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「……何だ、あんたか」

 相変わらずのぶっきらぼうな対応。

 ガイレル・セヴァドール・アーディソンというフルネームを持っている、この金色の短髪を持った情報屋の若い男は何時もこんな調子なので、彼よりも若干ブロンド寄りの金髪を持っているニコラスも対して気にしていない。

「ああ。情報を買いに来たんだがな。丁度客も居ないし早速本題に入らせて貰いてえんだけど?」

 何時もの調子で話し掛けるニコラスだが、今日はタイミングが悪い時だったらしい。

「待て。見て分かる通り俺は自分の昼飯を作ってるんだ。情報なら後で幾らでも欲しい物があれば売ってやるから、まずは俺がメシを作り終えるまで待っていろ」

「ああ、分かった」


 時間帯を考えると随分と遅めの昼飯だな……とニコラスは考えつつも、店の外観やスラムの薄汚さに負けない位に薄汚いカウンターの椅子に腰を下ろした。

 ジュージューと何かをフライパンで焼いているらしく、具材と油と調味料が焼ける匂いがニコラスの鼻をくすぐる。

 とは言ってもニコラスはマドックと一緒にファーストフード店でハンバーガーを買い、既に昼食を済ませて来たので特に腹も減っていない。

「……少し作り過ぎたな。おごるから食え」

「え?」

「金は要らない。食材は余らせると困るから食え」

「あ、ああ……」

 と、ここに来るまでの流れを少し思い返していたら目の前に肉野菜炒めの乗っている皿とフォークが置かれた。


 別にそこまで腹は減っていないのだが、せっかく出されたんだしここはその好意に甘えて頂こうと思いつつニコラスはフォークを手に取った。

「それじゃ貰うぜ」

「ああ。それで……何が欲しいんだ、今回は?」

 自分の分の肉野菜炒めを口にフォークで運びつつそう尋ねるガイレルに対し、最初の一口目を口に運ぼうとしていたニコラスの手が止まる。

「情報に関してなんだがな、俺達ヴェハールシティ警察で新規の部署が出来たと言う話は知っているか?」

 その質問に口の中の物を飲み込んだガイレルは、少し考え込む素振りを見せた後「ああ……」と頷いた。

「確かギルド、とか言う特殊部隊だったな。確かまだ出来て1年……いや、半年経ったか経ってないか位だろう?」


 その回答にニコラスは頷いた。

「流石にその辺りの情報は仕入れているみてえだな。では次の質問だが、そのギルドのメンバーは誰だか分かるか?」

 今度はガイレルの口元が少しだけムッとしたものになる。

「余りバカにしないでくれ。1人はマドックと言うほぼ黒に近い茶髪の男だろう。そしてもう1人は他ならぬ目の前に居るあんただよ、ニコラス・イースデイル刑事」

 やはりその辺りは情報屋だし、半年も経っていない……と言うよりは「既に半年近く経っている」からこそギルドの活躍が一般市民にもそしてスラムの連中を始めとする悪党連中にも届いているのは当たり前かとニコラスは再認識した。

「それじゃ話が早いな。俺はそのギルドで働いているんだけどよ、情報屋ならアメリカ軍にもパイプがあるだろう?」

「……まぁ、それなりには」


 軍に全くパイプが無い訳では無いのがこのガイレルと言う情報屋。

 だからこそこうしてここまで、あのボディアーマーの話を聞きに来たニコラスはさっさとその情報を買う事にする。

「で、だ。そのアメリカ軍にパイプがあるガイレルさんに、俺達が使っているボディアーマーの話についてちょーっと聞きてえ事があるんだわ」

「アーマー?」

「ああ。そのアーマーの開発にはアメリカ軍の連中が関わっているらしいんだけど、その開発に関わった連中で何か警察に対して敵対している様な奴等が居たりしないか?」

 これはニコラスでは無くマドックの予想でしか無いのだが、あの駐車場で警察間に銃を向けられても勝ち誇ったかの様な態度を崩さなかったあの2人の若い男。

 その態度、それからあのリモコンの事を思い出したマドックが「あのアーマーが開発されている段階なら、そうした痺れ効果が現れる仕掛けをセットするのは幾らでも可能じゃないか?」とニコラスにマスタングパトカーの中で自分の考えを話していた。


 その話を聞いて、何かボディアーマーの開発関係の人間について知っている事があるなら情報を買う、と言う約束をこうしてスラムまでニコラスは取り付けに来たのである。

「……開発関係者か……」

 その逃げた若い男2人とさほど年齢は変わらない位に若いのがこのガイレルと言う男であるが、人生で修羅場を潜って来た経験からするとニコラスとマドックよりも多いかも知れない。

 しかし、その情報を求めてやって来たニコラスにガイレルから衝撃的な一言がこの後告げられる。

「まさか、2回も同じ情報を買いに来る奴が居るとは思わなかった」

「……ん? 2回?」

 今日は自分がここに来たのは初めてだし、ボディアーマーの情報要求だって今の話が初めてだ。

「ああ。あんたが来る2時間位前だったかな。ショートカットの若い女が同じ情報を求めて俺の所まで来たんだ。若いけど何だか落ち着いている女だった」

「何だって!?」

 ニコラスがガタッと立ち上がり、その衝撃で肉野菜炒めのフォークが床へと金属音を立てて落ちた。

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