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「だーめだ、さっぱり分かんねーや」

 解読開始から30分でニコラスはギブアップ。

 頭を使うのはただでさえ苦手なのに、意味の分からない文章の羅列で頭の中がオーバーヒートしそうになって来たので止めた。

 頭脳担当のマドックでも解決出来ないのであれば、ニコラスがやっても結局意味は無かったのである。

「ん……しょうがないな。本当は捜査資料を持ち出したくは無いんだが、これをルイーゼに見せてみる事にしよう」

「ああ、そうしてくれ」

 分かる人間が居るのなら、その分かる人間に解読して貰うのが1番手っ取り早い。

 例えそれに手間が掛かろうが、結局解決出来るのであればそれで良いのだ。


 だからそう考えたニコラスは、その日の業務が終了した後に自宅に戻ってルイーゼにそのメモを見せる事にした。

「お帰り、ニコラス」

「ん……ああ。ちょっとルイーゼに頼みたい事があるんだが」

「えっ、あたしに?」

 帰って来てそうそう、この夫は一体自分に何を頼もうと言うのか?

 若干キョトンとするルイーゼの目の前で、ニコラスはズボンのポケットからあのメモを取り出した。

「これなんだけど、何かの暗号になっているかも知れないんだ。だけど俺達で考えてもさっぱり分からなくてさ……」

「暗号って……何それ?」


 そうニコラスに問い掛けながら、ルイーゼはそのニコラスからメモを受け取りつつリビングへ。

 なるべく一緒の時間を作れる様にしたいので、ニコラスは急な出動要請が無い限り、それからルイーゼは急ぎの仕事が無い時は定時で退社をする様にしている。

 アメリカのエリートはかなり夜遅くまで働いているのだが、ニコラスはともかくルイーゼはまだまだ新米の駆け出しデザイナーと言う身分でもある為、ある程度はその辺りの時間の融通を利かせる事が出来る。

 それでもデザイナー故に納期と言うものは割り振られているので、自宅に帰れずに泊まり込みの残業になってしまった事も1度や2度では無いレベルなのだが。


 今はある程度小さな案件続きで忙しかったが、それもようやく片付いたと言うのもあってルイーゼはこうしてニコラスと一緒に居る事が出来ている。

 まさかその一緒に居られる時間で、事件現場で見つけたメモの内容を解読する事になるとは思わなかったけど……と思いつつルイーゼは夕食後に暗号(?)の様なメモをじっくりと見始めた。

「本当にこれって良く分からない文章ばっかりね。何の繋がりも無いし……」

「そうなんだよ。俺はシャワーを浴びるから、それじゃ頼んだぜ」

 ニコラスはそう言い残してシャワールームに向かったので、残されたルイーゼはメモをじっくり眺めてみる。

(うーん、ああでも無いしこうでも無いし……だったらこう? いや、違うわね……)

 文章に規則性がある訳では無い。

 特定の文字だけを抜き出してみて、その文字がある場所だけを繋げてみても訳の分からない図形が出来てしまうだけ。


(でもこれって、事件現場の壁に目立つ様に貼られてたのよねぇ?)

 夕食を食べている時、メモについてニコラスから色々と説明を受けているルイーゼはメモを片手にそんな疑問を頭の中に浮かべる。

 まるで見つけてくださいと言わんばかりのそのメモの発見時の状態に対しても、ルイーゼはこのメモへの疑問がどんどん大きくなる。

(こんな訳の分からないメモ、普通はそんなに目立つ様に放置なんてしないでしょうに……)

 そこまで考えて、ルイーゼの頭にまた新たな疑問が生まれる。

(もしこのメモが「放置されていた」訳じゃなくて「わざと見つけて貰う為に壁に貼り付けた」物だったとしたら……?)

 それだったら、銃弾の飛び交う事件現場にわざわざ目立つ様にしてメモを残して行くのも何と無くだが納得は出来る。


 じゃあ誰が一体何の目的で、こんな不可解なメモをあの場所に貼り付けたのか?

 刑事の彼女から刑事の妻になったルイーゼも、ニコラスに何時の間にか影響されてしまったのかまるで刑事みたいに推理を膨らませていた。

(やっぱりこのメモには何かしらの違和感があるわね。こんな怪しさ満載のメモ、このまま放っておく訳には行かないでしょって……)

 ルイーゼがこう言う謎解きが得意になったのは、補導されて牢屋に入れられていた時にニコラスから「これでも読んで暇潰ししておけ」と渡された雑誌の中にパズルの謎解きのコーナーがあり、本当に暇潰しで解いていた事が最初の切っ掛けだった。


 そこからデザインの勉強で行き詰ってしまった時の気分転換に時々パズルやクイズのスマートフォンのゲームをやったり、推理能力が試される頭脳系のテレビゲームをやったりして、気が付けばそれなりに多くの謎解き系のゲームをクリアしていた。

 難し過ぎて攻略サイトに頼ってしまったと言う事はあったものの、それもまた勉強の1つだと考えてルイーゼはゲームをクリアして行く。

 そんなルイーゼはここでメモのある1つの部分に気が付く。

(そう言えばこのメモ……銃撃戦の現場にあったメモって言う割には、やけに文章の先頭が整っているわね?)

 まるで、前々から整えてしっかりと書いてあったかの様に。

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