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 ニコラスとマドックは、まずあのボディアーマーの説明をもう1度聞きに行く為にボディアーマーの開発部署を訪れた。

 マドックも自分の記憶の中に残っている情報だけでは不安なので、ニコラスと一緒に説明をもう1度聞きに行く事で確実な情報を手に入れる事を望んだ結果が開発部へと足を進ませる結果に繋がった。

 そして、そこでヒントとなる情報を開発部の人間へのヒアリングから入手する。

「あのボディアーマーは、現在のアメリカ軍も使っている最先端のテクノロジーを駆使して制作されたって言う物なんだな」

「……アメリカ軍か……」

 開発部の人間からその情報を聞いたニコラスとマドックは、第5分署の6階部分の屋上の手すりにもたれ掛かって真昼間の喧騒を眼下に見下ろしつつ考え込む。


 ボディアーマーの開発にはアメリカ軍の人間が多数関わっている……と言うよりも、そのアメリカ軍とヴェハールシティポリスの共同開発と言った方が正しいと言う。

 当たり前の話になるが、シティポリスよりは明らかに軍の方が規模は大きい。

 このヴェハールシティの郊外にも軍事基地は存在しているが、それは明くまでこのヴェハールシティの郊外が軍事基地の建設に使われてそこの軍の一部が駐留しているだけの話。

 アメリカ軍全体の規模から見てみれば、ヴェハールシティポリスなんて足元にも及ばない位の規模の人員や兵器を有しているのは間違い無い。

 アーマーのテクノロジーは、そんなアメリカ軍の最新テクノロジーを惜しげも無く注ぎ込んで開発されたまさにギルドの人間専用の特殊装備である事に間違いは無いのだ。


 そこまで考えたニコラスとマドックは、もしかしたら……と言う考えが浮かんで来る。

「なぁ、もしかしたらさ……」

「俺、思ったんだが……」

 2人の声がシンクロしてしまい、2人は一瞬キョトンとなった後に沈黙が訪れる。

「じゃ、じゃあ御前から話せよマドック」

「いや、ニコラスが先で良い」

「……分かった。俺の考えは、アメリカ軍の連中が関与しているかも知れないって事だ」

「俺も同じだ」

 自分達ギルド以外の警察関係者は、このギルドのロッカールームに入れる可能性はかなり低い。

 もし自分達よりも上層部の人間だったら幾らでも理由をつけて入る事も出来るだろうが、その辺りの捜査はまた後回し。

 今の時点で可能性が高いのは、アメリカ軍関係者の存在が考えられると言う事なのだ。


「とは言うものの……どうやって調べる?」

「んん……俺達が派手に動き回ればまたそれもそれで問題だな」

 ギルドのボディアーマーはあの出来事があってから、原因が解明されるまで開発部から使用禁止を言い渡されている状況だ。

 となればギルドのバッジを胸にぶら下げて、またマドックは青でニコラスは赤の服装の刑事としての活動に戻る事になる。

 またボディアーマーが身に着けられる様になるかどうかは分からない。

 最悪の場合はボディアーマーを一旦アメリカ軍に返却し、再びヴェハールシティポリスと共同でバージョン2とかそう言う物に改良して貰う事になるかも知れない……と開発部の人間が言っていた。


 せっかくギルドの人間として特別な装備を与えられたと言うのに、これでは以前と何も変わらないじゃないかとニコラスもマドックも思うがこう言う問題が起こってしまった以上は如何しようも無い。

 ボディアーマーの問題を解決する為にも、それからあの若い男2人を取り逃がしてしまったと言う事でも2人がここで諦めてしまってはいけないのだ。

 特に、ニコラスは事件解決の為には何でもする執念深い熱血刑事。

 マドックがその熱血刑事のブレーキ役としてコンビを組んだ以上はこれからも支えて行かなければならない。

 コンビはチームワークなのだから。

「それじゃあまずは……情報屋の所にでも行くか」

「情報屋となると……ああ、7番街のガイレルだな」


 情報屋と言うのは、自分に利益をもたらしてくれるのであればそれこそギャングも警察も関係無く情報をもたらしてくれる存在である。

 善か悪か、等と言うのは情報屋には関係無い。

 それなりの対価を支払い、食事や寝床を確保出来るだけの価値があると言うのを情報屋が判断すれば幾らでも味方になってくれるし、そうで無ければ敵にもなりえる存在だ。

 2人が向かうのは、ダウンタウンを抜けて更に薄暗いスラム街へと踏み込んだ場所でひっそりと情報屋を営んでいるガイレルと言う男の店だった。

 表向きは薄汚い料理屋であるが、ガイレルはなかなか色々な場所に顔が利くらしくニコラスもマドックも時折りこの情報屋から情報を買い求めていた。

 今回もその情報屋のガイレルを使わせて貰う事で、自分達が追いかけているあの若い男2人や軍が開発に関わっているボディアーマーの秘密が何なのか分かるかも知れない。

 スラムも一概に侮れない存在であり、確かに警察に敵対している連中が殆どであるし警察を恨んでいる人間も大勢居る。

 しかし1度味方になった人間には、それこそ警察だろうと何だろうと心を開く人間も居るのがスラムであり、自由の国であるアメリカらしいと言えばアメリカらしい場所でもあるのだ。

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