そのはちじゅうはちです。
「あんた、あたしを置いて行くとはいい度胸してるわね」
「……返す言葉もありません」
蓮さんは何とか自力で部室から脱出したらしく、化学部の皆さんを巻くのに相当苦労したのか、息切れを起こしながらも私の元まで帰ってきました。
制服がボロボロなのが、その時の壮絶さを物語っていました。
「でも、本当によく帰ってこれましたね」
「まったくよ……化学部の連中、何やら危ない色をした薬まで持って迫ってくるのよ?」
「……それは何と言うか、その……」
「本当に碌でもない連中だったわね……」
流石は蓮さん。言葉を濁す事なく堂々と言い切りました。
「確かに色々と凄い人達ではありましたけど……」
「アイツ等、クラスにいる夜切よりよっぽど変人じゃない」
「……そもそも夜切君はそこまで変人じゃありませんし」
「はぁ? あれが変人じゃなかったら何を変だと言えばいいのよ」
呆れたような口調で蓮さんが言うので私は少し、かちんときてしまいました。
「夜切君は本当にどうしようもない変態なだけですっ。そんな酷い事を言わないでくださいっ」
「……多分、あんたの方が酷い事言ってるわよ?」
夜切君が変態な事は私でも弁護出来ません。
それは紛れもない事実ですから。ええ。
「にしてもあんた、夜切をやけに庇うわね?」
「そ、そうでしょうか?」
何かを勘ぐるように蓮さんが私をジト目で睨んできます。
……もしかしたらですが、私が夜切君を好きな事に蓮さんは感づいているんでしょうか?
だとしたらま、まずいです。
ここは冷静に、そうあくまで冷静に落ち着いて対処しましょう……!
「教室ではいつも一緒にいるみたいだし……ひょっとして」
蓮さんがついに確信に迫ります。
だ、大丈夫です。
私なら出来ますっ。
きっと、上手く誤摩化してみせます……!
「夜切の事、好きなの?」
「ち、ちちちちちがいますっ! そんなわけないじゃないですかぁっ!」
「わかりやすっ!?」




