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 マドックがM2クーペを見かけている丁度その頃、ニコラスはガイレルから情報を買い終わって店の外に出た所だった。

(まさか……ティアナがここに来ていたなんてな)

 この店に自分と同じ情報を求めてやって来たと言う女の容姿を聞いてみると間違い無くティアナだった。

 英語を喋ってはいるものの、例えば「I see.」を「アイ・スィー」と発音するのでは無く「アイ・シー」とはっきり発音する所にフランス訛りが感じ取れたとはガイレルの証言である。

 フランス鈍りの英語を話し、容姿の情報もティアナと完璧に一致していると言う事は彼女がここに来て間違い無いと思ったニコラスは、彼女が自分と同じ情報を求めてやって来た事に驚きと疑問を隠せない。

 そして、そのティアナは今はマドックに尾行されている筈なので彼女が何処に向かったのかが気になる。


 何かマドックから連絡は入っていないだろうかと自分の端末を見てみると、そこにはメッセージの受信を知らせるホログラムが小さく浮かび上がっていた。

(あれ、マドックから連絡が入っている……)

 ティアナの話を聞いていたが故に、このメッセージに気が付くのが遅れてしまった。

 とりあえず早めに返信しておかないとな、と思いつつニコラスはマドックから送られて来たそのメッセージを見てみたが、そこには驚愕の内容が書かれている。

「……な、んだとぉ……っ!?」

 マドックが尾行していたティアナの行き先、それからそこで大勢の人間が集まって何かを仕出かそうとしている状況を見ている事。

 そして、あの駐車場でのボディアーマーへの出来事の時に取り逃がしてしまった2人がそのショッピングモール跡地の廃墟に入って行くのが見えたと言う所まででメッセージは終わっていた。

「くそっ……!!」

 ニコラスはホログラムを収納し、マスタングを停めている場所まで全速力で駆け出した。

 こんな事ならば多少無理してでもこの店の前まで乗り付けておくべきだった、と後悔しても今更遅い。

 とにかく今は一刻も早く、郊外のショッピングモールで張り込みをしているマドックの元へと急ぐべきだろうとニコラスはスラム街を全速力で走り抜けて行った。


 そんなニコラスの走り出す様子を店の中から窓越しに訝しげに見ていたガイレルは、ニコラスの姿が見えなくなってから何処かへ電話を掛け始める。

「……ああ、俺だ」

 その電話はこれからの自分にとって必要な会話の内容だったので、電話の相手に対して色々な事を伝えるガイレル。

 情報屋である自分は、利益があると見込めるならば警察にだってギャングにだって幾らでも敵にだってなるし味方にだってなる存在なのだから。

 そう思いつつ電話を終えたガイレルは、今日は早めに閉店するべく「CLOSED」の札をドアの外へと掛けてから店の中の閉店準備を始めた。


 ガイレルが電話をしている事等知らないニコラスはスラム街を一気に駆け抜け、ようやくマスタングパトカーを停めている場所まで辿り着いて一息つく。

 しかしゆっくりと息を整えている暇は無い。

 あのメッセージが本当だとすれば、マドックがショッピングセンターにあのまま乗り込むのは危険だとニコラスは思ってしまう。

 だけどそこはマドックは既に分かっているらしく、シティ内の警察部隊……特にSWATを出来るだけショッピングセンターの跡地に集結させる様に既に要請してあるとの事だったので、後は相棒である自分が現場に向かうだけだとニコラスは悟った。

(冷静なあいつらしいや。だが、あの若い男2人が居るとなれば何を企んでいるのかが気になるぜ!)


 その若い男2人の情報をニコラスは情報屋のガイレルから買って手に入れていた。

 何故男2人の事が分かっているのかと言うと、ボディアーマーの情報を聞く内に若い男2人の情報も一緒に手に入ったからである。

 マスタングのサイレンを鳴らしてヴェハールシティの郊外へと向かう途中で、ニコラスはガイレルから手に入れて端末に記録してある情報をマドックの端末にも送信して、尚且つ自分の頭の中でもう1度整理し始めた。

(あの男2人はそれぞれ……黒髪の奴がシュテファンと言う男で銀髪の奴がユルと言う男だったな。2人は元々軍の技術開発部に所属していて、若き開発者として期待されていた人間だった。しかし若い故に上層部と対立する事もしばしばあり、その事が切っ掛けで軍を除隊される事になった……か)


 そしてその先の情報こそが、ニコラスが探し求めていた今回の数々の事件の点と点をそれぞれ1本の線で繋げるものだった。

(その軍から除隊された時に、若いと言う理由プラス上層部と衝突する様な問題を起こした事もあって退職金も微々たる物だったらしい。……その除隊される前に最後に開発に関わったプロジェクトが、俺達ギルドへの納入品として共同開発していたあのボディアーマーだったと言う訳か)

 せめてものお情けで、ヴェハールシティポリスにそのボディアーマーを納品するまでは軍への在籍が認められていたシュテファンとユル。

 だがそれは「そのアーマーの納品が終わり次第2人は軍から除隊して貰う」とのお達しでもあった。

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