ミサイル発射を止めなければいけないので、この男ばかりに構っている時間は無かった。

「ニコラス、システム停止ボタンだ!!」

「おう!」


 だが、どうやら話はこれで終わらなかった様だ。

 システムの制御装置が設置されている場所に向かって走り出す2人の後ろで、ガイレルが銃撃された痛みに耐えながらも立ち上がりつつ刑事達に銃口を向ける。

 そして銃声が地下室に1発響き渡ったのだが、それはガイレルのHK45からのもので無ければギルドの刑事達のものでも無かった。

「っ!?」

「何だ!?」

 マドックとニコラスが同時にガイレルの方を振り向くと、そこには崩れ落ちるガイレルの後ろから1つの新たな人影が現れる瞬間だった。

「全く……最後まで油断は禁物よ?」

「お、御前は……!?」


 ガイレルを仕留めたのは、あの尾行以降行方が分からなくなっていたフランスの刑事であるティアナ・クリューガーだった。

「こ、この男達と手を組んでいた訳じゃ無いのか?」

 銃口を下げて自分達に攻撃して来る素振りを見せないティアナに対して、マドックがそう尋ねる。

「表向きはそう言う事になっているけどね。これもフランス警察からの命令でまたこうしてアメリカまでやって来たのよ」

 妙な事を言い出したティアナに、ニコラスはもしかして……と1つの結論が浮かぶ。

「まさか、囮捜査をしていたのか?」

 ティアナはさっきのガイレルと同じく、ニコラスの確認に迷い無く頷いた。

「情報屋のこの男が最近ヨーロッパで妙な動きをしていたって言う情報があって、そしてヴェハールシティに行くって言う情報もキャッチしてね。だったらヴェハールシティに行った事がある私が適任だって事で囮捜査に回されたの」

 何処かうんざりした口調でそう言うティアナだが、それならそれで事件は解決だ。


 その後、このショッピングモールを本拠地にしていた犯罪組織は一掃された。

「核ミサイルが市街地の下にあって、埋め立てられた壁の奥にミサイルがある」と言う情報もガイレルの偽の情報だったらしく、本当の核ミサイルの格納庫はこの巨大ショッピングモールの地下にある事を最初にガイレルが突き止めた。

 丁度このショッピングモールが廃墟となったのと、ガイレルの幼馴染2人が軍を除隊されたのを切っ掛けにしてヴェハールシティへの復讐話を持ち掛けたのも実はガイレルであり、爆薬も核ミサイルの情報からヴェハールシティの刑事達がいずれはそっちを捜索するだろうと思ってのカモフラージュだったと言う。

 ガイレルは偽の情報を流すその見返りに、幼馴染達から多額の報酬をヨーロッパにある自分の隠し口座に振り込んで貰って、ヨーロッパに高飛びする計画だったと言うのを拘束したユルの口から全て刑事達は聞かされた。


 とにかく色々な出来事が複雑に絡み合ってこのヴェハールシティへの核ミサイル発射は未然に防がれた結果となったが、それ以上にビックリする出来事がこの事件の2ヵ月後に起こった。

「まさか御前とティアナが結婚するとはな」

「ああ、俺も今も夢みたいだ」

 何とティアナが「もうこき使われるのはこりごり」とパリの刑事を辞め、ヴェハールシティに移住。

 そのままヴェハールシティで販売員の仕事を見つけて就職し、マドックにシティの事を色々と教えて貰ったりしている内に段々お互いの間に恋愛感情が芽生えたらしく、気がつけば同棲生活をする様になったのだとか。

 そして最終的にはこの核ミサイル事件から僅か2ヶ月、と言うスピード結婚を果たしたのである。


 新たな夫婦が誕生したが、これからもまだまだギルドの戦いは続く。

 ヴェハールシティと言う大都市で犯罪が起こり続ける限り、彼等ギルドを始めとするヴェハールシティ警察の戦いも終わる事は無いのだから。


 Future World Battle final stage 完

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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