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(駄目だ、分からん。ニコラスが明日出勤して来たら一緒に考えて貰うか。そう言えばニコラスの妻のルイーゼはこう言うパズル系統が得意だったなー)

 ニコラスとマドックのコンビはニコラスが体力派で身体が先に動くタイプとされており、冷静沈着なマドックが身体が先に動いてしまうそんなニコラスをサポートする頭脳派タイプと言う位置づけになっている。

 勿論これはニコラスもマドックも意識している訳では無いのだが、両者の性格面や行動面の違い等から周囲がそう言うイメージを持ってしまっている。

 とは言え別にそう思われていて何か害がある訳でも無いので、ギルドの頭脳担当であるマドックはそのまま家路につく。

 頭脳派だからと言っても自分1人では解けない問題も数多くあるんだがな……と心の中で呟きながら。


「ふー、食った食った。やっぱりイモは腹が膨れるな」

「満足した?」

「ああ、大満足さ!!」

 30代に入り昔よりは落ち着きを見せ始めたものの、こうして酒が入ると本来の陽気で熱くなりやすい性格がぶり返して来てしまうニコラス。

 まだ彼女だった頃から一緒に酒を呑んだ経験のあるルイーゼはそれを分かっており、現在は自分の夫のニコラスの扱い方も分かっているつもりではいる。

 明日はまた刑事の仕事があるので、なるべく早く自宅に辿り着くべくタクシーを自分のスマートフォンで予約するルイーゼ。

(さっきの店で予約しておけば良かったわね)

 そうしておけば店の前でそのままタクシーに乗れたのにな……と若干の後悔の気持ちがありつつも、とにかく自宅に着ければそれで良いじゃないと考え直してタクシーを呼んだ。

 後はタクシーがやって来るまでここから動かないで待っているだけなのだが、その判断がルイーゼの隣に居るニコラスの目に衝撃的な光景を写す事になった。


 顔を夜風に当てて酔いを覚ましていたニコラスは、ふと道路の向かい側に停まった1台のダークグレーのキャデラックCTSに注目する。

 別に車自体に興味は無いのだが、そのキャデラックが前に停車した建物が気になったのだ。

(あそこは確か……)

 酔っ払いの状態であるが、自分の記憶が正しければあのキャデラックが停まった場所は改装中のバーの前だ。

 こんな夜更けにキャデラックが停まったと言う事は恐らく改装の打ち合わせか何かかと思うのが普通だが、ニコラスの刑事としての勘が「それは違う」と自分に警報を鳴らしていた。

 警報をガンガンに鳴らしているニコラスに気が付いたルイーゼも、ニコラスの視線の先に自分の視線を向けてみる。


 すると、ニコラスとはまた違うポイントにルイーゼが注目する事になった。

「あれっ、ティアナじゃ無いかしら?」

「え……?」

 ルイーゼの目が良い事は分かるが、幾ら街灯の光がまばゆいストリートだと言っても今の時間帯は夜。

 それに距離もそこそこ離れているし、他人の空似と言う事も十分に考えられる。

 しかも今日はもうあのタワーの事件だけで十分だ、と思っているニコラスとルイーゼの目の前に丁度タクシーがやって来た。

 近くを巡回していたらしいのですぐに来たらしく、ニコラスとルイーゼはそのタクシーに乗り込んで家路に着く事にする。

 酔ったままでまた銃撃戦にでも巻き込まれたのでは、今度こそ逃げ切れる様な状態では無い事位ニコラスも分かっていたからだ。

 それにあの改装中のバーに入って行った人間を、身なりだけで犯罪者だと決めつけるのも良くない。

 ルイーゼが見たと言うティアナらしき人間も、良く似た別人と言う可能性もやっぱり考えられるのでここは大人しく自宅へと戻る事にした2人だった。


 翌朝。

(んん……少しだけ2日酔いか?)

 そこまで呑んだ記憶は無いんだけどなー、と思いつつもニコラスはルイーゼの作ってくれたブレックファーストを腹の中に収め、職場であるヴェハールシティ警察第5分署へと出勤する。

「デートは楽しめたか?」

「……まぁ、な」

 何がデートは楽しめたか、だ。

 御前もあの銃撃戦で俺と出会っているだろう……とニコラスはマドックに心の中で悪態をつきながら、昨日マドックが違和感を覚えたのと同じシステム搭載のボディアーマーをロッカーで身に着ける。

 今日もまた仕事なので、とりあえずは出動要請があるまで事務仕事を片付けようと思っていたニコラス。


 だがそんなニコラスの目の前に、マドックの手に掴まれているメモ用紙がヒラヒラと揺らされる。

「何だこりゃ?」

「昨日の事件現場から見つかった謎のメモだ。俺1人では分からないから解読を手伝って貰おうと思ってな」

「解読……」

 正直、理屈よりも先にまず行動するタイプであるニコラスとしてはそう言ったパズルゲームの類は苦手である。

 ルイーゼであればそう言う頭を使う事が得意なので、出来れば自分では無くてルイーゼに頼みたいと思ってしまうニコラス。

「どっちかって言うと、こう言うのはお前の方が得意じゃねーか?」

 パズル等のこうした頭を使う事案解決に相応しい人物と言うのであれば、自分よりマドックの方が信頼出来るとニコラスは最もな事を言ってみるが……。

「だから俺にも分からんから、こうして協力を仰いでいるんだ」

「じゃあほぼお手上げ状態じゃねーか」

 とりあえずニコラスは、マドックから受け取ったその謎のメモに目を通してみる事にした。

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